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最終更新日:2024.12.18 公開日:2024.12.18

クルマのエアコンフィルター交換、サボってない? 自分で点検・交換する方法を紹介!【カーマニア本田浩隆の愛車日常メンテナンス】

愛車のエアコンから出てくるニオイが気になったら「エアコンフィルター」をチェック! “35歳以下のクルマ好き”が参加条件のカーミーティング「YOKOHAMA Car Session(YCS)」運営メンバーで、テクニカルライターとしても活躍中の本田浩隆さんに、フィルター交換の基本を教えてもらった。

文=本田浩隆(YOKOHAMA Car Session)

写真=内藤敬仁

本田さんは知人が5年近く眠らせていた「シトロエン BX(最終型)」を自ら修理して路上復帰させたり、お世話になっている整備工場に足を運んでは、クルマの整備を手伝ったりするほどクルマいじりが大好き。メンテンナンスに用いたクルマはルノー カングー(KCK4M)。

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エアコンフィルター交換を放っておくとどうなる?

クルマのオートエアコン機能の標準装備化が進んでいる昨今、乗車中は常に空調が効いており、乗員は快適な車内空間で過ごすことができます。

一方で、カーエアコンは家庭用エアコンと違い、酷暑や極寒の環境下で、砂埃や排気ガス、花粉や虫の死骸、さらには車内のホコリやニオイまで、さまざまなものを吸い込みながら稼働しています。このような汚れた空気が吹き出し口から、ダイレクトに車内に入ってきてしまっては、当然人体に良くありません。もし、そのような状況なら我々も、マスク(場合によってはガスマスク!?)を着用せざるを得ません。

そこで、カーエアコンを通して、汚れた空気が車内に入らないようにするマスクのような存在が、エアコンフィルターなのです。マスクを何日も使い続ける方はいないと思いますが、それと同様にエアコンフィルターも定期的な交換が必要な部品です。

エアコンフィルターを定期交換しないと、風量MAXなのに風量が弱い、吹き出し口から出てくる風が何だか臭う、さらには風量が弱いからとMAX運転を続けた結果、ブロアファン(エアコンの風を送る扇風機のような部品)に負荷がかかり、モーターの焼き付きやリレーの焼損等、大きなトラブルにも発展します。

快適な車内空間を守るために、次のようなチェックを心がけてください。

エアコンフィルターの交換を怠ると、汚れた空気が車内に充満する原因になります。※写真はイメージです。

エアコンフィルターの状態をチェック!

エアコンのニオイの原因は、エバポレータ(熱交換器)についた水滴が空気中のチリやホコリを取り込み、カビや雑菌が繁殖したものなどが挙げられます。

カビを発生させないための対策として、エアコンユニットの中を乾燥させる方法があります。まずは空気を入れ替えるために、内気循環から外気導入モードに切り替えます。

次にエアコンを停止し、ヒーターをMAXにセット、最大風量で10〜15分程度送風運転を行います。これでエアコンユニット内はカラカラに乾燥した状態となりますので、エアコンフィルターを長持ちさせることができます。特にクルマを長時間停めておく前は、この工程を行ったほうがいいでしょう。

エアコンフィルターは、一般的な国産車ではグローブボックスを全開にし、さらにストッパーを外すと見えるフタの中に入っています。そのフタを外し、フィルターをゆっくり引き抜くと、汚れ具合を確認できるので、日々点検しておくといいでしょう。

エアコンフィルターには、標準的なものの他に、脱臭抗菌機能や花粉・PM2.5を遮断できる高機能なものもあります。車種によっては標準タイプと高機能タイプのフィルターがラインナップされていることがありますので、使用状況に合わせて選択してください。

一般的な国産車では、グローブボックスの奥にエアコンフィルターがあります。ここに収まっているタイプなら交換作業はすぐに終わります。(c)Jitti – stock.adobe.com

エアコンフィルターを交換してみよう!

実際の作業は、セルフチェックで紹介した手順に加え、使用済みのフィルターと新品のフィルターを交換するのみです。フィルターを取り外した際に、収納スペースの奥の方にゴミが溜まっている可能性があるので、掃除機などで吸い込んでおきましょう。

新しいフィルターをセットするときは、「AIR FLOW」マークが正しい向きになっているか確認してください。古いフィルターには排気ガスの粒子の他、さまざまな汚れが付着していますので、車内でひっくり返さないように注意しながら、そのままゴミ箱へ捨ててください。

ルノー カングー(KCK4M)の場合、ワイパーとカウルトップを取り外さないと、エアコンフィルターの交換ができません。国産車は整備に優しい設計だと実感する瞬間です。

ようやくエアコンフィルターまで辿り着きました。交換前のフィルターはさまざまな汚れが付着しているので、丁寧に取り出しましょう。

基本的にエアコンフィルターは、汚れを掃除機で吸ってもフィルターの繊維内にある異物まで吸いきれないため、再使用はできません。

今回、メンテナンスに使用したルノー カングーはフィルターの取り付け位置がかなり奥まったところにあり、カウルトップのメンテナンスリッドを開けてもフィルターには到達できず、ワイパーやカウルトップを取り外す大作業となってしまいました。

このように、輸入車の場合はグローブボックスを開けてもエアコンフィルターに到達できない車種が数多くありますので、クルマのどこにフィルターが付いているのか、下調べを行うことをお勧めします。

フィルターを取り出した後のスペースを確認すると、細かなゴミ以外にも枯葉がたくさん溜まっていました。

ゴミは吹き飛ばさず、細いノズルをつけた掃除機で吸引してしまいましょう。

フィルターを交換してもニオイが取れない? その他の原因とは

交換したフィルターを見てみると、さまざまな汚れが付着しています。フィルターを取り外したところからはエアコンユニットの内部や、エバポレータを確認することもできますので、エアコンを酷使する夏前などは、エアコン用の洗剤と高圧スチームで徹底洗浄してみてもよいと思います。

フィルターを交換してもニオイが取れないこともあります。その場合、特に喫煙車ではタバコのヤニがエアコンユニットに溜まることで、中華料理屋のダクト下のようなギトギトになっていることもありますので、エアコンユニットの洗浄をお勧めします。

左が新品、右が交換前のエアコンフィルターです。底部分に細かなゴミが溜まっているのがわかりますね。今回はドイツの世界的自動車部品メーカーMAHLE(マーレ)のエアコンフィルターを使用しました。同社のフィルターは濾過有効表面積が大きいフィルター濾材を使用しており、微細粒子を長期間濾過してくれます。

エアコンが臭うからといって安易に芳香剤に頼るのは、ニオイの元を絶つわけではなく、場合によってはエアコンのニオイと芳香剤のニオイが混ざって具合が悪くなることもあるので、まずは外気導入で車内の空気を入れ替え、ヒーター全開でエアコンユニットのカビ対策をしたのちに、フィルターを交換してから、新しい芳香剤を取り付けることをお勧めします。

本来は夏前がエアコン清掃のチャンスですが、冬でもニオイが気になったら点検してみてください。この作業方法をぜひ実践して、快適な車内環境を手に入れてください。

正しくエアコンフィルターをセットしました。さて、取り外したパーツを元に戻しますか……。

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