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最終更新日:2024.03.13 公開日:2024.03.13

高速道路の全国11か所を4車線化! 2024年度中に着手する区間はどこ?

国土交通省が全国の高速道路の暫定2車線区間のうち11か所を、新たに4車線化する区間として選定したことを発表した。11か所は合計すると延長56.5kmで、事業費は約3560億円が見込まれている。

文=岩井リョースケ(KURU KURA)e

資料=国土交通省

松山道 伊予~内子五十崎区にある暫定2車線区間の様子。写真=国土交通省

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2024年度中に着手する区間はどこ?

国土交通省は2019年9月に、高速道路の暫定2車線区間において、大きな課題がある区間を“優先整備区間(約880km)”として選定し、順次、4車線化する事業に取り組んでいる。国土交通省が3月1日に発表した内容では、このうち延長計56.5kmに及ぶ区間を2024年度中に新たに着手することを発表した。

「暫定2車線区間」は、もともと4車線以上で計画された道路のうち、限られた期間や費用で建設できることから、供用時に交通量がそこまで見込まれていない区間に採用される場合が多い。しかし、中央分離帯がない暫定2車線区間は、4車線区間に比べて正面衝突などによる死亡事故が多発しており、追い越しもできないことから、並行する一般道より流れが悪くなることもある(制限速度も時速70km)。そのため、このような問題を改善すべく高速道路の4車線化事業が進められている。

後述するが、暫定2車線区間の4車線化は、渋滞、災害、事故発生箇所などを勘案した結果で対象区間を選定しており、その他にも財源の確保も重要な要素として絡んでいる。

高速道路での暫定2車線区間においては正面衝突事故が多発したことから、現在は暫定2車線として開通する区間はワイヤーロープが標準設置されている。

では次に、国土交通省が発表した2024年度に4車線化の着手区間に選定された11か所について列挙する。

■4車線化候補箇所(都道府県、道路名、事業区間、延長、事業費の順に記載)
・【北海道】道東道:追分町IC~夕張IC間の4.1km、事業費は約250億円
・【秋田県】秋田道:横手北スマートIC~大曲IC間の7.9km、事業費は約360億円
・【宮城県】常磐道:山本南スマートIC~山元IC間の5.5km、事業費は約210億円
・【新潟県】磐越道:西会津IC~津川IC間の8.7km、事業費は約660億円
・【岐阜県】東海北陸道:飛騨清見IC~白川郷IC間の4.3km、事業費は約300億円
・【島根県】山陰道:松江玉造IC~宍道JCT間の3.0km、事業費は約180億円
・【徳島県】徳島道:美馬IC~吉野川SAスマートIC間の4.8km、事業費は約260億円
・【愛媛県】松山道:伊予IC~内子五十崎IC間の5.3km、事業費は約400億円
・【福岡県】東九州道(椎田道):みやこ豊津IC~築城IC間の1.2km、事業費は約70億円
・【鹿児島県】東九州道:末吉財部IC~国分IC間の7.1km、事業費は約520億円
・【佐賀・長崎県】西九州道(武雄佐世保道):武雄南IC~波佐見有田IC間の4.6km、事業費は約350億円

以上、延長計56.5km、事業費計約3560億円となる。

また、次に挙げる5か所は今後の事業実施環境を整えるため、“調査”に着手する「準備調査候補箇所」に選定されている。

■準備調査候補箇所(都道府県、道路名、事業区間、延長の順に記載)
・千葉県 富津館山道:富津竹岡IC~鋸南保田IC間の6.8km
・岐阜県 東海北陸道:飛騨清見IC~白川郷IC間の11.9km
・福井県 舞鶴若狭堂:三方五湖スマートIC~若狭見方IC間の1.6km
・福岡県 東九州道:行橋IC~みやこ豊津IC間の5.5km

以上、延長計30.0kmとなる。この区間を含めた準備調査候補箇所は今後、事業許可に向けて手続きが進められる予定だ。

4車線化候補箇所と、高規格幹線道路の整備状況(2023年4月時点)

暫定2車線区間はどんな基準で4車線化に選定される?

暫定2車線区間のうち、4車線化される優先整備区間はどのように選定されるのだろうか?

それは、対面通行の暫定2車線区間約3400km※のうち、有料区間約1800km※の中から、以下の3つの観点から評価した結果で判断している。※2023年4月時点の数値
(1)「時間信頼性の確保の観点」……速度が25%以上低下する区間延長、年間での渋滞回数の2種を指標
(2)「事故防止の観点」……年間死傷事故件数、死傷事故率の2種を指標
(3)「ネットワークの代替性確保の観点」……年間通行止め時間、積雪地かつ最急勾配が4%以上、特定更新等工事、並行現道における課題(雨量等による事前通行規制など)の4種を指標

これらの調査データは3~5年を目処に最新データに更新され、この結果で大きな課題を抱える箇所を優先整備区間として選定されている。

優先整備区間約880kmのうち、4車線化の事業中となる延長は2023年4月時点で約400kmだ。道路整備の取捨選択には常に賛否の意見が付きまとうが、多くの課題を抱えている優先整備区間については、順調に事業が進むことを期待したい。

優先整備区間選定方法について、解消すべき課題(観点)と、各観点毎に設定された指標。資料=国土交通省

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