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最終更新日:2025.08.12 公開日:2025.08.12

なぜ僕らはランクルに惹かれるんだろう。新型「250」とネオクラ「70」、乗って比べて本音で語る700kmの旅【前編】

愛知県刈谷市にあるランクル専門店「ランクルBASE」にて。

ランクルって、なにがそんなに魅力的なんだろう。そんな疑問を抱きながら、僕たち「YOHAMA Car Session」のメンバー3人は、新型250に乗り込み、愛知県刈谷市へ向かった。お目当ては、「Vintage Club by KINTO」でレンタルが始まった1995年式の“ナナマル”。出張カーセッションのはじまりだ。

愛知県刈谷市にあるランクル専門店「ランクルBASE」にて。

文=後藤和樹(YOKOHAMA Car Session)

写真=三浦知也

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■YOHAMA Car Session(YCS)とは?
2024年と2025年に神奈川県の横浜赤レンガ倉庫にて開催された、「35歳以下のヤングタイマー好きな若者たちと愛車」を集めたカーミーティングイベントのこと。メンバーは後藤和樹さん(愛車:いすゞ ピアッツァXE)、本田浩隆さん(愛車:シトロエン BX19TZi)、甲野大輔さん(愛車:ホンダ S2000)の3名で、このイベント名(YCS)でグループとしても活動中。


昨今、ネオクラシックカーやクラシックカーといった「ちょっと旧いけど魅力的なクルマ」が注目されている。しかし中古車両価格の高騰や、維持管理の難しさなどを考えると、購入のハードルが高いと感じる人も多いハズ。

そんな中、トヨタ系企業のKINTOが往年の名車をレストアして気軽に楽しめるようにと、旧車レンタカーサービス「Vintage Club by KINTO」をスタートさせたのをご存知だろうか。「所有するのはハードルが高いけど、旧車の世界を体感してみたい」──そんな思いを抱く人にとって、まさに“はじめの一歩”を提供してくれるサービスだ。

今回はそんなVintage Club by KINTOが2025年7月よりレンタルを開始した「ランドクルーザー“70(ナナマル)”」に実際に試乗してきた。

YCSのメンバーは左から、本田浩隆さん(愛車:シトロエン BX19TZi)、後藤和樹さん(愛車:いすゞ ピアッツァXE)、甲野大輔さん(愛車:ホンダ S2000)

YCSのメンバーは左から、本田浩隆さん(愛車:シトロエン BX19TZi)、後藤和樹さん(愛車:いすゞ ピアッツァXE)、甲野大輔さん(愛車:ホンダ S2000)

最新の250に乗って伝説の70に会いに行く!

ランクル70が待つのは、愛知県刈谷市のランクル専門店の「ランクルBASE」。普通は新幹線で移動する距離だけど、我々3人がそんなことするハズがない。せっかくの首都圏から愛知までの道のりをクルマで行かないなんて、もったいない! しかも担当編集のIさんが、トヨタから最新型のランドクルーザー250(ニーゴーマル)ZXを借りてきてくれたという。

ということで、憧れはあるけどあまり知らないクルマ「ランクル」の魅力を探るべく、3名プラス1名で愛知に向けて走り出した。

後藤 俺は、古いランクル→新しいランクルの順で体験したかったから、あえて往路では250を運転しなかったんだけど、先に運転したふたりは、素直にどう感じた?

本田 とにかく取り回しの良さに驚いた! 四隅が把握しやすくて、スクエアなボディと高い視点の相乗効果で、見た目より“乗用車っぽい”で感覚で運転できた。高速道路でも快適で、エアコンはよく効くし、乗り心地もいい。ディーゼルとは思えないくらい静かで、すごくよくできたクルマだなって印象。

甲野 俺はまず見た目に惹かれたな。どこか懐かしさを感じるデザインだけど、ちゃんと今っぽいディテールも兼ね備えているのがいいよね。最近のSUVって結構いかつい顔が多いけど、これは街にも馴染むデザイン。あのバランス、絶妙だと思う。

浜松から運転を交代したけど、ステップとかグリップがいい位置にあるから乗り降りしやすいのが好印象だった。あとはやっぱ取り回しの良さね。全幅2m近くあるようには思えなかったな。

本田 やっぱ見やすいって大事だよね(笑)。

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

ランクル250に乗る前と後で印象はどう変わった?

後藤 ちなみに、3人ともランクル250に乗るのは初めてだったけど、乗る前と後で印象はどう変わった?

本田 最初は「デカすぎるだろコレ…」ってビビったよ(笑)。でも実際に走らせてみると小回りが利くし、感覚的には思ったよりコンパクト。いい意味で裏切られた。

後藤 俺もラダーフレームの四駆って、もっと路面のギャップを拾ってゴツゴツした乗り味なのかと思ってたけど、全然そんなことなくてビックリした。

本田 エアサスかと思ったよね(笑)。

甲野 本格オフローダーって、上屋と脚が違う動きをするみたいな印象があって、これは重心の高さとか構造的な部分もあるから仕方ないと思ってたけど、250はまるで乗用車みたいで驚いたよ。

後藤 ほんとカルチャーショックだったよ。普通に快適じゃん! ってね。往路は後席だったけど、膝前に拳3つ入るくらい余裕があったし、後席でもリクライニングするのはポイント高いな。先代からそうだけど、前席より後席の座面がちょっと高めで、前もよく見えるし、窓も大きくて視界が開けてる。ちょっとしたプレミアム感あったな。

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

本田 シートもめちゃくちゃ良かったよね!

後藤 すげー良かった! まあ、個人的には革シートってあんま好きじゃ無いんだけど。

本田 後藤のセカンドカー、いつも革シートじゃねーか(笑)。

後藤 そうなんだけどさ(笑)。このZXはすごくしっとりしていて、革シート独特の擦れる感じとか、滑る感じがほぼ無かった。

本田 あと、シートベンチレーターが神。

後藤 マジでそう! しかもそれ後席にもついてたからね。

甲野 あの日、暑かったじゃん? でも、背中が汗だくになることもなくて、本当に快適だったよね。

ランクル250では運転席・助手席で独立した温度設定が行えるフルオートエアコンを搭載。

ランクル250では運転席・助手席で独立した温度設定が行えるフルオートエアコンを搭載。

後席でも独立した温度設定が可能で、さらにシートのリクライニング機能も相まって、本格オフローダーとは思えない快適さだった。

後席でも独立した温度設定が可能で、さらにシートのリクライニング機能も相まって、本格オフローダーとは思えない快適さだった。

ランクル250の少し気になった点

後藤 装備面で言えば、JBLのスピーカーはどうだった?

本田 俺はちょっとそこは物足りなかったな。シャリシャリした音で、イコライザーとかでもう少し細かくチューニングできたらよかったと思った。

後藤 ただまぁそこは、どう使うか次第かも。シティユースで家族の送り迎えをするなら、もう少し音質が良い方が盛り上がるし、拡張性も欲しいところだけど、キャンプとか悪路走行目的ならそこまで気にしなくてもいいかなとは思う。

甲野 音響はオプションで良いかもね。でも、パノラミックビューモニターは便利だった。車幅あるし、あれがあると安心。

本田 取り回しが良くても全幅2m弱あるからね。狭い道とか、駐車時に便利だった。

甲野 後藤はあれ見て駐車するの苦手だよな(笑)。

後藤 うん(笑)。あんま信用できなくて、結局目視じゃないと駐車できないタイプなんだよ。

本田 トヨタのビューモニターって、クルマのセンターの位置を示してくれるから本当に便利。あんなに使いやすいものは無い。

甲野 慣れると便利だし、あのサイズを扱う以上、支援装備は欲しいなと思う。ただ、装備に頼りすぎちゃうと運転が下手になるから、上手に使うってことが大切だと思うよ。

本田 クルマって死角が多いから、自分の視野を拡張する。見えない所を補うっていう使い方が、近年の支援システムの使い方だと思うよ。

YCSがランクル70とランクル250を乗り比べ。

YCSがランクル70とランクル250を乗り比べ。

後藤 あと地味に気になったのが、ガラスハッチの高さ。俺もキャンプとかよく行くし、アウトドアする人には超便利なんだけど、250は背が高いから、ちょっと“届きにくい”んだよな(笑)。

本田 ちょっとした荷物を放り込むにはいいけど、確かにかなり高い位置にあるよね(笑)。

甲野 プジョー 207SWとかBMW 3シリーズツーリングみたいに、背が低いクルマだからこそ活きてくるけど、250は用途が限られるかも。

本田 その点はランクル70の観音扉って良いよね。だって奥行き取らないじゃん。強いて言うなら、上下分割式でベンチ代わりになるような遊び心があっても良かったかもね。

甲野 確かにそういう提案もいいかもね。

ZX、VXグレードに標準装備されているバックドアガラスハッチ。

ZX、VXグレードに標準装備されているバックドアガラスハッチ。

想像以上に良すぎたランクル250

後藤 でもまあ、いろいろ言ってきたけど、結局さ、「250、良くできすぎ」ってのが正直なところだよね。

甲野 オーディオとか細かい不満はあるけど、大枠では完成度が高すぎる。

本田 250が如何に良くできたクルマか、トヨタが如何に本気で作ったかがわかったね。旧車好きとしては、最近のクルマって移動がただの移動にしか感じないけど、250は“旅”が楽しい。

甲野 そう。クルマってただの移動手段じゃなくて、ライフスタイルを提案してくれる“何かが始まるきっかけ”でもあると思うんだよね。250はその役割をちゃんと担ってる。

本田 今回は市街地と高速がメインだったけど、次はオフロードで走ってみたい。あのボディが本領発揮するシーン、まだまだ見てみたいな。

後藤 伝統あるランクルの“いま”に触れられた、充実したドライブだったね。さて、次はいよいよランクル70の出番だね。

【後編につづく】

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX

SPECIFICATIONS
トヨタ ランドクルーザー“250” ZX|Toyota Land Cruiser“250” ZX
ボディサイズ:全長4925×全幅1980×全高1935mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2410kg
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:2.8リッター直列4気筒ディーゼル
最高出力:150kw(204PS)/3000-3400rpm
最大トルク:500Nm(51kgf-m)/1600-2800rpm
トランスミッション:電子制御8段AT
価格:735万円(税込)

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