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最終更新日:2025.08.01 公開日:2025.08.01

京都~滋賀の「新バイパス」ついに実現へ加速! 悲願の「滋賀京都連絡道路」のメリットは? どんなルート?【いま気になる道路計画】

国道1号 瀬田川大橋は渋滞のボトルネックとなっている。

京都府京都市と滋賀県大津市をつなぐ新たなバイパス「滋賀京都連絡道路」の実現に向けて、具体的な動きが始まった。この道路が開通することでもたらされるメリットや、現在の進捗状況について解説していこう。

国道1号 瀬田川大橋は渋滞のボトルネックとなっている。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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京都市~大津市に悲願のバイパス「滋賀京都連絡道路」ができる?

「滋賀京都連絡道路」の広域図。

「滋賀京都連絡道路」の広域図。

京都市の東側には急峻な山地が立ちはだかっていて、滋賀県内へ抜ける道路はきわめて限られている。

現状、高速道路では名神高速と京滋バイパスがあり、さらにもう一本、新名神高速が建設中だ。しかし、一般道路では、名神高速に並行する国道1号が事実上唯一のルートとなっている。

国道1号は京都市山科区での渋滞が深刻であり、特に京都外環状線と接続する「山科東野交差点」は悪名高い渋滞ポイントだ。また、府県境にある逢坂山の峠越えから滋賀県大津市・草津市内までは旧態依然とした片側1車線の道路となっている。ここは京都~滋賀南部の交通流が集中し、朝夕は延々と混雑する区間だ。特に大津市の瀬田川大橋周辺では昼間12時間もの間、連続して速度低下する状況となっており、死傷事故率も片側1車線区間全体の全国平均を超える多さだ。

渋滞する京都市山科区の国道1号。

渋滞する京都市山科区の国道1号。

地域特性として、京都・滋賀の両方に事業所や物流施設を置く企業が多く、相互移動の需要が高いことも特筆事項だ。しかし混雑により定時制が確保されず、所要時間に「最大50分」ものバラツキがあるというデータもある。

さらに府県境部は雨量規制があるなど大雨・大雪に弱く、過去15年で7回の通行止めが発生。う回路がほぼないため、府県間の移動が簡単に寸断状態となる課題にも悩まされている。

こういった背景から、京都~大津をつなぐ区間に対して、古くからバイパス建設が要望されてきた。それが「滋賀京都連絡道路」の計画だ。

平成初期から地元議会では「バイパスはどうなっているのか」「話は進んでいるのか」という質問が毎年のように上がっており、例えば1996年の大津市議会において市長から「課題解決に向けた検討をしているところであり、今後さらに京都~大津間の道路網の検討委員会において、必要性、重要性を強調し、早期の具体化に努めてまいりたい」という答弁も出た。

それから約30年が経過し、すでに京都~大津をつなぐバイパスは「夢物語」という認識も広がり、いつまでも検討を続けるだけで、非現実的なものという印象が強まっていた。

しかしここに来て、ついに事業化に向けた具体的なプロセスの第一歩が始まろうとしている。それが「計画段階評価」の動きだ。

気になるルートは? 今どこまで進んでいるのか

「滋賀京都連絡道路」の概略図。

「滋賀京都連絡道路」の概略図。

京都~大津をつなぐバイパス「滋賀京都連絡道路」の計画について、ルートなど詳細を見てみよう。

現在の主要ルートである国道1号は草津市から南西に進み、琵琶湖南端の瀬田を通過すると北西に進み、大津市中心部を経由して京都市内へ入る「S字」ルートをたどっている。

バイパス計画では、瀬田からまっすぐ西へ進んでトンネルで山を貫き、京都市へと入る形で検討が行われているようだ。トンネルの先は京都市山科区の椥辻(なぎつじ)エリアにつながっていて、そこには4車線の東西軸「新十条通」が整備されている。そのまま「稲荷山トンネル」を通過すれば、第二京阪道路経由で大阪方面へも直通するルートになる。

最新の検討方針では、第二京阪道路へ直結するルートだけではなく、国道1号の蹴上方面(京都市東山区)へ合流するルートも検討されているようで、2つの可能性を含めた概線が引かれているのも興味深い。最終的にどちらのルートが選択されるのかは、計画段階評価で結論が下ることとなる。

ちなみに、かつては大津市北側の「下鴨大津線」ルートとして、近江神宮(大津市)から比叡平(大津市)を経由して、出町柳(京都市左京区)方面へ抜けるバイパス案も検討されていたようだ。

「滋賀京都連絡道路の整備は必要不可欠」と国は結論付けている。

「滋賀京都連絡道路の整備は必要不可欠」と国は結論付けている。

次に、現在の本計画の進捗を見てみよう。

2018年3月、国道1号が「重要物流道路」に指定され、機能強化の機運が高まった。同年には、地元自治体をはじめとする「滋賀・京都間の新しい国道1号バイパス建設促進期成同盟会」が結成され、改めて現状把握を主目的とする検討が始まった。

2021年、国土交通省の「新広域道路交通計画」にも調査路線としてリストアップ。その後、断続的に調査検討がおこなわれてきた。

そして2024年11月、「国道1号(大津・京都間)道路検討会」が設立。2025年3月の第2回会議でついに「概略ルート・構造の検討に向けて調査を推進する」という方針が明記された。

さらに、2025年4月初頭に発表された近畿地方整備局の年度計画には、「計画段階評価を進めるための調査」の対象区間として「滋賀京都連絡道路」が悲願のリストアップ。今まで水面下で進められてきたバイパス計画が、ついに最前線へ立つこととなったのだ。

計画段階評価が正式開始されると、一般的に2回の地域アンケートで概略ルートや構造を決定。それをもとに都市計画決定と環境アセスメントの手続きが進められる。それらが完了すれば、いよいよ事業化を待つだけとなる。

果たして計画段階評価はいつ始まり、地域アンケートはいつ実施されるのだろうか。そして、計画段階評価における最大のトピックとして先述のとおり、京都側で「第二京阪道路へ直結するルート」になるのか。それとも「国道1号の蹴上方面へ合流するルート」になるのかが最終決定されることだろう。

京都・滋賀にとって、もはや「歴史的プロジェクト」ともいえる新バイパス「滋賀京都連絡道路」の計画。事業化までの道のりはまだ長いが、今後の進捗にも引き続き注目していきたい。

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