もうすぐ全線開通!「豊田南バイパス」で市街地の激しい渋滞をスルー。将来は東名・東海環状道・伊勢湾岸道をつなぐ新ルートに【いま気になる道路計画】
伊勢湾岸自動車道から国道155号をつなぐ「豊田南バイパス」の整備が進められている。未整備区間の開通予定が迫る現在、工事はどこまで進んでいるのだろうか。豊田南バイパスの概要やメリット、工事計画と進捗について紹介する。
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「豊田南バイパス」で市街地の混雑を回避!
豊田南バイパスの位置図。
「豊田南バイパス」は愛知県豊田市駒場町から逢妻町までを結ぶ国道155号のバイパス道路であり、延長は12.9kmに及ぶ。全線が「衣浦豊田道路」の一部に指定されているが有料区間は存在しない。主な車線数は4車線(一部の区間は側道を含めた6車線)であり、設計速度は80km/hで計画されている。
延長12.9kmのうち9.2kmが暫定2車線区間を含み開通済み。未開通区間である東新町から逢妻町までの3.7kmは2026年度に開通予定である。この区間の開通により、豊田南バイパスは全線がつながり、よりスムーズな交通流が実現する見込みだ。
また、豊田南バイパスの終点となる逢妻町より北側は、同じく整備中の「豊田北バイパス」と接続する計画であり、両者が一体となって「豊田外環状道路」を形成する。これにより、東名高速道路・伊勢湾岸道・東海環状自動車道を結ぶ広域的なネットワークが強化される計画だ。
物流も救急もスムーズに! 豊田南バイパスが支える市内の交通
豊田南バイパスの開通荷より、物流の効率化が期待できる。
豊田南バイパスは、国道155号などの既存幹線道路の交通量を分散させることで、慢性的な渋滞の緩和や交通事故の減少、さらには物流の効率化を図ることを目的として整備されている重要な道路だ。
豊田市には、世界的自動車メーカーであるトヨタ自動車の本社がある。そのため同エリアには、多くの関連企業や部品メーカーが林立する日本有数の工業都市となっている。市内外を往来する物流車両の数は膨大であり、とくに朝夕の通勤時間帯には市街地中心部を通過するクルマが集中する、県内でも屈指の渋滞エリアだ。こうした混雑は交通事故のリスクを高める要因にもなっており、豊田南バイパスの整備は安全かつ円滑な走行環境の確保を目指す取り組みでもある。
さらに、豊田市は全国でもトップクラスの製造品出荷額を誇る都市としても知られており、道路ネットワークの充実は地域経済を支える生命線といえる。生産や流通の効率を高めるうえでも、広域的な交通動線の整備が求められており、豊田南バイパスはまさに産業の動脈として機能することが期待されている。
また、豊田市内には厚生連豊田厚生病院やトヨタ記念病院など、地域医療を支える基幹病院が存在する。しかし、市街地であっても交通渋滞などの影響により、重症患者の死亡率が上昇するとされる15分を経過しても病院へ到達できないケースが少なくないという。道路網の改善は救急搬送時間を短縮し、救命率の向上にも直結する重要な施策だ。
このように、豊田南バイパスは単なる交通インフラの整備にとどまらず、渋滞緩和・交通安全・物流改善・地域医療支援といった複数の社会的課題を同時に解決するための、総合的なプロジェクトである。
豊田南バイパスはいつ開通する? 今後の進展は?
豊田南バイパスの概略図。
2025年時点で、豊田南バイパスは駒場町から東新町までの約9.2kmが開通している。そのうち生駒町から堤町にかけての約4.6km区間は4車線で整備されており、交通の流れがスムーズになっている。一方で、それ以外の区間については暫定2車線で供用されており、交通量の増加に応じて今後の拡幅が検討される。
未開通区間である東新町から逢妻町までの約3.7kmは、現在も整備が進められており、暫定2車線ながら2026年度の開通が予定されている。この区間が完成すれば、豊田南バイパスは全線で連続通行が可能となり、豊田市南部から国道153号方面へのアクセスが大幅に改善される見込みだ。
工事では難所や問題が発生している様子もなく、順調に整備が進んでいるようだ。2026年度の全線開通を知らせる横断幕が豊田駅など市内各所で大々的に掲げられていることから、予定通りの開通が期待できるだろう。
なお、豊田北バイパスは、東海環状道 豊田勘八ICから平戸大橋付近までの延長1.9km区間が暫定2車線にて開通済み。残る平戸大橋から国道155号までの延長4.9km区間で整備が進められている。こちらは完成予定が発表されておらず、現在は未定である。
このように豊田市の交通流を大きく変える「豊田南バイパス」と「豊田北バイパス」の整備は徐々に進展を見せている。まずは2026年度に予定される豊田南バイパスの全線開通を心待ちにしながら、同エリアの今後の道路整備にも引き続き注目していきたい。
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