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最終更新日:2025.08.04 公開日:2025.08.04

仙台都心部から臨海部へ直結! 新バイパス「仙台東道路」ルート案が公表。常磐道まで信号ゼロになる?【いま気になる道路計画】

仙台市東部の東西軸を担う都市計画道路「元寺小路福室線」。この上空に高架バイパスが作られるかもしれない

仙台都心部から東部の臨海エリアへ直結する新たな高規格道路「仙台東道路」が事業化に向けて進行中だ。検討されているルート案や、現在の進捗状況について解説していこう。

仙台市東部の東西軸を担う都市計画道路「元寺小路福室線」。この上空に高架バイパスが作られるかもしれない

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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大渋滞の「仙台都心部」「仙台駅~仙台港」をバイパス

「仙台東道路」の概要。

「仙台東道路」の概要。

宮城県仙台市は人口約110万人を抱え、東北地方では最大の都市。しかし、都心部から中長距離ネットワークを担う高速道路までが遠いことがネックとなっている。

西側は「仙台西道路」によって都心部から東北自動車道「仙台宮城IC」が直結。ここには1983年に開通した「青葉山トンネル」(延長2233m)があり、40年以上前からアクセスは比較的良好だ。

いっぽう東側は、常磐自動車道から直通する仙台東部道路の「仙台港北IC」「仙台南IC」まで、それぞれ都心部から10km程度離れている。しかし、高規格道路はなく、信号が連続する一般道路を延々と走る必要がある。

また、仙台駅周辺の東西軸の渋滞も深刻だ。定禅寺通・広瀬通・青葉通などを合わせて1日約7万台が東西移動するなか、都心部は碁盤の目の街路で信号待ちが多い。一番町付近では平均旅行速度が「時速12km」となっており、かなりのノロノロ具合がうかがえる。

さらに、産業・物流の中枢を担う都心部側の拠点「仙台トラックターミナル」「仙台市中央卸売市場」から東部の「仙台港」に対するアクセスもやはり課題になっている。一般道路において生活交通と物流が混在し、本来の輸送機能が働いていないのが現状だ。

こうした仙台市都心部~臨海部のネットワークを強化する高規格道路として計画されているのが「仙台東道路」である。

「仙台東道路」の事業が一歩前進!現在の状況は?

仙台中心部は渋滞に悩まされている。

仙台中心部は渋滞に悩まされている。

「仙台東道路」の構想は平成初期から存在するが、具体化に向けた動きはなかなか進まず、これまで夢物語の状況が続いていた。

2007年の仙台市議会の答弁を見ると、事業主体や事業手法の調整だけでなく「仙台バイパスやJR貨物線などとの交差や現道との接続方法など、課題が多い」という状況が見え隠れしている。

夢物語かと思われ、長い年月を経た2018年、ついに事業に動きがあった。2018年10月の東北地方小委員会で、ついに「計画段階評価」の方針が策定され、具体化への正式な第一歩を踏み出すことになったのだ。

計画段階評価は、地域アンケートを経つつ、概略ルート・構造を決定するプロセスだ。これが決まれば、都市計画決定と環境アセスメントの手続きに移り、それが完了すればいよいよ事業化を待つだけとなる。

2019年には、1回目の地域アンケートが実施された。ここから順調に事業化まで進むと思いきや、先述のとおりさまざまな現場課題があるため、さらに6年もの間、次なる動きがなく沈黙が続いた。

そしてついに2025年6月、「概略ルート・構造案を絞り込むための導入空間」というものが決定された。「導入空間」とは、仙台東道路の導入が想定される空間のこと。

一般的には1回目の地域アンケートをもって、ルートが3案程度に絞り込まれ、2回目の地域アンケートでルートの最終案を決定する。しかし、同事業においては、その「3案程度に絞る」までにさらにワンクッション「導入空間」をもとにした検討を挟むことになったのだ。これは、異例の慎重な検討と言えるだろう。

次の会議までに、まずこの導入区間をもとに3案程度のルート案へ絞り込みが行われる。そして、ようやく2回目の地域アンケートが行われ、最終案を決定することになる。

「仙台東道路」の気になるルート案は?

「仙台東道路」の導入空間。これらの道路に高架かトンネルのバイパスが設けられる想定だ。

「仙台東道路」の導入空間。これらの道路に高架かトンネルのバイパスが設けられる想定だ。

ではそのルート案を絞り込むための「導入空間」は、仙台市のどのあたりを通っているのだろうか。

6月に発表された資料を見ると、基本的に仙台西道路をそのまま東へ延ばすような形で仙台駅周辺を通過、そのまま東進して仙台東部道路へと接続するルートが4つ示されている。いずれも現在ある主要道路を拡幅し、立体化する「空間」にあてるイメージだ。構造については「地下トンネル」「高架」「高架(一部は現道拡幅のみ)」の3種類が想定されている。

●定禅寺通+国道45号:定禅寺通から国道45号へ入り、JR仙石線の南側を並行し、仙台バイパス 苦竹ICを経由して、仙台東部道路 仙台港北ICへ。
●広瀬通+元寺小路福室線:広瀬通から元寺小路福室線へ入り、仙台トラックターミナル、箱堤交差点を経由して仙台東部道路へ。
●原町岡田線(卸町大通):上記ルートの途中、陸上自衛隊仙台駐屯地の付近から南下。原町岡田線(卸町大通)に入り、仙台市中央卸売市場を経由して仙台東部道路へ。
●青葉通+清水小路多賀城線:青葉通から清水小路多賀城線に入り、地下鉄東西線と共に東進。仙台バイパスと交わる六丁目交差点を経て仙台東部道路 仙台東ICへ。

これらのルートはいずれも慢性的な渋滞に悩まされており、特に国道4号仙台バイパスを越える信号待ちが顕著だ。国道4号側では今年2月に「箱堤交差点の立体化」が完成するなど信号スルー化が進展中。いっぽうで東西軸の混雑はまだまだ悩みの種となっている。

導入空間の検討後、果たして夢の信号ゼロの高規格道路「仙台東道路」のルート案はどこを通り抜けていくことになるのだろうか。2回目のアンケートの開始、そして概略ルート・構造の最終決定が近い重大トピックとなる。その先も、事業化・設計・用地取得と実現までの壁はいくつもあるが、悲願の開通に向けて、引き続き注目していきたい。

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