はじめよう、クルマのある暮らし。

Traffic

公開日:2025.09.04

70年経っても未完成!「横浜藤沢線」工事はどこまで進んだ? 横浜と湘南が1本で繋がるのはいつ頃か【いま気になる道路計画】

横浜藤沢線 田谷小雀地区と「栄IC・JCT(仮称)」の工事状況。

「横浜藤沢線」は、横浜市港南区から藤沢市の鵠沼海岸まで至る都市計画道路だ。国道1号の代替路として、渋滞緩和などを目的に整備が進められているが、計画から70年近く経過した現在でも全線開通していない。この道路計画やメリット、工事の進捗について解説する。

横浜藤沢線 田谷小雀地区と「栄IC・JCT(仮称)」の工事状況。

文=藤井宏治

画像=神奈川県、横浜市

この記事をシェア

都市計画道路「横浜藤沢線」の全体像

横浜藤沢線の全体図。

横浜藤沢線の全体図。

「横浜藤沢線」は横浜市南部の環状2号線(港南区丸山台一丁目)を起点に、鎌倉市を経て藤沢市の国道134号(鵠沼海岸一丁目)までをむすぶ都市計画道路。延長は約14.3kmとなり、6車線または4車線で計画されている。

しかし、1957年に都市計画決定されたものの、完成したのは起点側の港南区丸山台一丁目~丸山台四丁目までの約1.2km(暫定開通済)と、関谷陸橋付近(鎌倉市)から県道32号 川名交差点(藤沢市)までの約3.3kmの計4.5kmにとどまっている。川名交差点から南側の区間については、着工にすら至っていない。

横浜藤沢線がもたらす暮らしと地域の変化

横浜藤沢線 田谷小雀地区と「栄IC・JCT(仮称)」の完成イメージ。

横浜藤沢線 田谷小雀地区と「栄IC・JCT(仮称)」の完成イメージ。

横浜藤沢線ができるメリットは周辺地域における交通渋滞の緩和、首都圏各地から湘南地域へのアクセス性の向上だ。

現在、横浜市から藤沢市方面に抜ける大きな道路は国道1号のみ。そして、特に多くの人が集まる観光地である江の島へ向かうには、国道1号をそれて2車線道路の国道467号を通る必要がある。この道路状況が深刻な渋滞を引き起こしており、地域住民からは早期の改善が望まれている。

もし、横浜藤沢線が完成すれば、横浜市から湘南までが1本の幹線道路でつながり、国道1号をはじめとした、周辺道路における渋滞緩和の効果が期待できる。また、国道1号の代替路として機能するため、災害時の緊急輸送路としても有効となる。

さらに横浜藤沢線の整備が進む田谷交差点付近では、横浜湘南道路および横浜環状南線のジャンクションとなる「栄IC・JCT(仮称)」の計画も進められている。「栄IC・JCT(仮称)」は東側で横浜横須賀道路  釜利谷JCTとも接続する予定のため、藤沢市から広域ネットワークへのアクセス性も大きく向上する見込みだ。

横浜藤沢線の工事進捗は?

上永谷舞岡地区の現在の様子。

上永谷舞岡地区の現在の様子。

ここで、起点の横浜市港南区から終点の藤沢市鵠沼海岸までの順に、事業の進捗を整理しよう。

  • 横浜市 港南区丸山台一丁目~丸山台四丁目 約1.2km 【暫定開通】
  • 横浜市 上永谷地区 約0.92km:事業化(1989年から2025年)
  • 横浜市 上永谷舞岡地区 約0.99km:事業化(1996年から2025年)
  • 横浜市 田谷小雀地区 約1.42km:事業化(2002年から2028年)
  • 横浜市 桂町戸塚遠藤線~栄IC・JCT(仮称):未整備
  • 鎌倉市 関谷地区 約0.6km:事業化( 2009年から2025年)
  • 鎌倉市~藤沢市 関谷陸橋付近から県道32号 約3.3km【開通】
  • 藤沢市 川名工区 約1.8km 調査区間
  • 藤沢市 片瀬工区 約1.2km 事業化検討中

前述の通り、全体約14.3kmのうち約4.5kmは開通。そして現在、上永谷地区、上永谷舞岡地区、田谷小雀地区、関谷地区が事業化されている。事業化とは、測量や工事など、実際に現場が動いている状態だ。一方、川名工区は調査区間で、ルートや環境への影響を調べている最中。片瀬工区は事業化検討中で、事業者を選定しているという状態だ。

まずは事業化されている4区間について、2025年9月時点でどのように工事が進んでいるのか見ていこう。

上永谷地区は用地取得率100%かつ事業進捗率84%となっている。数字だけ見れば、もうすぐ完成と推測できそうだが、契約中の工事がなく、建設は進んでいない状況にある。2009年に野庭地区と日限上地区を結ぶひまわり歩道橋が暫定供用されたと発表されて以降、特に進捗の発表はない。

永谷舞岡地区は用地取得率99%かつ事業進捗率70%となっている。2025年4月30日まで事業者と工事契約を結んでいたが、その後の契約更新などは発表がない。

田谷小雀地区は用地取得率88%かつ事業進捗率69%となっている。複数の事業者が工事を進めており、2028年の事業終了に向けて整備が進められている。

関谷地区は用地取得率100%かつ事業進捗率63%(2022年時点)となっている。横浜湘南道路と横浜環状南線が連絡する栄IC・JCT(仮称)のアクセス道路として優先的に工事が進められている。

横浜藤沢線の川名区間で検討中のトンネル案。

横浜藤沢線の川名区間で検討中のトンネル案。

次に事業化していない2つの工区について状況を見てみよう。

川名工区は、計画路線上に川名緑地があり、この自然を保護するためにトンネル構造による都市計画決定の変更を目指している。今後、順調に工事が進んだとしても、相当の年月を要するのは間違いないだろう。

片瀬地区については神奈川県から特に進捗等の発表はされていない。

このように「横浜藤沢線」は、国道1号の渋滞解消のため地域住民より大きな期待を寄せられているが、計画から半世紀以上経過してもまだ全線開通の目途すら立っていないのが現実だ。まずは2025年に事業終了を予定している工区だけでも、予定通り完成することを願いたい。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

次回は9月5日からスタートです!
次回は9月5日からスタートです!

Campaign

次回は9月5日からスタートです!