嶋田智之が選ぶ今年の1台は「ミニ クーパー」━━【若者はこれに乗れ! KURU KURAカー・オブ・ザ・イヤー2024-25】
日本を代表する著名モータージャーナリスト20名が、20代・30代の若者にオススメしたい今年いちばんのクルマを選出。新車・中古車問わず、いま購入できる車両の中から、嶋田智之が選んだベストカーを紹介しよう!
今年いちばんのクルマ
ミニ クーパー|MINI Cooper
今年いちばん! というテーマならニューモデルでしょ? ならば、僕は日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考でも最高得点を投じた、ミニ・クーパーを推す。
歴史的な名車である初代ミニの世界観とテイストを解釈し直した新世代のミニが登場したのは2001年。そこから改良と洗練とを繰り返して第4世代となった現行モデルは、歴代で最もシンプルにしてミニマルなデザインでアイコニックな愛らしさを表現し、歴代で最もイージーにゴーカートのような俊敏な走りの楽しさを堪能できるモデルに仕上がっている。
ガソリンエンジン版とバッテリーEVがあって、乗り味は少しずつ違うけど、どちらもミニならではの楽しさを満喫できるところがまた凄い。価格は396万円からと安くはないが、それだけの価値は、間違いなくある。ちなみに今回、インポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
ドライブデートしたいクルマ
アルファロメオ ジュリエッタ|Alfa Romeo Giulietta
若いふたりが愛を貫こうとした物語『ロメオとジュリエット』を思い起こさせる、ロマンティックな車名。実は車名だけでなく、かなりデートカーにもふさわしい存在だ。
古今東西のハッチバックの中で最も彫刻的で美しいスタイリング。幼稚さも安っぽさも足りないものもないインテリア。回転型の針を跳ね上げるような走り方も、トルクにゆったり身を任せるような走り方も、どっちも受け入れてくれるエンジン。あらゆる場面で気持ちよく曲がれるハンドリング。さらには荒さも粗さもない乗り心地。運転席の人にとっても助手席の人にとっても満足感が高い。
そもそもアルファロメオは100年以上も前から美と官能と快感のブランド、日常の中の非日常そのものだ。恋するふたりとって、それ、大切でしょ? すでに新車では買えないけど、その分リーズナブルに手に入れられるのも確かだ。
家族でお出かけしたいクルマ
ホンダ フリード|Honda Freed
最強のファミリーカーがミニバンであることに疑いの余地はない。ただひとつの難は、ステアリングを握る人がただの“運転手”になってしまいがちで、労多くしてあまり楽しくない、ということだろう。
だが、新型フリードは違う。ミニバンとしては異例なほど気持ちよく曲がれる鮮やかなハンドリングがあるから、運転していて自然と気持ちが浮き立ってくるのだ。つまらない想いをこらえる必要がない。
まぁ、そういうクルマになったのも然り。開発責任者は、S660というスポーツカーの開発を裏で強力に支えた真の中心人物。ミニバンだからって眠たいクルマなんて作らない。もちろんミニバンとしての機能も満足できるレベルだし、威圧感のない優しいデザインも好感が持てる。誰もが楽しいミニバンという点で、これを越えるモデルはない。日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのも、当然といえば当然なのだ。
運転が楽しいクルマ
トヨタ86/スバルBRZ|Toyota 86/Subaru BRZ
クルマ好きの多くはドライブ好き。ドライブとは、すなわち“操縦”。ステアリング、ペダル、ギアといったクルマの動きを司る部分をいかに操るか、である。そうした操作系のフィールが心地よいか、操作してる自分の意志にクルマは忠実に反応してくれるか。そこが高いレベルで満たされてるクルマこそが“運転の楽しいクルマ”と言っていいだろう。
それを比較的リーズナブルに味わえるのが、トヨタ86にスバルBRZというメーカー違いの双子車だ。どちらかといえば86はスポーツカー色が強くBRZはGTカー色が強いような印象があるけど、どちらも“操縦”する歓びは満点、ドライバーの意志を酌み取って反応してくれる点でも満点。クルマ好きにとっての最高の相棒になってくれるモデルなのだ。もちろん最新こそ最良ではあるのだけど、初期モデルのユーストカーでも充分に楽しい。
もし自分がいま20代だったら欲しいクルマ
マツダ・ロードスター|Mazda Roadster
自分の人生の中に後悔してることがあるとしたら、それは20代の頃にロードスターを買わなかったこと、だ。
なぜならロードスターは、爽快な加速、正確な減速、軽やかなフットワーク、フィール抜群の操作系、慣れれば自由自在に操れるコントロール性というスポーツカーに望みたいすべてを満たしていて、さらにはオープンエアモータリングの快感まで備わっている。飛ばしても楽しい。流しても気持ちいい。スポーツカーとはどういうものか、どうあるべきか。それをやんわりと、けれど徹底的に教えてくれる。いったいどこまで精神的に贅沢なクルマなんだろう? とあらためて思う。
しかも、だ。驚いたことに歴代すべてがそうなのだ。世界に誇れる名車と言っても過言じゃない。もしあの当時にロードスターを手に入れていたら、僕の人生はまた違ったものになってたことだろう。
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