非常時に使う「発炎筒」有効期限は大丈夫? 使い方や注意点を確認!
クルマのガス欠や故障などのトラブルに見舞われて走行が困難になった時、路肩にクルマを停めて発炎筒を使い、周囲に異常を知らせる必要があります。 しかし、発炎筒を使う機会は滅多にないでしょう。いざという時に困らないよう設置場所や使い方をおさらいしておきましょう。
そもそも発炎筒とは?
発炎筒の正式名称は「自動車用緊急保安炎筒」です。クルマの故障や交通事故など、緊急事態により道路上で停止しなくてはならなくなったときに、第三者へ危険を知らせるために使用します。
もともとは踏切事故を防ぐための非常信号用具としてクルマに装着されていましたが、現在は一般道路や高速道路にまで使用機会が拡大し、交通事故防止に貢献しているようです。
発炎筒で異常を知らせることで、衝突などの二次被害防止につながります。たとえばカーブなどの視認性が悪い場所でクルマが故障し、停車してしまった時は、発炎筒を使って周囲に早めに存在を伝えることで、後続車との交通事故を回避することができます。
発炎筒の搭載は法的な義務! 車検に影響する可能性も
発炎筒は安全のために欠かせないアイテムであり、道路運送車両法第43条の2にて、全車両に装着が義務付けられています。詳しい内容は以下の通りです。
「自動車には、非常時に灯光を発することにより他の交通に警告することができ、かつ、安全な運行を妨げないものとして、灯光の色、明るさ、備付け場所等に関し告示で定める基準に適合する非常信号用具を備えなければならない」
このように、発炎筒の搭載は法的な義務であり、万が一クルマに搭載されていない場合は車検を通すことができません。
また、発炎筒は全てJISの規格をクリアしたものがクルマに使われています。発炎筒は鮮やかな赤い炎を発しますが、炎の平均光度は140カンデラ以上、炎の持続時間は5分以上と定められています。
なお、発炎筒の使用期限は4年までです。もし使用期限が過ぎていると、劣化によっていざ使った時に点火しないおそれがあるので要注意です。劣化により規格を満たさなくなった発炎筒は交換の対象になり、車検時に引っかかるおそれがあります。この場合は、すぐにディーラーや整備工場で交換してもらうようにしましょう。
ちなみに、発炎筒はよく「発煙筒」と間違われますが、これらは別物です。発煙筒は煙を発するものですが、クルマに搭載されている発炎筒は、あくまで炎によって周囲に合図を送るものです。この違いに注意しましょう。
発炎筒の使い方は?
いざ発炎筒を使う時はどうすれば良いのでしょうか。
まず、シチュエーションとしては、交通事故や故障、パンクや燃料切れなどなんらかのトラブルによりクルマが走行困難になり停車を余儀なくされた場合に発炎筒が必要となります。落ち着いて使用することが安全につながるので、流れをしっかり頭に入れておきましょう。
発炎筒を設置してある場所は、基本的に助手席の足元です。そのため、助手席に座る場合はあらかじめ設置位置を把握しておくといいかもしれません。
クルマの異変を感じたら、すみやかにハザードランプを点灯させ路肩に停車します。
次に、発炎筒を持ってクルマの外に出たら、点火を試みましょう。火のつけ方はマッチと同じ感覚で大丈夫です。発炎筒本体のキャップを外し、キャップについている擦り板を本体のマッチ部分に擦ると火がつきます。点火したら、発炎筒をクルマの50mほど後ろに置きます。
また、同時に三角表示板(停止表示器材)を設置することを忘れないようにしましょう。高速道路上で停車する際は、三角表示板を使って停車していることを示さなくてはなりません。これを怠ると「故障車両表示義務違反」となり、罰金が課せられてしまいます。
無事発炎筒を設置し終えたら、すぐに安全な場所に避難しましょう。
発炎筒を使用しない方がいい時!
後続車へ危険を知らせるために重要な発炎筒ですが、使用しない方がいい場合もあります。
それは、トンネル内でクルマが停止したときです。発炎筒の煙がトンネル内に充満して、他のクルマの視界を妨げ、さらなる事故を招く危険性があるため、発炎筒の使用はNGです。
また、交通事故によりガソリン漏れの危険がある場合も、発炎筒の使用を控えた方がいいでしょう。発炎筒の火がガソリンに引火して、二次被害をもたらす恐れがあります。
最近は、発光ダイオード(LED)を使用した発炎筒の代替品「LED非常信号灯」も普及してきています。上記のような状況でも、LED非常信号灯であれば、火や煙による危険性がなく利用することができるので、利用を検討してみてもいいかもしれません。国土交通省保安基準に適合したものであれば、車検にも対応します。
このように、発炎筒の使用方法はそんなに難しいものではありません。万が一の事態が起こった際には、これらの事を思い出し、状況に応じて冷静に行動することが大切です。
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