イラストレーターいとうみゆきの クルマのおうちで埼玉一周めぐり旅 vol.7〜秩父地域編〜最終回:冒険はつづく〜
海外でのクルマ旅を綴ったエッセイが話題となり、多くのファンに支持されるイラストレーター・いとうみゆきさん。ワーキングホリデーをきっかけにニュージーランドを訪れ、車中泊生活を経験したことからその魅力に取り憑かれたそう。そんないとうみゆきさんの新たな旅がスタート! いとうさんの故郷である埼玉県を舞台に、愛車でさまざまなスポットを巡りながら地域の魅力をお届けしていきます。第7回目は、いよいよ埼玉の旅の最終回。「冒険はつづく」をテーマに、埼玉県の秩父地域を旅していきます。訪れたさまざまな場所で、思いもよらない出会いや発見があり、まるで“冒険”をしているような感覚になる車中泊の旅。そんな冒険のような旅を、これからも多くの人に届けていくべく、最終目的地からメッセージを届けていきます。
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目次
④皆野町_キャンプ場mahora〜最後のキャンプは盛大に!〜
道の駅を出たら、一旦駅に向かいます。
今日の夜は、友だちと一緒にキャンプをするのです!
ということで、ついに「白くま」を4人乗りモードにアレンジする機会がやってきました!
こういう時のために、簡単に床板やベッドをバラバラにできるようにしていたんだよなぁ。

どうしたらコンパクトにできるかな? どうしたら部屋(車内)を広く使えるかな? と、いろいろ考えながらDIYの設計をしていたころが懐かしくなります。ピカピカだった床板に、いつの間にか傷ができていて、ずっと臭かった柿渋塗装の匂いもやっと薄れてきて……また蜜蝋を塗ってあげないとな。
そして、友だちを乗せてキャンプ場へやってきました。
今日は「白くま」と一緒に、キャンプをします! テントを立てて、キャンプグッズを置いて、料理をして、といつもよりちゃんとした(?)キャンプ。楽しみだなぁ。

今日は美術館やカフェ、古墳や散歩道がある自然公園の中にあるキャンプサイトに滞在します。キャンプ場を利用するのは私たちだけだったので、贅沢な気持ち!
友だち2人がテントなどを準備している間に、私は夜ご飯の準備と「白くま」のお片付けをします。やっぱり複数人のキャンプは荷物が多くなるので、クルマがあると便利だなぁ。しかもオートキャンプ場だとクルマごとキャンプサイトに入れるので、荷物的にも寝床的にも楽ちんです。
いろいろ道具を持ってきたので、クルマの中はいつも以上にしっちゃかめっちゃかですが……。



暗くなる前に準備が完了しました。簡単な料理も済ませ、一旦腹ごしらえ。今日も「白くま」の調理台が大活躍です!


住所:〒369-1412 埼玉県秩父郡皆野町大字皆野4048-1
営業時間:9:00~16:30
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日休園)
※冬季凍結期間は休園となります、詳しくは管理事務所へお問い合わせください。
TEL:0494-62-1688(キャンプ専用TEL:090-6485-3100)
Instagram :@mahora_inahoyama
⑤皆野町_登谷山〜夜の山道ドライブに挑戦だ〜
料理や寝床の準備も完了し、余裕も出てきたので一旦キャンプ場の外へ。埼玉県北部や群馬県の夜景を見渡すことができる、標高668mの山頂へ向かいます。標高668mと言っても、すぐ近くまでクルマで行けるので気持ちは楽々。と感じたのも、最初だけでした……。

昼間は、高い橋でドキドキしたのとはまた別のドキドキ。
次は、狭い山道を十数分ほど突き進んでいかなければなりませんでした! どんどん日が落ちて暗くなっていく山道、対向車がすれ違いになったら大変そうな細い道、気を抜いたら負けてしまいそうな急勾配……。
ドキドキしながらも、「今までいろいろな道を乗り越えてきたもの」と勇気を振り絞りながら進みます。

そうしてなんとかたどり着いた駐車場! 真っ暗すぎて不安にはなりましたが、ナビの案内では、ここがクルマで来れるギリギリの場所。
真っ暗闇に取り残された「白くま」は、恐怖に慄いているように見えました。

駐車場は徒歩で山頂に向かいます。5〜10分ほど急勾配の坂をのぼるのですが、とにかく真っ暗で、蜘蛛の巣だらけで、謎の廃墟と建物が立っていて、人っ子一人いなくて怖くてたまりませんでした!!!
しかもずっと霧がかかっているんですよね…………(汗)。
複数人だったので冒険気分を楽しめましたが、一人だったら絶対に諦めて帰っていたと思います。それぐらい怖かったです!!

だけど、山頂に到着して、目の前に現れた景色は、本当に綺麗でした。ぼんやりとかかった霧のおかげでむしろ幻想的な夜景だったな。恐怖に耐え忍んで、前に進んだ者だけに与えられる宝物。これはまさに夜の森ダンジョンのようでした。
住所:〒369-1411 埼玉県秩父郡皆野町三沢4289-4

そして、夜の森ダンジョンから帰ってきた頃、雨がポツポツ降り始めました。いつもだったら「白くま」に避難すればいいだけなのですが、今日はみんなでキャンプなのでそういうわけにもいかず。
「どうにかして雨を防ごう!」と、「白くま」の一部とテントの前室用に持っていたポールを使って、ビニールシートで即席タープが張られました。見栄えは悪いですが、ビニールシートでも案外しっかりとした屋根ができるもの。だけどこういう時のためにちゃんとしたカーサイドタープがあったらいいな! またひとつ、「白くま」にしてあげたいことが増えました。
雨もしのげたところで、焚き火を再開。夜はクルマの中でしっとり過ごすことが多いですが、今日はちょっと賑やかに。

おいしい食べ物を食べて、しゃべって、笑って、ぼーっと火を見て。夏の終わり、楽しい夜のひと時でした。
冒険はつづく
そして翌朝、早起きして山頂へ。

山の上にあった絶景ブランコに乗ってみると、秩父が一望できました。見えているのは、自分が昨日ドライブして通ってきた景色たち。

今まで通ってきた道、これから進む道。怖いこともあるけど、それ以上に楽しいこともたくさんある、冒険のような毎日。
ひとりだったら行けなかった場所に行くことができたのは、まぎれもなく「白くま」のおかげ。「白くま」のDIYを手伝ってくれた人たち、おいしいものを提供してくれる人たち、安全で楽しいドライブのために関わってくれている人たちのおかげです。
帰路の車中、スピーカーから流れてくる歌は、優河の「めぐる」。その歌詞の一部が今でも頭に残っています。
(歌詞の一部)今はまだ新鮮なこの色は、ここを離れたらきっとゆっくりと色褪せてしまうけれど、私はまた別の輝く景色を見に行けるんだ。たくさんの日々と思い出をめぐって、手を振って、それでも繋がって。

そうやって今もこれからも続く、私たちの小さな冒険。昨日は楽しかったな、また成長できたな、明日はどこへ行こうかな!

※この記事は、カエライフに2022年10月21日に掲載されたものです。施設によって営業時間の変更や休業の可能性があります。おでかけの際には公式HPでご確認ください。また、事前にお住まいの地域やお出かけ先の情報を確認し、ご計画をお願いいたします。
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