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公開日:2025.12.29

東京の「環状第1号線」ってどこにある? 実はまだ整備事業が進行中!“最も内側の環状線”の現在を探る【いま気になる道路計画】

環状第1号線の田安門付近。ここは靖国通りと重複している。

東京都心の環状第1号線で拡幅事業が進行中だ。そもそも環状第1号線とは、どんな道路なのだろうか。その事業内容やメリット、進捗状況などを見ていこう。

環状第1号線の田安門付近。ここは靖国通りと重複している。

文=鳥羽しめじ

資料=東京都

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東京都の「8本の環状道路」の1本目とは

都市計画道路「環状第1号線」の概要。

都市計画道路「環状第1号線」の概要。

東京都の都市計画道路は「環状」「放射」「補助」の3種類に大別される。その1つ「環状道路」は環状第1~8号線まで8路線が指定されている。

環状第7号線は「環七通り」、環状第8号線は「環八通り」という略称があって知名度が高い。一方で最初の番号が与えられた「環状第1号線」は、どこにある道路なのか知る人は少ないだろう。

環状第1号線の田安門付近。ここは靖国通りと重複している。

環状第1号線の田安門付近。ここは靖国通りと重複している。

環状第1号線は総延長は6.5kmで、ルートはおおよそ、皇居をぐるっと囲む「内堀通り」と同じだ。しかし「大手町~日比谷」の一部分だけ、国道1号に沿う形で1本東隣りの日比谷通りを辿っている(地下には千代田線・三田線・日比谷線が走っている)。また田安門・靖国神社周辺は「靖国通り」と重複している。

主な交差点は日比谷・桜田門・三宅坂・半蔵門・九段下・竹橋・大手門・大手町・和田倉門だ。

全線にわたって、都心中枢部の東西・南北移動をそれぞれ担う主要ルートを形成しており、片側4車線が確保されるなど、まさに東京を象徴する大都会の風景となっている。周辺には中央官庁が集積しているため、パトロールカーがあちこちに配備され、厳しい警戒体制を取っている。

さて、東京の環状道路はまだまだ未完成で、環2~5はいずれも全線開通していない。大動脈である環8ですら、2006年にやっと西武池袋線・東武東上線との各交差部がつながり、全線開通したばかりだ。

そして環1も、道路がつながっているとはいえ、まだ最終完成形ではなく、整備事業が現在も進行中である。それが「九段拡幅」だ。

環状第1号線で進められている整備事業とは

環状第1号線「九段工区」の概要。

環状第1号線「九段工区」の概要。

「九段拡幅」事業は、靖国通りから東京駅・大手町・日比谷方面へ直結するショートカットルートである、九段下交差点から都心環状線下までの延長約580mにおいて、幅員を22mから30mへ拡幅する計画。

ここは内堀通りの中でも比較的、幅員の狭い場所で、4車線は確保されているが、中央分離帯もなく、自転車が通行できるスペースは未確保。さらに歩道幅も狭い。日本武道館でライブなどの大規模イベントが開催された際、東京駅方面へ移動する群衆によって混雑が発生するのが課題となっている。

拡幅事業では、九段坂病院側、千代田区役所・合同庁舎側へそれぞれ道路を拡幅。合同庁舎側の歩道は5~8mが確保され、車道とも路肩などで十分な距離を保って安全な通行を実現する。

また、隣接した北側エリアでは、九段南一丁目地区の再開発プロジェクトが進められており、2023年には「九段南一丁目地区まちづくりガイドライン」が策定。地上32階の複合高層ビルへ都市機能を集約する代わりに、それによって生まれた残りの地上空間を歩道やオープンスペースに振り分け、九段下駅前を歩行者が利用しやすいエリアにする計画になっている。

九段拡幅の進捗状況は?

拡幅用地が確保されている九段エリア。

拡幅用地が確保されている九段エリア。

気になる進捗だが、2012年に事業が本格スタートし、現在はまだ用地取得の最中だ。取得率は2024年時点で約75%。まだ工事が本格化する段階ではないが、取得済みのエリアでは、少しずつ支障物件の対応が進められている。

古くから都市計画自体はあるため、工事敷地内にビルは建っておらず、あくまで花壇や門扉、塀や樹木があるくらいだ。現場に行くと、それらの工作物がすでにフェンスで囲われており、いずれは更地になって道路に作り替えられることが分かる風景となっていた。

2023年からは千代田区役所前を皮切りに、工作物の移転や樹木の植え替えなどの準備作業が始まっている。とはいえ、このような工事は短時間で終わるものであり、まずは用地取得が完了することが第一だろう。都心中枢部に残された“環1最後の狭隘区間”が最終形として完成するまで、引き続き注視していきたい。

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