北海道・網走までの高速道路はいつ完成する? 女満別空港IC~網走呼人ICの整備に期待!【道路のニュース】
北海道横断自動車道 網走線では「女満別空港IC~網走呼人IC(仮)」が事業化し、整備が進められはじめているところだ。これにより、北見市街と網走市街のアクセスルートである国道39号の代替路の役割を果たすと期待される。
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女満別空港IC~網走呼人IC間が新規事業化!
2024年4月1日、北海道横断自動車道 網走線において“歯抜け”のひとつとなっていた女満別(めばんべつ)空港IC~網走呼人(あばしりよびと)IC(仮)間が、女満別空港網走道路として新規事業化が決定した。女満別空港から網走市街の南(北見側)に位置する網走呼人まで高速道路ができる。
道東道と接続する本別JCTから北見市街と網走市街を経由して網走港に至る、高速道路計画の北海道横断道 網走線。この計画は旭川市や北見市と網走市を東西に結ぶ大動脈といえるものだ。
すでに開通しているのは本別JCT~足寄IC間、飛んで訓子府IC~北見東IC間、さらに飛んで美幌高野IC~女満別空港IC間のみ。事業化が決定しているのは、足寄~陸別小利別間、北見東IC~美幌高野IC(仮)間、そして今回紹介した女満別空港IC~網走呼人IC(仮)間だ。網走呼人IC(仮)~網走港間は調査中で事業化には至っていない。
ホタテをはじめとした水産業や流氷を中心とした観光業の盛んな網走だが、高速道路の整備は道内の他地域と比べて立ち遅れている。冬期間の暴風雪時には北見と網走のアクセスルートである国道39号の通行止めで、幾度となく陸の孤島となっている。そのような背景から、地元の自治体や地域の居住者は、早く網走市街に高速道路を伸ばしてほしいと望んできた。
では、女満別空港IC~網走呼人IC(仮)が完成することで、各地域にはどのような整備効果があるのだろうか? 網走開発建設部の発表している以下3項目を紹介しよう。

北海道横断道 網走線 女満別空港IC~網走呼人間の事業概要図。
【整備効果 その1】 国道39号の渋滞緩和
国道39号の北見市街~網走市街間では、大空町(女満別)の市街地、呼人の市街地、網走の市街地にある交差点と信号の連続の他、複数のカーブ連続区間といった渋滞発生ポイントがある。
女満別空港IC~網走呼人IC(仮)の整備後、網走港~美幌バイパス(女満別空港)の所要時間は現況の29分から26分に短縮。現況では11箇所ある信号交差点もなくなり速達性の向上が見込まれる。
【整備効果 その2】 悪天候時のリダンダンシーの確保
国道39号の道の駅メルヘンの丘めまんべつの周辺は、風を遮る障害物がなくホワイトアウトになりやすい。過去には大規模な立ち往生や通行止めで北見市街と網走市街のアクセスが断たれる事態も発生。
女満別空港IC~網走呼人IC(仮)の整備後は、国道39号の地吹雪発生区間を回避できるようになり、災害時の国道39号のリダンダンシー(代替路)として大きな役割を果たすと期待される。

国道39号の通行止めの発生状況。市街地の交差点で渋滞が発生しやすい傾向がみられる。
【整備効果 その3】 経済や産業に貢献
網走市街と女満別空港や北見市街と網走市街のアクセス向上で、水産品の輸送範囲の拡大や観光客の増加など、網走地域の経済や産業にも貢献すると考えられる。

網走とその周辺の観光状況。網走市を観光後、知床の自然遺産を観光しに行くのは定番のルートとなっている。
2025年度は事業化した女満別空港IC~網走呼人IC(仮)の測量設計を進めるとしており、着工まではまだ年月を要するとみられるものの、事業は確実に進んでいる。
網走の高速道路はどこまでできている?

北海道の高速道路の整備状況。
網走周辺では新規事業化した北海道横断道 網走線の女満別空港IC~網走呼人IC(仮)間の他にも事業中または事業化を目指す路線や区間が複数ある。
それぞれの高速道路整備はどこまで進んでいるのだろうか。現在の進捗を見てみよう。

北海道横断道のルート図。
今回紹介した北海道横断道 網走線と、旭川紋別自動車道(比布JCT~紋別間)を連絡する遠軽北見道路(遠軽IC~北見東IC間)も「生田原道路」の整備が進められている。
遠軽北見道路は、旭峠と旧旭トンネルを迂回する「旭峠道路」、ルクシ峠と旧佐呂間トンネルを迂回する「新佐呂間トンネル」はすでに開通済。
しかし、遠軽側の「生田原道路」は事業中で旭峠道路~新佐呂間トンネル間と新佐呂間トンネル~北見東IC間は事業化されておらず、全線事業化の兆しはなかなか見えてこない。2025年度は生田原道路の着工に向けた事業を進めていくとしている。

遠軽北見道路のルート図。
そして、もうひとつ、網走の道路で注目したいのが道東縦貫道路だ。美幌町から標茶町までを結ぶ高速道路の計画で、開通すれば網走と釧路の直通ルートとして機能することになるが、事業化の目途は立っていない。

道東縦貫自動車道のルート図。北海道における高規格道路ネットワーク(北海道開発局)資料より抜粋。
冬期の厳しい自然環境で道路状況も過酷な網走の高速道路整備が進められることを期待したい。
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