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公開日:2025.10.10

多摩エリアで新たな南北道路「府中東小金井線」計画が本格化! 五日市街道と甲州街道をつなぐルートが延伸へ【いま気になる道路計画】

野川を渡る「府中東小金井線」の橋梁イメージ。

多摩地域を南北に貫く「府中東小金井線」の整備計画が進行中だ。すでに一部は開通済みだが、主要区間となる「野川越え」の計画が具体化しつつある。開通のメリットや、現在の進捗状況を見ていこう。

野川を渡る「府中東小金井線」の橋梁イメージ。

文=鳥羽しめじ

資料=東京都、小金井市、府中市

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多摩エリアの南北道路「府中東小金井線」とは?

府中東小金井線の概要。

府中東小金井線の概要。

JR中央線と国道20号(甲州街道)との間は、大きな南北道路に乏しく、スムーズに移動できないという問題がある。その背景として、JR中央線の南側に並行して「国分寺崖線」という急激な崖があり、目で見ても明らかなほど、北側に対し南側がストンと落ちたような地形になっている。

この南北移動の不便な状況を打開するため、新たな道路「府中東小金井線」計画が具体化に向けて動いている。

府中東小金井線は、小金井3・4・11号線と府中3・4・16号線からなる都市計画道路。五日市街道の「関野橋交差点」(小金井公園南側)から南下し、甲州街道の「白糸台交番東交差点」までをつなぐ。基本的に西武多摩湖線のすぐ西側を並行するルートを通り、総延長約5kmの2車線道路で、両側には歩道が設けられ、幅員は16~18mで計画されている。全線開通すれば、五日市街道から甲州街道までが一本でつながることとなる。

小金井市と府中市をつなぐ南北道路は、約4kmにわたって空白となっている。

小金井市と府中市をつなぐ南北道路は、約4kmにわたって空白となっている。

同様の南北道路には、東に約2km離れた「天文台通り」、西に約1.5km離れた「小金井街道」、約2.3km離れた「新小金井街道」があるが、それぞれの距離が離れているため、小金井・府中両市民にとって、このエリアは「南北道路空白地帯」となっており、府中東小金井線は開通が待ち望まれている新道路と言える。

実際、このエリアで東西に広がる「武蔵野公園」や「野川」を渡るルートは貴重で、西武多摩川線の東隣にある「二枚橋」は、狭隘な生活道路にもかかわらず交通流が殺到。小金井市が通学時間帯にガードマンを配置するなど、頭を悩ませる状況となっている。

混在する通過交通と生活移動とを分離する役割も、この府中東小金井線が担おうとしているのだ。

国分寺崖線と野川を越える新区間は橋梁になる?

野川を渡る「府中東小金井線」の橋梁イメージ。

野川を渡る「府中東小金井線」の橋梁イメージ。

府中東小金井線の未開通区間のなかで、主要な区間である「野川越え」の事業の動きが具体化してきている。

府中東小金井線は、JR東小金井駅から南下して「連雀通り」に接続したところまで開通済み。今回、具体化しているのは、そこから先を南へ約830m延伸し、野川を越えて、武蔵野公園南側で東八道路へ直結する区間だ。

動きが活発になっている理由は、この区間が都の「第四次事業化計画」の「優先整備路線」に位置づけられ、2025年度中の事業着手を目指しているためだ。

現在は、野川をどのような構造で越えるのか、検討が進められている。2024年秋のオープンハウスにおいて、都は「橋梁案」「掘割案」「トンネル案」の3つの案を公表した。

橋梁案は、崖線の縁部から約300mの高架で一気に府中側へ降下する案。掘割案は、連雀通りの南側から崖下までを掘割し、そこから野川を渡る案。トンネル案は、約500mのトンネルで崖線の内部を通り、野川の下を抜け、府中側で地上に出る案になっている。

懸念事項としては、用地取得や工事にともなう住民への影響、また憩いの場である「野川」の景観、特徴的な景観を生んでいる「国分寺崖線」などへの影響が挙げられる。

都はこうしたポイントをふまえて、最適案は「橋梁案」だとしている。掘割やトンネルは野川や崖地形を大きく改変することになり、崖側で必要となる用地も横に広がってしまうからだ。新たな動きがない限り、この橋梁案が本採用されるとみられている。

今後の動きとしては「環境概況調査等の結果を基に、必要な保全対策等の検討を進める」とされており、計画が盤石となればいよいよ正式に事業化となる。

地元・小金井市では、この計画の見直しを公約とする市長が2022年に就任。しかし、今年になって一転、計画容認の立場を明らかにしたことから、3・6月の市議会は紛糾を見せた。

都の新たな道路整備方針「第五次事業化計画(仮)」取りまとめも間近に迫り、これに合わせて、各区でも独自の整備方針を取りまとめる時期を迎えている。この整備方針をめぐって、推進派と反対派の駆け引きも活発化しているのだ。

府中エリアの工区も進行中

府中市側でも整備事業が進行中。

府中市側でも整備事業が進行中。

また、府中東小金井線の南側では、東八道路から多磨霊園の東側を南下し、人見街道までつなぐ工区も事業中。なお、人見街道以南は「あんず通り」として、甲州街道の「白糸台交番東交差点」まで開通済みとなっている。

東八道路から人見街道までの工区は用地取得が大詰めとなっていて、一部は2022年に暫定開通済みだ。2025年5月末時点の取得率は、北半分の二期区間が約98%、南半分の一期区間は約99%で、工事本格化も近い。まずは電線共同溝の整備工事が先行して始まる見込みだ。

府中東小金井線にとって、南北のアクセスに決定的となる「野川越え区間」の事業化が、今後の大きなトピックとなるだろう。2026年春までに正式発表がなされるのか、あるいは次期計画に持ち越しとなるのか、引き続き注目していきたい。

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