中央道~圏央道~横浜の抜け道になる!「津久井相模原連絡道路」計画が進行中。工事はどこまで進んだ?【いま気になる道路計画】
中央自動車道の新たなアクセス道路となる「津久井相模原連絡道路」の整備プロジェクトが進行中だ。開通済みの区間や工事中の区間もある。この道路について、開通のメリットや進捗状況を見ていこう。
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「津久井相模原連絡道路」は、中央道~圏央道~国道16号をつなぐ「ショートカットルート」
津久井相模原連絡道路の概要
神奈川県の内陸部で、中央道の新たなアクセス道路となる「津久井相模原連絡道路(津久井広域道路)」の計画が進められている。
この道路は、相模原市の橋本駅周辺の中心街にある国道16号 橋本五差路交差点を起点に、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)「相模原IC」を経由し、中央道「相模湖IC」まで高規格道路でつなぐ新たなネットワーク道路だ。
2015年に圏央道が延伸開通した際、相模原ICのアクセス道路として先行整備されたが、将来的には中央道~圏央道~橋本~横浜方面のショートカットルートとしての役割も期待されている。
将来は中央道相模湖ICへつながる予定の津久井相模原連絡道路
中央道といえば、大月JCTから都心側は渋滞ポイントが連続し、週末や行楽シーズンは頻繁に混雑する道路。相模湖IC~八王子JCTの「小仏トンネル」や八王子JCTで圏央道とつながるランプ周辺は、甲信越方面と都心方面を移動する際、避けては通れないポイントとなっている。
そのため仕方なく、抜け道として一般道を走ることになる。しかし、これらは「国道413号(道志みち)」や「国道412号」など、昔ながらの狭い生活道路ばかりで、ドライバーにとって負担の大きいルートである。
この国道412号を、スムーズに通行できる、広くて走りやすい道路としてバイパス整備あるいは拡幅するのが、津久井相模原連絡道路の構想なのだ。整備主体は政令指定都市である相模原市だ。
多摩・横浜付近の中央道ユーザーにとっては、悲願ともいえる道路計画だが、全区間の工事が同時に進められている訳ではない。工区ごとに少しずつ事業が進められている状況にある。
相模原ICから相模湖方面へ延伸工事中
津久井相模原連絡道路の開通済み区間
進捗状況を相模原市の橋本側から順番に見ていこう。
・橋本五差路~西橋本4丁目(交差点改良中)
市街地の2車線道路で、国道16号に直結することから交通集中により渋滞が激しい区間。しかし、ここは4車線に拡幅する都市計画は存在しない。相模原市議会で毎年のように課題を指摘する声が挙がっているが、相模原市としてはあくまで「渋滞が激しい交差点を改良する」ことで課題をしのぐ方針としている。
現在の10か年計画「第2次相模原市新道路整備計画」(2022~2031年)では、整備対象として「西橋本一丁目交差点」「工業団地入口交差点」がリストアップされ、前者は2024年に右折レーンが完成、後者はまだ未着工である。
その代わりにバイパス的存在として、北東へ分岐して橋本駅へ直結する「大西大通り線」が整備中だ(リニア関連事業でもある)。
とはいえ、次の10か年計画にリストアップされるべき「次期検討箇所」には、橋本五差路手前~峡の原(はけのはら)車庫バス停付近の約1.3kmが挙げられている。4車線化事業のスタートは案外遠くないかもしれない。
・西橋本4丁目~圏央道相模原IC~東金原(4車線完成)
相模原ICのアクセス道路として整備された区間で、2015年の圏央道開通時に相模川西側の区間が完成した。圏央道から約1.5km西の根小屋地区まで4車線が確保されており、拡幅ではなくバイパスとして、よりまっすぐな線形が採用されている。
・東金原~県道513号(工事中)
東金原から西へ延伸する4車線の約1kmが事業中だ。2024年3月時点で用地取得率は50%と発表されている。また、東側が先行して着工し、すでに2割が大詰めとなっており、2025年中に舗装作業まで進められる予定だ。
・県道513号~国道412号(未着工)
県道513号より先の区間は、トンネル主体で一気に山を貫く工事となる。現道は生活空間にあって狭く、カーブや右左折が連続するため、バイパスが完成すれば、通行がよりスムーズになる見込みだ。
ここは「第2次計画」の優先整備区間には指定されていないが、次の10か年計画にリストアップされるべき「次期検討箇所」に指定済み。工事中区間の開通が最優先とはいえ、測量設計を含めた事業着手は時間の問題だ。
悲願の全通へ、将来のビジョンはどうなっているのか
津久井相模原連絡道路の工事中区間
津久井相模原連絡道路のルートが正式に決まっていて、都市計画決定済みの区間はここまでとなっている。残る2区間では正式な事業化が待たれている。
・国道412号~寸沢嵐(ルート未決定)
・寸沢嵐~中央道相模湖IC(ルート未決定)
上記の区間はいずれも、中央道に直結する最後の難所となる区間で、山岳地帯をほぼ最短距離で貫く概略ルートが引かれており、トンネル主体の道路になりそうだ。後者は相模湖の南側を抜けることから「南岸バイパス」と名づけられている。
どちらも「次期検討箇所」には含まれており、順調に進めば2041年までに全線開通を迎える見込みだ。もちろん、あくまで「検討箇所」であり、「次の次の10か年計画」へ後回しとなる可能性もある。
このように、中央道~圏央道~国道16号を直結する「津久井相模原連絡道路」は、整備済み・事業中・未着工の区間があるが全体としては前向きに検討が進められ、未着工の区間についても正式な事業化を待つ状況にある。今後、事業化まで進むためには、現在進行中の工事が順調に完成を迎えることが重要となる。全線開通は、一朝一夕で実現するものではないが、引き続き動向を注視していきたい。
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