梅ヶ谷トンネル 開通半年後の整備効果は? 所要時間短縮や防災性向上の成果を発表。【道路のニュース】
2025年1月15日、東京都建設局は「梅ヶ谷トンネル」(都道238号大久野青梅線)の開通から約半年後の整備効果を発表した。西多摩の日ノ出町「大久野」と青梅市「梅郷」を結ぶこのトンネルの開通は、地域の交通アクセスにどのような変化をもたらしたのだろうか。
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日の出町と青梅市の新アクセスルート「梅ヶ谷トンネル」
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開通当初の梅ヶ谷トンネル(青梅市側)。
記事の画像ギャラリーを見る2024年3月16日、「梅ヶ谷(うめがた)トンネル」は西多摩地域の日の出町~青梅市間の新しいアクセスルートとして開通した。トンネルの全長は約1.5km。日の出町の西側に位置する「大久野」と青梅市の南側に位置する「梅郷」をダイレクトに結び、両地域を南北に隔てる「梅ヶ谷峠」を越えずに横断できるようになった。
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梅ヶ谷トンネルの位置図。トンネル開通前まで大久野エリアの往来は都道184号に限られていた。
日の出町の中心部の西側には人気観光地の「つるつる温泉」もあり、地域の居住者だけでなく観光客の往来も盛んだ。しかし、これまで日の出町の中心部と西側の地域を結ぶ都道184号は、つるつる温泉で行き止まりのうえ、日の出町内や隣接する青梅市・あきる野市と接続する道路がひとつもない状況だった。
交通が不便なことはもちろん、災害などで道路が寸断されれば、代替路はない。実際、2019年の台風19号では、都道184号の路面が大きく損壊したため通行止めに。その結果、地域は孤立した。
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台風19号で大きく損壊し、通行止めを余儀なくされた都道184号。
そうした経緯から、自治体や地域の居住者から完成が待ち望まれた梅ヶ谷トンネル。いまでは約740台/12時間あたりの車両がこのトンネルを利用している。
開通からおよそ半年した2025年1月15日、東京都建設局は開通半年後の整備効果を発表した。地域の交通にどのような変化をもたらしたのだろうか。
梅ヶ谷トンネル開通後の所要時間が1/4に短縮
東京都の発表によれば、梅ヶ谷トンネルの開通後で、青梅市の梅郷(梅ヶ谷峠入口交差点)から日の出町の大久野(肝要の里)付近までの所要時間が、約20分から約5分に短縮したという。約15分という、大幅な所要時間短縮を実現。地域間のアクセス性は大幅に向上した。
<所要時間短縮事例>
梅ヶ谷峠入口交差点 → 肝要の里付近
[開通前] 約20分 → [開通後] 約5分
→ 約15分短縮
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梅ヶ谷峠入口交差点~肝要の里付近の所要時間は大幅に短縮された。
※開通前の調査日は平日2023年11月16日(木)・休日11月12日(日)/ 午前7時~午後7時、開通後の調査日は平日2024年10月10日(木)・休日9月8日(日)/ 午前7時~午後7時
つるつる温泉行路線バスの新路線も誕生
地域間のアクセス性向上は、つるつる温泉行路線バスの新路線誕生にもつながった。これまで、つるつる温泉行の路線バスは、JR五日市線「武蔵五日市駅」発着のみであったが、梅ヶ谷トンネルの開通後には、JR青梅線「青梅駅」発着の新路線も運行(新路線の運行は土曜休日のみ)されるように。両地域の観光に大きく貢献したといえるだろう。
梅ヶ谷トンネルの開通で、災害時のリダンダンシー(代替路)も確保された。利便性と安全性の向上に、「トンネルができてよかった」という声も多く、今後の地域の発展にも注目したい。
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