運転中にクマに遭遇したらどうすればいい? 衝突した場合の対処法や予防策も解説。
人の居住地域へのクマの出没が相次ぎ、山道や郊外の道路でクマを見かけるケースが増えています。もし、クルマを運転中にクマに遭遇したら、どう対応すればよいのでしょうか。
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クマに遭遇したときの対処法
クマ出没注意の警告標識。
秋の行楽シーズンは、紅葉狩りやドライブなどで山間部や郊外へ出かける機会が増える季節です。しかし、秋は冬眠前のクマが食料を求めて活発に動き回る時期でもあり、人里近くでの出没件数が増加します。
特に近年はそういったクマ被害が多発しているため、ドライブ中に道路や路肩にクマが姿を現すという状況に遭遇する可能性も十分に考えられます。
では、運転中にクマに遭遇したらどのような行動をとればよいのでしょうか。
JAFや環境省は「クマに遭遇しても慌てず、刺激しないことがもっとも大切」と呼びかけています。クマを発見したら、急ブレーキや急ハンドルを避け、減速して距離を保つのが基本です。安全が確保できる場合は、静かにすり抜けて離れましょう。
もし、クマに進路を塞がれてしまった場合は、減速してハザードランプを点灯し、後続車に注意を促します。そして、道路の進路をふさがない位置に停車し、エンジンをかけたまま窓やドアをしっかり閉めて待機します。クマは短距離なら時速40kmほどで走るといわれており、生身で逃げ切るのは不可能です。車外に出るのは絶対に避けましょう。スマートフォンで撮影しようと近づくなど、SNS目的の行為も厳禁です。
また、必要に応じて短く一度だけクラクションを鳴らして存在を知らせ、距離をとる方法もあるようですが、長く鳴らしたり繰り返したりすると、クマを刺激してしまう恐れがあるのでむやみに使用しないようにしましょう。
なお、夜間にクマと遭遇した場合は、至近距離でハイビームを照らしたり、ヘッドライトを点滅させたりして威嚇するのは避けましょう。強い光がクマを刺激し、攻撃的な行動をとることがあります。
クマと衝突したらどうする?
道路上に出没したクマの様子。 (c)Frank Fichtmüller – stock.adobe.com
もしクマとの接触・衝突が起きた場合はどうすればいいのでしょうか?
野生動物との衝突は道路交通法では「物損事故」の扱いになるため、ドライバーには「危険防止等の措置義務」と「報告義務」が生じます。道路交通法第72条に従って交通事故の発生を警察に連絡しましょう。このときドライバーや同乗者が負傷、もしくはガードレール等の破損や後続車との衝突などが発生した場合は、併せてその旨も伝えます。任意保険を使うには事故証明が必要となるため、警察には必ず通報しましょう。
タヌキなどの比較的危険の少ない野生動物の場合は、保護したり、できるだけ交通の妨げにならないよう路肩に移動させたりする必要があります。しかし、クマの場合は、死亡しているか確認する際に危害が及ぶ場合もあるため、車外に出ずに警察の到着を待つのが望ましいでしょう。
また、衝突事故の現場が高速道路や幹線道路上であれば、二次事故防止のために道路緊急ダイヤル「#9910」に連絡する必要があります。通報の際は「場所」「頭数」「クマの進行方向」「事故の状況」などを正確に伝えましょう。
クマに遭遇しないために情報を集める
クマ出没注意の警告標識。
クマと遭遇しないためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。
クマの出没が多い地域では、自治体による目撃情報共有システムや防災アプリなどを利用すると、最新の出没エリアを確認することができます。そのため、ドライブ前にルートを調べ、危険地域を避けることがもっとも効果的な予防策といえます。そして、出没が確認されたエリアでは、日中でも警戒を怠らず、早朝や夜間の走行はできるだけ避けるようにしましょう。
また、キャンプやアウトドアでは、食べ残しや飲み残し、食事の容器などをきちんと処分したり、車内に食べ物やゴミを放置したりしないことも重要です。実際、食料の香りに誘われ、クマが出没する事例も報告されているからです。
そして、山道をクルマで走行中に「クマ出没注意」「動物注意」の標識を見かけたら、見通しの悪いカーブや林道入口などでは減速して走行することも求められます。特に夜間は視認性が低下するため、ハイビームやフォグランプを活用して標識を見落とさないようにしましょう。
このように、ドライブ中にクマに遭遇してしまった場合は「近づかない・刺激しない・通報する」を守ることが大切です。秋のドライブを安全に楽しむためにも、出発前に出没情報を確認し、危険地域を避けるルートを選ぶなど、万全の準備を整えておきましょう。
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