国道4号・仙台「箱堤交差点」がついに立体交差化! 国内最大規模の巨大交差点の渋滞はどれぐらい緩和された? 【道路のニュース】
国内最大規模の交差点として知られる国道4号 仙台バイパス「箱堤交差点」の立体化が、2025年2月9日午前5時に完了した。この整備によって、長年の課題であった渋滞は解消されたのだろうか? 立体化完了後の整備効果をみてみよう。
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国内最大級の交差点「箱堤交差点」が立体化!
国内最大規模の交差点のひとつとして知られる、国道4号 仙台バイパスの「箱堤交差点」。東北最大の都市・仙台市中心部の東側に位置するこの交差点は、南北に国道4号 仙台バイパスが走り、東西に仙台市道元寺小路福室線が平面交差している。
国道4号の南行き(至東京)は左折2・直進3・右折3の8車線、北行き(至青森)は左折1・直進3・右折3の7車線、交わる市道もそれぞれ片側5車線となっているものの、交通量の多さから慢性的な渋滞が発生していた。

交通切り替え(立体化)前の箱堤交差点。
そのため、仙台河川国道事務所は国道4号 仙台バイパスの拡幅事業として、2019年より「箱堤交差点」を含む卸町交差点から苦竹ICまでの延長1.4kmの区間で立体化を進めてきた。そして2025年2月9日午前5時に高架橋の開通をもって交通を切り替えた。
交通切替後、箱堤交差点の平面部は国道4号の南行き(至東京)は左折2・直進2・右折2の6車線、北行き(至青森)は左折1・直進2・右折2の5車線に変更。そして高架部を直進4車線にして交差点を完全スルーできるようになった。

交通切り替え(立体化)後の箱堤交差点。箱堤立体(高架橋)で大規模な交差点を完全スルーする。
箱堤交差点立体化の整備効果
では、この整備で長年の課題であった渋滞は解消されたのだろうか? 国土交通省 東北地方整備局 仙台河川国道事務所は2025年3月24日、箱堤交差点立体化後の交通状況結果を発表した。

箱堤交差点の交通切り替え(立体化)前後の交通状況。
【整備効果1. 箱堤交差点付近の断面交通量が増加】
箱堤交差点付近の断面交通量(※1)は、交通切替前の 5万7800台/日から、交通切替後は6万2300台/日(※2)に増加。約8%の増加率は、立体化で交差点のさばける車両の台数が増えたことをしめしている。
(※1 断面交通量とは、交差点における各道路の交通量を断面別に示したもので、交差点における車両の流入と流出を指す。)
(※2 2025年2月5日の交通量調査結果)
【整備効果2. 断面交通量のうち約7割が高架部を通行】
箱堤交差点では、交通切替後の断面交通量6万2300台/日台のうち、約7割にあたる4万1400台/日(※)が高架部を通行しており、高架部と平面部で交通量を分散していることが明らかとなった。
(※2025年2月19日の交通量調査結果)
【整備効果3. 朝ピーク時の箱堤交差点先頭の渋滞が解消】
箱堤交差点の立体化後、朝ピーク時の同交差点を先頭とする渋滞が解消した(※)。現地の写真を比較してみると、交通切替前は青森から東京に向かう車両が列をなしていたのに対し、交通切替後は信号待ちの車両が減少し渋滞が緩和している。
(※2025年2月19日朝ピーク時の渋滞長調査結果)

箱堤交差点付近の朝ピーク時の交通状況を比較した写真。
【整備効果4. 南進車両の箱堤交差点通過時の走行時間短縮】
南進(至東京)車両が箱堤交差点を通過する際の走行時間(※1)は約6分30秒であったのに対し、交通切替後は約2分30秒となり、約 4 分の時間短縮を実現した(※2)。
(※1上り車線平日朝ピーク時に高架部を走行した場合)
(※2 交通切替前は2025年2月4日朝ピーク時、交通切替後は2025年2月19日の苦竹IC付近~卸町交差点間における走行時間調査結果)
以上の結果報告から、箱堤交差点は立体化により渋滞解消や走行時間短縮といった大きな効果をもたらしていることがわかった。
なお、この交差点は日本損害保険協会の発表する最新の「全国交通事故多発交差点マップ(2023年版)」で、宮城県内における人身事故の多かった交差点のワースト1となっている。今回の立体化によってどの程度、交通事故が減少したのか、そちらの報告にも期待したい。
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