新名神高速の全線開通はいつ? 未開通の「大津JCT~城陽JCT・IC」で「宇治田原トンネル」上りが貫通!【いま気になる道路計画】
新名神高速道路は、三重県四日市市から兵庫県神戸市に至る延長約160kmの高規格幹線道路。未開通区間のひとつである「大津JCT~城陽JCT・IC」についての概要やメリット、工事計画と進捗を紹介する。
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新名神高速の未開通区間「大津JCT~城陽JCT・IC」とは

新名神高速「大津JCT~城陽JCT・IC」の概要。
新名神高速道路は、新東名高速道路や伊勢湾岸自動車道とともに東京、名古屋、大阪の日本三大都市をつなぐ重要な道路である。一部が未開通区間となっており、そのひとつが「大津JCT~城陽JCT・IC」の約25.1kmだ。同区間は、新名神高速の開通済み区間である「亀山西JCT~大津JCT」および「城陽JCT・IC~八幡京田辺JCT・IC」と接続される。
「大津JCT~城陽JCT・IC」は、約20年前の道路公団民営化時に、第二京阪道路をはじめとする高規格道路が並行していることから、需要が低く採算が取れないとして工事が凍結された。しかし、2012年にその必要性が再確認され、凍結が解除されて着工。元々は、4車線の予定で計画されていたが、2020年に6車線に変更になった。なお、すでに4車線で建設済みの区間も6車線に拡幅する必要があるため、暫定4車線で開通して、その後6車線化する予定となっている。
大津JCT~城陽JCT・ICに期待されるメリット

「信楽川橋」(滋賀県)の工事状況。橋梁の土工部を施工中。
大津JCT~城陽JCT・ICに期待されるメリットは、高速道路のダブルネットワーク化、所要時間の短縮や定時性の確保、物流・観光の活性化だ。
高速道路のダブルネットワーク化にはさまざまなメリットがある。ひとつは、名神高速において工事や交通事故などで交通規制が実施される際、迂回路として機能すること。名神高速は開通から50年以上が経過しているため、床版や橋梁などの経年劣化が進んでおり、修繕が必要となっている。工事のためには交通規制が必要であり、そのような場合に発生する渋滞を緩和できる。
さらに、地震や豪雨などの予期せぬ自然災害などにより、周辺主要道路が通行不能になった場合、避難・救助活動をはじめ、支援物資の輸送などに役立つ「緊急輸送道路」としても機能する。
また、周辺道路との交通分散による渋滞緩和などにも期待がかかる。名神高速と京滋バイパスでは、大型車の交通量が増加傾向にあり、渋滞も頻繁に発生。渋滞回数は2007年と比較して4倍に増加している。もし、新名神高速が全線開通すれば、それらの渋滞が緩和され、移動時間の短縮や定時性の確保に大きく貢献するだろう。そして物流のみならず、旅客の移動も円滑化され、地域経済の活性化にも好影響となる。
大津JCT~城陽JCT・ICはどこまで完成した?

新名神高速「宇治田原トンネル 上り線」の様子。
大津JCT~城陽JCT・ICの工事進捗はどうなっているのだろうか。
現在、全区間で用地取得が完了し、工事が着手されているが、開通予定時期は発表されていない。NEXCO西日本が2024年12月に発表した資料には、軟弱な地層が多く工事に時間を要しているため、完了は少なくとも4年以上、工事の進捗によってはさらに1~2年かかると記載がある。仮に工事が順調に進んだとしても完成は4年後の2028年となりそうだ。
ただし、完成に向けて工事が着実に進められている事実も確認できる。2025年4月には大津JCT付近において、4つの橋梁(大戸川橋・上中野橋・吉祥寺川橋・宮川橋)の床版打設が完了し、橋面がつながったと発表があった。まだ車両が走れる状態ではないが、橋梁がつながったことは大きな前進といえるだろう。
また、同時期には京都府宇治田原町で建設が進められている「宇治田原トンネル (延長約2km)」上り線の貫通式も実施。地元住民と工事関係者によって、通り初めや鏡割りなどの行事が執り行われた。
このように、新名神高速 大津JCT~城陽JCT・ICでは、各所で早期開通に向けて工事が着々と進められていることが読み取れる。開通にはまだまだ時間がかかりそうだが、新名神高速の全線開通に期待を寄せながら、工事進捗を見守っていきたい。
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