大阪~奈良~三重のアクセス強化!「清滝生駒道路」工事はどこまで進んだ? 4車線&立体交差で渋滞解消へ【いま気になる道路計画】
大阪府、奈良県、京都府にまたがる延長11kmの高規格道路「清滝生駒道路(きよたきいこまどうろ)」の計画が進められている。開通によるメリットや、現在の工事進捗状況について解説していこう。
この記事をシェア
大阪府・奈良県・京都府にまたがる「東西道路」を強化

国道163号「清滝生駒道路」の位置図。
「清滝生駒道路」は、大阪府、奈良県、京都府をまたぐ国道163号のうち、大阪府四條畷市中野から奈良県生駒市鹿畑町を結ぶ幹線道路。大阪府域(清滝区間5.3km)と奈良県域(生駒区間5.7km)による総延長11.0kmの道路だ。
大阪府と奈良県のあいだには縦に急峻な「生駒山地」が立ちはだかっているため、他の府県同士と違い道路ネットワークがあまり発達していない。
現在、両県の主要ネットワークとなっているのは、大阪市街と奈良市街を最短距離で直結する「阪神高速東大阪線~第二阪奈道路」、そして生駒山地南側を抜けていく「西名阪自動車道」、「南阪奈道路」がある。
一般道路では第二阪奈道路の旧道とも言うべき「阪奈道路」と、その北側で四条畷市から生駒市を経て京都府木津川市へ抜けるルート「国道163号」がある。
国道163号はさらに東進して伊賀市で名阪国道へも直結。奈良県~三重県の貴重な東西軸となっており、大阪府から名阪国道を経て名古屋方面へ向かう重要なルートを形成している。
そんな重要な役割を担う国道163号だが、大都市から外れたルートであるからか、長らく旧態依然とした2車線道路のままとなっている。信号渋滞も多いため、長距離ドライバーを悩ませる存在だが、それを高規格道路として改築する事業「清滝生駒道路」が進められている。
清滝生駒道路とは? 今後どう変わる?

「清滝生駒道路」の概要。
昭和後期から3府県にまたがるエリアで「関西学術文化研究都市」(けいはんな学研都市)の開発計画がスタートし、宅地化の進行とともに人口も急増。当時は大阪市街方面に行こうにも、とにかくまともな道路が無く、山道を走らざるを得ない状況だったため、国道163号はアクセス道路として機能強化が急務とされた。
清滝生駒道路は1979年に事業化。まずは1990年に長さ1110mの「清滝第一トンネル」が開通し、厳しい峠越えが解消されて一気に走りやすくなった。2013年には清滝第一トンネルに並行する「清滝第2トンネル」が開通。2014年には下田原のランプ部を除く、開通区間において4車線化が実現している。
清滝生駒道路は今後、奈良・京都府県境までの延長11.0kmを丸ごと4車線化し、カーブの少ないバイパスを整備し、複数ある渋滞ポイントを立体化で通過させる計画だ。
また、清滝生駒道路に接続する形で、京都府内では「精華拡幅」と呼ばれる、木津川市街までの延長4.6kmを4車線化&立体化する計画が進んでいる。
現場では高架橋の一部が立ち並ぶが……。

清滝生駒道路の2025年7月時点の工事進捗。
大阪府側では、清滝トンネルを越えて下田原地区に入ったところまでが完了。その先は渋滞多発地点として悪名高い「北田原大橋交差点」(国道168号)を北側の高架バイパスにより通過させ、「高山大橋交差点」(県道枚方大和郡山線)を立体交差させる計画があり、残りは盛土や切土が中心だ。両交差点の整備が完了すれば、所要時間は12分短縮すると試算されている。
そんな残り区間の進捗だが、両交差点で立体交差の構造物が姿を現し、高山大橋交差点では側道部分が先行開通した。西側でも舗装工事の手前まで作業が完了しているようだが、全体的にはしばらくストップしたままとなっている。現在、工事が動いているのは最も京都府に近い工区だけで、ここではバイパス部分の切土工事が進められている。
工事進展の最大の壁が用地取得だ。進捗率は2023年時点で74%、2024年時点で86%。徐々に進捗率は上昇しているものの、まだ工事が本格化するには至らない数字にとどまっている。
地元である生駒市は2024年に国へ早期完成を要望。「整備が遅れている生駒区間において、ボトルネック区間として更なる交通渋滞が懸念されます」「残る事業用地の早期取得や早い段階で供用開始目標を公表するなど計画的な事業実施を要望します」と訴えている。
一方、京都府内の「精華拡幅」では、渋滞多発ポイントだった「乾谷交差点」が2023年に立体交差化されるなどの動きがある。現在はその周辺区間でバイパス・拡幅部の土工が進行中。用地進捗率は2025年4月時点で86%となっている。
このように、学研エリアにとって大阪都市圏へのアクセス強化となる「清滝生駒道路」は、少しずつ前進を続けている状況だ。まずは生駒市内の2か所の立体交差の完成が最初の大きなトピックとなるだろう。地元の期待を受けて悲願の完成を迎えるのはいつになるのか、今後も見守っていきたい。
記事の画像ギャラリーを見る