横浜の新たな東西軸!「横浜環状南線」のトンネル掘進はどこまで進んだ? 着々と進む工事進捗を追う【いま気になる道路計画】
横浜都心部を中心に半径10~15kmの位置をぐるりと走る横浜環状道路。その南側を担う「横浜環状南線」の工事が着々と進められている。横浜環状道路の概要やメリット、工事計画とその進捗状況について、特に南線に焦点を当てて解説する。
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「横浜環状道路南線」とは
横浜環状南線の概要。
「横浜環状道路」は、神奈川県横浜市の中心部から半径10~15km圏を環状につなぐ道路ネットワーク計画。金沢区の横浜横須賀道路 釜利谷JCTから栄区、鎌倉市、戸塚区などを経て、鶴見区の首都高神奈川1号横羽線 生麦JCTに至って計画されている高速道路。したがって、正確には環状ではなく「Cの字」につながる道路だ。
北、北西、西、南の4区間で構成され、北線は2017年、北西線は2020年に完成済み。西側区間は検討中で工事は着手されていない。南線は2025年10月時点でも、着々と工事が進められている。
「横浜環状南線」は釜利谷JCTから国道1号 戸塚ICをつなぐ延長8.9kmの区間。全体の7割をトンネルまたは地面を掘って道路を通す「掘割構造」で計画されている。設計速度は80km/hで6車線の大規模な道路となる予定だ。
横浜環状南線がもたらすメリット
横浜環状南線 工事中の釜利谷JCTの様子。2025年6月撮影。
横浜環状道路は横浜中心市街地の渋滞を緩和する目的で整備が進められている。南線では特に移動時間の短縮や災害時の緊急輸送路、沿線地域の環境改善が期待されている。
例えば横浜港近くの首都高 本牧JCTから東名高速 海老名JCT、中央自動車道 八王子JCTといった内陸部に移動することを想定してみよう。NEXCO東日本の資料によると、現状の所要時間は、海老名JCTまでは42分、八王子JCTまでは115分かかるとされている。
横浜環状南線が完成すれば、海老名JCTまでは34分、八王子JCTまでは51分と大幅な所要時間の短縮が期待される。これにより、物流の効率化や沿線への企業進出などの経済効果が見込まれている。また、周辺地域の大動脈である「保土ヶ谷バイパス」などが地震や台風などの災害により通行止めになった際、緊急車両の輸送路や物資搬送のための代替路となるなど、東名高速・横浜横須賀道路などと一体となった道路ネットワーク形成にも寄与する。
加えて、横浜中心市街地の渋滞を緩和することで、低速走行やアイドリング時間が減少し、環境負荷物質を含む排気ガスの量も減ることで、沿線地域の環境改善の効果もあるという。
横浜環状南線の過去と計画、現在の工事進捗
桂台トンネルシールドマシン愛称「モグるん」が役目を終えて解体される。
横浜環状南線は1988年に事業化、つまり道路建設が正式に決定された。用地取得率は2018年に99%に到達しており、土地の確保はほぼ終わっていると考えてもいいだろう。
2025年10月発表の資料によると、横浜環状南線「公田笠間トンネル(栄区公田町から飯島町)」の延長約2.1kmにおけるトンネル工事の進捗状況は、下り線は1年7か月をかけて2023年に掘削を完了。上り線は2024年1月に掘進を開始し、2025年10月14日時点では2025年秋に掘進完了を目指すとされている。また「桂台トンネル(栄区上郷町から桂台西地区)」の延長1.3kmでは、上下線のトンネル掘進が2024年11月に完了している。
気になる完成予定年月はまだ発表されていない。以前は2025年度に完成予定とされていたが、2022年に開催された「神奈川県圏央道連絡調整会議(第3回)」にて、予定通りの完成は困難な状況であることが発表された。
これは、桂台トンネル掘進時の「シールドマシンのモーター故障」と「周辺住民生活への配慮による掘進速度調整」で1年弱作業が中断されたことが大きな要因だ。安全かつ慎重な工事を実現するために完了時期を見直す必要が生じた。
このように横浜環状南線の開通時期は未定ではあるが、用地取得もほぼ終わり、工事は着々と進んでいる。まずは現在進行中のトンネル工事がスムーズに進むことを期待しながら、開通時期の正式なアナウンスを待ちたい。
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