首都高羽田線が10月29日に車線切り替え! 大詰めを迎えた「リニューアル工事」はどこまで進んだ? 全面完成はいつ【いま気になる道路計画】
首都高速 羽田線で8年以上にわたって続く大規模なリニューアル工事が、大詰めとなる新たな局面を迎えている。10月29日(水)に予定されている車線切り替えや、工事の経過、今後の計画などを見ていこう。
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首都高の「最古参」羽田線の大規模プロジェクト
首都高羽田線の芝浦~勝島でリニューアル工事が続いている。
都心部から羽田空港をむすび、川崎・横浜方面へつながる首都高羽田線。現在、臨海部で大規模なリニューアル工事が続いている。
場所は芝浦~勝島の区間で、京浜運河の海上を抜けていく部分だ。東京モノレールがすぐ東側を並走しており、車窓からは互いに都会のダイナミズムが感じられる。
そんな羽田線は、首都高の中でも最古参といえる路線だ。1964年の東京オリンピック開催に合わせ、最優先で整備すべき区間として、羽田空港と都心部をつなぐ信号なしのアクセス道路が求められ、建設が進められた。
1962年に都心環状線を含む京橋~芝浦が開通。翌年には鈴ヶ森、さらに1964年8月に空港(現:空港西)まで延伸して開通を迎えた。実にオリンピック開幕が2か月前に迫っていた中での完成だった。以降、首都高 羽田線は大動脈となり、並行する湾岸線が開通した現在でも、1日あたりの通行量は約7万台にのぼる。しかもその半数近くがトラックなどの物流関係だ。
これらは裏返せば、首都高の中で「最も経年劣化している」ということ。また、短期間で先行開通を迎えられた大きな理由に「旧河川や運河など、なるべく用地取得が不要な場所を選んだ」という点がある。そうした臨海部に建設されたことで、海水の塩分によるダメージも少なからずあるという。
こうして、羽田線は「首都高リニューアルプロジェクト」の第一弾として、2014年に事業開始した。海上の高架区間「東品川桟橋部」ならびに地上の「鮫洲埋立部」のオーバーホールともいえる大規模な更新は2016年に着工し、現在でも工事が続いている。
海上区間と埋立部区間がある更新工事
同区間の事業は、簡単に言えば、作り替え工事だ。元の高架橋などを撤去して新設。その間、隣に仮設ルートを設置して迂回させる。
新たな羽田線の高架橋は、将来を見据え、旧構造物から進化を遂げている。具体的には、橋脚にステンレスやアルミ・マグネシウムの被膜、重防食塗装を実施し、また海面から高くすることで塩分を遠ざけ、さらに桁下に点検用の空間を持つ構造とした(恒久足場)。
工事プロセスをもう少し正確に言うと、旧構造物は半分ずつ撤去・新設していく。最初は北行き(上り線)を撤去し、その次が南行き(下り線)となる。
これまでの進展は以下のとおりだ。
【2017年】
う回路が完成。旧北行き車線を撤去・新設開始。
北行き:う回路へスイッチ
南行き:そのまま
【2020年】
北行き新設部が完成。旧南行き車線を撤去・新設開始。
北行き:う回路
南行き:北行き新設部へスイッチ
いよいよ「新しい道路」全面完成へ。車線切り替えでどう変わる?
2025年10月29日に予定されている、首都高羽田線の車線切り替え
そしてついに、2025年10月29日(水)午前1時に南行きの新設部で車線切り替えが実施される。
【2025年10月29日(水)午前1時】
南行き新設部が完成
北行き:う回路
南行き:南行き新設部へスイッチ
南行きの交通流は、ついに新しい高架橋から、東京モノレールを間近に目視できるようになる。2020年の暫定切り替えから、実に5年ぶりに最も左側を走行できるルートとなるわけだ。
留意しておきたいのが、北行きの交通流はまだう回路を走行し続けること。こちらは暫定切り替えから実に8年以上が経過しており、仮設とはいえ、もはや見慣れた風景かもしれない。
残る工事は何が実施される?
今後の工事プロセス
今後の整備ではどのような工事が実施されるのだろうか。
まず今後、「北行きの交通流を、新設部に切り替えるための作業(標識や路面標示などを本番用に設置するなど)」ならびに「う回路の撤去」という2つの工事が待っている。
前者が終わり、上下線とも新設部へ車線切り替えされるのは「2026年春」の予定だ。この切り替えに伴って、特定の土日において南行きが通行止めとなるので注意が必要だ。
さらに、2026年春の北行き車線の切り替え後に「大井JCTランプの通行止め」が予定されている。う回路につないでいたルートを、新設部につなぎ変える工事が必要だからだ。
長い間足場に囲まれ、工事が続いていた首都高羽田線。いよいよ新しい道路のベールが完全に取り去られる日が近づいている。車線切り替え工事による通行止めなど、最新の道路情報を確認しながら、首都高リニューアルプロジェクトの完成に期待したい。
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