「青の位置が矢印の信号機」ってなんだ? 更新で消えゆく超激レアモデルだった! 【信号機マニア・丹羽拳士朗の偏愛日記 #1】
北は北海道から南は沖縄まで、全国の珍しい信号機を訪ね歩いて20年! 信号機マニア・丹羽拳士朗さんの新連載がスタート。記念すべき第1回目は、常識にとらわれるな!「青の位置に矢印が組み込まれた信号機」を紹介しよう。
信号機の種類は1000種類以上もある!?
街中を歩いていたり、あるいは車を運転していたりすると、必ずと言って良いほど目にするのが信号機。それだけ身近に存在しながら、信号機自体に興味を惹かれたり注目される方は少ないのではないだろうか。むしろ信号機が赤に変わると待たされるというややマイナスなイメージを抱く方も多いのかもしれない。
筆者は4歳のころからそんな信号機に魅せられ、以後20年以上信号機をひたむきに追いかけてきた。信号機と一口に言っても世代・メーカーによっても細かく形状は異なり、また各交差点に合わせてさまざまな種類の信号機が全国各地に設置されており、その種類は1000種類以上に及ぶ。
この連載ではその中でも特に目を引くような変わった信号機を時には撮影時のエピソードなども交えながら紹介していく予定なので、少しでも興味を持って頂ければこの上なく幸いだ。
青の位置が矢印の信号機
それでは早速本題に入ろう。
車両用の信号機は青・黄・赤が並んでいるのが常識と思われるが、その常識を覆すような信号機が少ないながらも全国に複数種類ある。今回紹介するのは、その中でも本来青があるべき位置に矢印が組み込まれている信号機だ。山口県や千葉県などでかつてよく見られた信号機で、青を使用せず、矢印で車両を進行させる信号機のサイクルとなっている箇所に設置されていた。
いくつか例を紹介しよう。
【実例① 山口県宇部市】
最初に紹介するのは山口県の主要都市の1つ、宇部市の中心市街地にある宇部線の宇部新川駅前にある信号交差点。この交差点にあるのが矢印・黄・赤の配列の信号機だ。この信号機がある方向の道路は左折のみ可となっており、青の代わりに左矢印と赤が同時に点灯して車を進行させるため、青は使用しない。その節約も兼ねて青の位置に矢印が組み込まれているようだ。
ここで特筆すべきは、この信号機が2024年現在で最新型の薄いフラット型小型LED灯器を使用していることだ。このような矢印・黄・赤の配列の信号機の多くは新しい信号機へ更新される際、通常の青黄赤の3灯式のもの+矢印灯器に変更され、このように矢印・黄・赤の配列が新型灯器になっても引き継がれるケースは非常に珍しい。
なお、この交差点の最新型のLED灯器へ更新される前は、電球式のやはり矢印・黄・赤の配列の信号機であったが、更新される前はサイクルが異なり、矢印のみ点灯→黄→赤となっており、矢印が点灯しているときは赤は同時点灯はしていなかった(本来は点灯するべきである)。矢印のみ点灯する様子は不気味とすら思える。
【実例② 山口県山陽小野田市】
続いて紹介するのは同じ山口県、宇部市のお隣、山陽小野田市にある国道190号沿いの「新生町」交差点。この交差点は普通の十字路交差点となっているが、こちらも青の位置に矢印が組み込まれた信号機が設置されている。こちらはいわゆる「右折分離制御」と呼ばれる、直進・左折車と右折車が進行するタイミングを分離させる信号制御となっている。
このサイクル自体は幹線道路の交通量、特に右折車が多い交差点でよく見られる制御で、赤+直進・左折矢印→黄→赤→赤+右折矢印→黄→赤といったサイクルとなっており、青は使用しない。
普通は下の写真のような青・黄・赤の3灯式+3方向の矢印灯器が使用されることが多い。ただ「新生町」交差点にある信号機は使用しない青の位置に直進矢印が組み込まれており、直進矢印・黄・赤の3灯式と下段に左矢印・右矢印というイレギュラーな設置となっており、ユニークだ。
このような信号機も以前は山口県内各地で見られたが、撤去が進み、随時、このような一般的なものへ変更になっている。この交差点のものも近々変更される予定である。なお、この「新生町」交差点にある信号機も最新型ではないものの、薄型LEDの比較的新しいものである。
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