札幌の中心部と高速を地下自動車道でつなぐ「都心アクセス道路」はいつできる? 国道5号「創成川通」の渋滞緩和に期待大。
札幌の中心部と札樽道の札幌北ICをダイレクトに結ぶ地下自動車道として工事を進めようとしている「都心アクセス道路」。この道路ができれば、札幌の中心部から札幌北ICまで、雨の日も雪の日も渋滞なしでスイスイいけそうだ。
札幌の中心部に長~い地下自動車道をつくる
「都心アクセス道路(国道5号 創成川通)」は、札幌市の中心部と高速道路をダイレクトに結ぶ大規模道路整備事業で、市民からの期待も高く、注目を集めている。
その背景には、札幌の中心部と高速道路までの距離が離れていて、そもそも所要時間がかかること。それに加え、特に、札幌北ICのアクセスルートである国道5号 創成川通は、朝夕のラッシュ時や冬期の路面状況の悪化で渋滞することがあげられる。
札幌の中心部からいちばん近い札幌北ICは、小樽、旭川、千歳方面のすべてにアクセスできるフルインターチェンジで都心から最も利用されている(利用交通の約4割)だけに、アクセスルートの渋滞解消は重要な課題となっている。
その大胆な解決策として事業化したのが「都心アクセス道路」だ。札幌の中心部と札幌北ICの間の創成川通に、札幌北ICからダイレクトアクセス(直接進入)できるランプを伴う地下自動車道を設けるというもの。これは、既存の創成トンネル(北2条-南5条間のバイパス)と接続し、すすきの、大通、札幌駅から札樽自動車道と並行する新道までを結ぶ延長4.8kmの道路となる。
市民にとっては「本当に実現するのか」と疑いたくなるような大規模な事業だ。
市民を驚かせた大規模な道路事業の経緯
都心アクセス道路の事業化までを振り返ろう。札幌市、北海道、国(北海道開発局)の3者は、この課題の解決に向け「札幌都心アクセス道路検討会」での議論を進めた結果、創成川通における高架構造、地下構造などの対策案を検討することになった。
そして令和2年3月には、札樽自動車道から創成川通へ直接接続するダイレクトアクセスランプの設置を重要視し、全線を地下構造で整備する「地下整備案」を採用した。冬期の積雪や凍結の影響を受けず、定時性・速達性を確保できるからだ。一方、一部を高架で整備する案と、地下構造と高架構造を組み合わせ札幌都心部へ向かう車線を高架に、札幌北ICへ向かう車線を地下構造とする上下線構造分離案は、いずれも冬期の影響を受けやすいため不採用となった。
こうして都心アクセス道路は令和3年度に事業を開始。札幌中心部の再開発や2030年に新函館北斗-札幌間の開業を目指す北海道新幹線の延伸と合わせて整備されようとしている。
なお余談ではあるが、北海道横断自動車道の余市IC-黒松内IC間の計画も、蘭越倶知安道路(ニセコ-倶知安間)の事業化に漕ぎ着け、北の札樽自動車道と南の道央自動車道を結ぶ環状の道路網もかたちになりつつある。札幌圏の広域的な高速道路整備と合わせて都心アクセス道路が整備されることによって、札幌から道央圏の都市までのルートの選択肢が増える、目的地までの所要時間が短縮するといった整備効果も期待できそうだ。
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