その6(特別編)/国際福祉機器展で、すごい”泡”をみつけたぞ!
※本文とは関係ございません。これは薬を飲む時間をメッセージで知らせてくれる「スマイルメディくん」
前から思っていたんだけど、このビッグサイト前のオブジェって、「ビッグサイトを切り離すぜ」って意味なのかしら?
さまざまな業界関係者向け展示会・見本市という花園でひっそり咲く、関係者相手に展示される製品の数々。これらの中から専門的という不思議さがなぜか心くすぐるものをピックアップして、白日の下に紹介してしまおうというのが本企画(でした)。
今回は特別に返り咲き! 特別編として、東京・有明の東京ビッグサイトで行われた「第44回国際福祉機器展」(2017年9月27日~29日開催)に出かけて、気になった展示品を紹介します。
久しぶり~、ビッグサイト~!!
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手品のような、泡のシャワー。
その技術的ノウハウは消防車の泡消火剤から!?
このように、シャワーから出てくるのはただの「お湯」なんですが、シャワーホースの根元につながっているタンク(ボディソープが入っている)のレバーをひねると・・・。
シャワーヘッドから噴き出すお湯が手に当たると、みるみるうちにモコモコの泡に。
1本のシャワーを手にした実演者が、デモ用に設けられたステンレス製の大きなシンク越しに会場を行き来する人たちに声をかける。「このシャワーのお湯にご注目くださ~い!」
シャワーヘッドからはお湯が勢いよく噴き出している。そのとき私は見逃さなかった、実演者がシャワーホースの根元につながっているタンクのレバーを目立たぬようにひねるのを。
先ほどまで手はシャワーに差し出してもただお湯で濡れるばかりだったのが、あっという間にきめ細かいモコモコの泡に包まれ始めたのでした。外見上、シャワーのお湯には何も変化がないのに・・・。
「ちょっと新鮮な驚きがありますでしょ。実はこの泡、消防車が消火活動に使用する泡の生成技術を応用したものなんですよ」
こう話してくれたのは、この「泡シャワー装置」を開発した(株)モリタホールディングス研究開発室の松島さん。
泡の出来・不出来は、空気の混ざり具合なのだ!
右側のスケルトン部分にボディソープが収まり、このタンクに仕込まれたコンプレッサーによってきめ細かな泡を作ります。
全身を泡で包むのに20秒だそうです。
介護分野に参入することになった同社が、商品開発の際、まず何を拠り所にしたかというと、介護施設の現場で働く職員がどんな業務の改善を求めているのかということ。
改善の要望の上位にあったのが「入浴の介助」だった。
特に体を洗うことに着目して、この「泡シャワー装置」の開発と相成った。
「手際よく体を洗うために必要なことは、少しの水でも石鹸の泡を洗い流せること。つまり泡切れのよい泡を作ることなんです」(松島さん)
泡作り、そこで生きたのが、消防車が使用する消火用の泡生成技術というわけだ。
「いい泡を作るためには、空気の量が重要です。泡消火剤でも混ぜ込む空気の量によってその質がまるで変わってしまうんです。今回の泡シャワー装置でもそこに苦労しました」(松島さん)
ちなみにこの泡シャワー装置では、タンク満タンの400mLの入浴用液状石鹸(専用)で40人が全身を洗うことができるという。
この泡シャワー装置は、2018年春に発売予定だそうです。
どんな技術がどんなところに結びついて役に立つかって、ホント分かりませんね。
2017年10月2日(JAFメディアワークス IT Media部 上條 謙二)※2017年9月27日取材