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公開日:2025.08.21

日本の「機械式駐車場」が狭すぎる問題、どのサイズのクルマなら停めやすいのか?

日産 ノート|Nissan Note

引っ越し先の機械式駐車場が狭すぎたため、愛車のBMW1シリーズからコンパクトカーへ乗り換えることを決意した、自動車ジャーナリストの山崎 明氏。いま、5ナンバーサイズかつ全高1550mm以下のコンパクトカーを探すなら、どんな選択肢があるのだろうか。これは、同氏が次なる愛車を求めて苦悩の日々を綴った、ノンフィクションだ。

日産 ノート|Nissan Note

文=山崎 明

写真=トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スズキ

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軽自動車ならホンダN-ONEが候補か

前の記事に書いたように、筆者は2025年夏に転居し、引っ越し先のマンションの駐車場を借りることにしたのだが、その機械式駐車場が非常に狭く、駐車がストレスになってしまった。

そこで愛車の「BMW 118d」から一回り小さい5ナンバーサイズのコンパクトカー、ないしは軽自動車に買い換えることにした。候補となり得るクルマを探してみよう。必須条件は駐車場の制約である全高1550mm以下である。

転居先の機械式駐車場が狭すぎるため、駐車がストレスに。写真は筆者の愛車をパレットに入れた様子。全幅1765mmのBMW1シリーズだと、両側60mmしか余裕がない。

転居先の機械式駐車場が狭すぎるため、駐車がストレスに。写真は筆者の愛車をパレットに入れた様子。全幅1765mmのBMW1シリーズだと、両側60mmしか余裕がない。

まずは軽自動車から見てみよう。自宅から鈴鹿サーキット往復などの高速巡航も考慮すると、ターボモデルが欲しい。それで全高1550mm以下のターボモデルを探してみると、意外にもほとんど見つからず、ダイハツはコペンのみ、ホンダはN-ONEのみ、スズキ/三菱/日産は1台もなしである。

コペンは2シーターオープンスポーツで私のニーズには合わないから、選択肢はN-ONEのみとなる。2025年秋にコペンのエンジンを搭載したミライースGR SPORTが発売になるという噂もあるが、発売直後は人気沸騰となるのはほぼ確実で、納車は相当先となってしまうだろう。

N-ONEは試乗すると非常に出来が良く、軽に乗っているという感じがあまりしないくらいしっかりと走る。有力候補と考えても良いと思ったのだが、価格を見てびっくりした。ターボモデルのプレミアムツアラーに純正ナビをつけると250万円を超えてしまうのである。

RSならさらに高くなる。なんと同じホンダのフィットのガソリンモデル(HOME)にメーカーオプションのナビを付けた値段より高いのである!

しかもフィットならばナビはホンダコネクトにも対応しているし、4気筒エンジン、4輪ディスクブレーキなど基本的なスペックにも優れる。しかし軽としては良くできているとは言え、Bセグメント車より高価ということになるとちょっと躊躇してしまう。

ホンダ N-ONEプレミアムツアラー|Honda N-ONE Premium Tourer

ホンダ N-ONEプレミアムツアラー|Honda N-ONE Premium Tourer

5ナンバーBセグメント車なら候補は6車種

そこで対象を5ナンバーBセグメント車に絞ることとした。対象となる全高1550mm以下の車種はトヨタにはヤリスとアクア、日産にはノート、ホンダにはフィット、マツダにはマツダ2、スズキにはスイフトがある。残念ながらスバル/三菱/ダイハツには条件に合う車はない。つまり候補は6車種というわけだ。

スペックを見ると、実際のタイヤ両サイドの幅という意味ではどれを選んでもBMW 118d比で100mm以上小さくなるようなので、駐車のしやすさは大きく向上するだろう。

私ができれば欲しいと思っている装備は以下の通りだ。

(1)できればフルハイブリッド
日本が誇る技術であり、欧州車ではほとんど味わうことのできない電動パワートレーン、ジャーナリストとしても一度は自己所有車として乗っておきたい。

(2)デイタイムランニングライト、アダプティブヘッドライト
特にデイタイムランニングライトは今乗っているBMW 118dにもついている装備であり、安全性にとても寄与すると思うのでできれば欲しい。アダプティブヘッドライトは所有しているNDロードスターについていて、夜間の高速走行は安心感が高い。

(3)360°カメラ
狭い駐車場で役立つと思われる(ただし今まで試乗車等でもあまり活用したことはない)。

(4)メモリー付き電動シート
妻との共用なので、あればとても便利だ。

(5)航続距離800km以上
できれば自宅のある藤沢から鈴鹿サーキットまで、無給油で往復できる航続距離が欲しい。BMW 118dは条件が良ければ無給油で1000km以上走れて便利だった。藤沢から鈴鹿サーキットまでは約350kmなので、800km以上の足の長さが欲しい。

日産 ノート|Nissan Note

日産 ノート|Nissan Note

(1)を満たすのはヤリス、アクア、ノート、フィットだが、ノートはシリーズハイブリッドなので高速燃費にやや難があり若干見劣りがする。スイフトはマイルドハイブリッドだが、軽量ボディでフルハイブリッドに迫る燃費となっており「軽・小・短・美」を掲げるスズキらしい魅力を備えたモデルだ。マツダ2はNAエンジンにトルコン式6速ATと古典的で、逆にこのセグメントではそれこそが魅力とも言える。

(2)に関しては、アダプティブヘッドライトを選べるのはマツダ2のSPORT+グレードのみである。他車はオートハイビームこそあるものの、マルチセグメントのアダプティブヘッドライトはない。これはBセグメントである以上仕方のないことか。

デイタイムランニングライトに関しては、フィットのハイブリッド車は全車標準、ヤリス、アクアはグレードやオプションによって装着可能。マツダ2はオプションでポジションライトを常時点灯化できるが本式のデイタイムランニングライトではない(デイタイムランニングライトは明るさが全く違う:デイタイムランニングライトは1440cd以下、ポジションライトは300cd以下)。ノート、スイフトにはオプションでも装備されない。

トヨタ ヤリス|Toyota Yaris

トヨタ ヤリス|Toyota Yaris

(3)はオプション装備も含めれば全車種装着可能だ。ただし、フィットで最も魅力的なRSグレードにはオプションでも装着できない。

(4)これを装着できるのはマツダ2のSPORT+グレードとアクアのZグレード(オプション)のみだ。これもBセグメントとしては仕方のないところ。

(5)WLTCモード燃費とタンク容量を単純に掛け合わせるとヤリスは1274km(Zグレード)、アクアは1210km(GR SPORTは1055km)、フィットは1160km(HOMEの場合。RSは1088km)、ノートは1022km、マツダ2は974km、スイフトは907kmとなった。全車理論上は藤沢~鈴鹿往復が余裕で可能という結果となった。

スズキ スイフト|Suzuki Swift

スズキ スイフト|Suzuki Swift

購入候補は3車種まで厳選! その選定理由は?

このような検討の結果と私のスタイリングの好みも含めて考慮して、アクア、フィット、マツダ2の3車に絞ることとした。アクアはバイポーラ型電池を採用したハイブリッドシステムであることと、車好きには魅力的なGR SPORTグレードが設定されていることが選定理由。

トヨタ アクア GRスポーツ|Toyota Aqua GR SPORT

トヨタ アクア GRスポーツ|Toyota Aqua GR SPORT

フィットはモデル末期ではあるがスタイリングや内装デザインを含めたトータルコンセプトに発売当初から非常に好感を持っていて、今でも個人的に大好きなモデルであることが選定理由だ。

マツダ2もモデル末期でハイブリッドでもないが、このクラスでは唯一のアダプティブヘッドライトを選べること、SPORT+グレードではパワーシートが標準で内装の質感も高いこと、私にとって非常に魅力的なボディカラーがいくつかあることが最終選考に残った理由である。

【次回に続く】

ホンダ フィット e:HEV HOME|Honda FIT e:HEV HOME

ホンダ フィット e:HEV HOME|Honda FIT e:HEV HOME

マツダ2|MAZDA2

マツダ2|MAZDA2

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