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最終更新日:2025.01.30 公開日:2025.01.30

八王子南バイパス開通で渋滞問題が懸念……国道16号の拡幅がカギか?【いま気になる道路計画】

東京から長野までつながる国道20号(甲州街道)では、渋滞緩和のために八王子南バイパス、日野バイパス(延伸)、日野バイパス(延伸)II期の3つの道路工事が事業化されています。そのうち八王子南バイパスでは現在、トンネル採掘や橋梁架設の工事が行われていますが、同バイパスが開通すると、実は国道16号と交わる地点において渋滞が発生するという懸念があります。問題を解消する方法はあるのでしょうか。

文=大門道子

資料=国土交通省相武国道事務所

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八王子南バイパスって? いつどこにできる?

八王子南バイパスの概要図。

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八王子南バイパスは、八王子市北野町から高尾山ICまでを結ぶ9.6kmの道路です。このバイパス建設によって交通分散と円滑化を図ることで、八王子市と日野市中心部を通る国道20号で慢性的となっている渋滞の緩和と交通事故減少、地域活性化が期待されています。また、圏央道へのアクセスが向上することで物流促進と利便性向上にもつながると想定されています。

同バイパスは、4つの工事区間に分けて事業が進められており、高尾山IC〜町田街道の約2.6kmは平成22年に開通済みです。現在は続く町田街道〜八王子市大船町までの約2.5kmを中心とした工事が進められています。ここでは、舘第二トンネルの掘削工事が難航しているため、具体的な開通時期は未定で全体開通にはまだ時間を要する見込みです。

八王子南バイパスの課題点とは?

国道16号周辺事業の概要図。

国道20号などの渋滞解消に効果のある八王子南バイパスですが、開通することによって別の場所で渋滞が発生するのではないかと懸念されているようです。それは八王子南バイパスと国道16号が交わる京王片倉駅周辺です。

八王子南バイパスが国道16号と交差する黄金橋交差点〜片倉町交差点の区間では、東京都が「八王子3・3・10号」という都市計画道路を計画中です。また、同じ区間にある北野街道においても拡幅事業が計画されています。さらにこの近辺では八王子市が「集いの拠点」と呼ばれる公園整備を行っています。

つまり、八王子南バイパスと国道16号が交差する地点周辺は、国土交通省だけでなく、東京都や八王子市の事業が集中している地区となっているのです。そのため、もともと交通量の多い国道16号にさらに負荷がかかり、渋滞が悪化するのではないかと懸念されています。

国道16号現道と八王子バイパスの交通状況。

国道16号は八王子市内の内々交通が多く、八王子バイパス無料化後も混雑の大幅な解消は見られませんでした。とくに片倉町交差点から子安町交差点間は交通量が交通容量を超過していることから、これ以上混雑を増加させるわけにはいきません。

そこで、片倉町・万町地区現道対策調整会議において国土交通省と東京都、八王子市が一体となって、周辺事業による国道16号現道への影響等について共有を図り、必要な対策を検討しているところです。

拡幅工事で京王電鉄の高架橋下がネックに

国道16号と京王電鉄の交差部の課題。

八王子南バイパス、八王子3・3・10号、北野街道がそれぞれ国道16号と交差している黄金橋交差点〜片倉町交差点の区間では、道路が片側1車線分しかありません。そのため、交通特性を踏まえた具体的な対応方針の検討が必要とされています。

国土交通省相武国道事務所によると、すでに国道16号の当該区間では幅員を25メートルにする都市計画が決定されており、工事を進められるかどうかを検討中とのことです。ここで課題となっているのが、京王高尾線の高架下部分です。拡幅が検討されている道路のうち、一部が京王高尾線の路線の下を抜ける形になっているのです。そのため、国土交通省と京王電鉄は工事に向けて調整中です。

相武事務所の担当者は、「我々としては、市民の生活道路や幹線道路として使われている国道16号を止めるということは簡単にはできません。一方で京王電鉄も多くの人が利用しています。ライフラインが重なってしまっているこの区間の工事をどう進めるかが課題となっています。また、 25メートルの都市計画幅員まで拡幅すると、片倉駅の駅舎にあたってしまいます。そのためホームを削ることがそもそも可能なのかも懸念があります」と話します。

もし拡幅工事を実施するとしたら、工事できるのは終電から始発までの深夜~早朝の時間帯となります。しかし、京王線の終電は0時台で始発は5時台からと時間が短く、時間的制約が大きいとのこと。また、この近辺は住宅街になっているため、深夜に工事をおこなう場合、騒音への配慮も必要であり難工事が予想されます。国道16号や京王高尾線の運行に支障がない位置や工法の検討が必須なのです。

右折車線の延長で渋滞緩和を図る

子安町交差点の渋滞発生状況。

工事の難点や用地買収など、拡幅事業を進めるためには時間を要するため、実際に工事を進めるにはまだ期間がかかるようです。

そこで、渋滞の短期対策として、子安町交差点の右折車線の延伸を検討中です。子安交差点において川越方面に向かう道路では、右折した先に八王子駅があります。そのため、バスや駅へ向かうクルマなど、右折車線の需要が多い一方で、右折車線がわずか30mしかなく、混雑が発生しやすくなっているからです。

現在、八王子南バイパスは町田街道〜八王子市大船町までの約2.5kmの工事が進められている最中です。渋滞が懸念される国道16号との交差地点には到達していませんが、いずれ解決が必要となる課題です。特に、国道16号の拡幅工事における京王高尾線高架下の問題をどのようにクリアしていくかが鍵となるでしょう。

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