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公開日:2025.10.09

京都に新バイパス誕生か?「京都亀岡連絡道路」計画が進行中。国道9号の難所「老ノ坂峠」はどう変わる?【いま気になる道路計画】

京都市と南丹エリアを新バイパスがつなぐ可能性も(画像はイメージ)。

京都府内にある国道9号の難所「老ノ坂峠」の峠越えを、抜本的に克服する「京都亀岡連絡道路」計画が進行中だ。一体どのような計画で、どこまで明らかになっているのか、現在の進捗状況を見ていこう。

京都市と南丹エリアを新バイパスがつなぐ可能性も(画像はイメージ)。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省、京都府

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京都市と亀岡市に立ちはだかる難所「老ノ坂峠」

2025年2月に通行止めとなった国道9号の老ノ坂峠。

2025年2月に通行止めとなった国道9号の老ノ坂峠。

国道9号は、京都市から亀岡市・福知山市を経由し、山陰方面を結ぶ主要幹線道路だ。特にベッドタウンである亀岡市や南丹市などの南丹エリアにとっては、京都市中心部への唯一のルートであり、まさに生命線ともいえる道路だ。

しかし、亀岡市と京都市の境目には急峻な山地が立ちはだかっており、特に最高地点の「老ノ坂峠」は、国道9号の悪名高い難所として知られている。

老ノ坂峠は、長い急勾配・急カーブ区間が続くのに加え、路肩幅に余裕がないため、大型トラックなどとギリギリのすれ違いが続くため、運転者の疲労が蓄積しやすいルートだ。1988年に亀岡市街と峠を越える「老ノ坂亀岡バイパス」(現在の京都縦貫道の一部)が開通して有料道路という選択肢が加わったものの、一般道では依然として厳しい峠越えを強いられている。

さらに致命的なのが「異常気象時通行規制区間」に指定されていることで、230mmの大雨が降ると通行止めになる。また大雨で地盤が緩むと、土砂崩れで被災するおそれもある。他にも、車両の立ち往生やトラック事故で交通規制となり、大渋滞となる事例も多い。南丹エリアは京都盆地と分断状態になるリスクを抱えている。

例えば2023年8月の台風7号上陸時は、老ノ坂峠区間は約7時間にわたり通行止めになった。2025年2月の大雪でも約17時間の通行止めがあったほか、同月中に大型車の立ち往生が発生し、再び通行止めとなった。

局所的に土砂崩れ対策などは行われているものの、抜本的な対策として、高規格改良やバイパス整備によって、災害に強い道路が求められている。それが「京都亀岡連絡道路」の計画だ。

「京都亀岡連絡道路」の計画とは?

京都亀岡連絡道路の概要。

京都亀岡連絡道路の概要。

京都亀岡連絡道路は、2018年に国が指定した「重要物流道路」の候補路線や、2021年策定の「新広域道路交通計画」にリストアップされた道路計画。実現に向けて水面下でアクションが続けられている。

計画の実態はまだ「国道9号の老ノ坂峠越えを何とかする」という段階で、現道を拡幅・線形改良するのか、新たにバイパスを作るのか、具体的なことは決まっていない。もしバイパスとなれば、現在よりも長く標高差も小さなトンネルで、亀岡市~京都市を一気に結ぶルートになるとみられる。なお、すぐ南側を京都縦貫道が抜けているため、ルート選定の際は工事が影響しないよう配慮する必要がある。

事業化に向けて水面下で調整が進む?

京都府のネットワーク構想で示されている京都亀岡連絡道路。

京都府のネットワーク構想で示されている京都亀岡連絡道路。

京都亀岡連絡道路の計画は、一体どこまで動いているのだろうか。

まず、国土交通省近畿地方整備局の2025年度事業計画では「亀岡方面の京都都市圏及びその周辺地域については、交通円滑化や幹線道路の機能強化等に係る調査を実施します」と記載されている。この表現は2019年に初めて記載されてから、特に変わっていない。

一方で、地元から国への要望活動は着実に続けられている。

まずは2020年、京都丹波基幹交通整備協議会の「国道9号ダブルルート整備促進協議会」によって、関係自治体や議員などが意見交換する「京都亀岡間の交通ネットワークを考える会」が開催。そのあと2023年に「国道9号及び京都縦貫自動車道強靱化促進議員連盟」が結成され、国へ働きかける窓口が整った。

亀岡市としては、2025年3月の市議会において市長が「4車線化が前提で、国の判断でダブルルート(バイパス)という位置づけの検討もあり」というスタンスを示していたが、9月の議会では一転して、バイパス整備への期待の強さを答弁でにじませた。

今後の動きとしては、まず国交省が続けている調査検討(整備効果や課題抽出などの整理)の結果が待たれている。亀岡市長も3月の議会で「検討結果等が示された段階において、協議を再開したいと考えているところでございます」と答弁した。

もっとも京都市では、同じく急峻な山地で隔てられている「山科~大津」に新たなバイパストンネルを通す「滋賀京都連絡道路」について、概略ルート・構造検討が始まったところだ。

一般的に、同じエリアで複数の巨大プロジェクトの予算が同時進行する例は少ない。えてして「あちらが一段落すれば、次はこちらに」という段取りが組まれることになるので、京都亀岡連絡道路についても「まずは山科~大津のトンネルを、少なくとも事業化まで漕ぎつけることに集中する」という方針のもと、予算配分が進む可能性が高い。

もちろん、事業化への第一歩であり、概略ルート・構造を決める「計画段階評価」が前倒しで始まっていく可能性は十分にある。果たして国が計画段階評価の方針を正式決定するのはいつになるのか、引き続き注目していきたい。

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