悪質な荷主を見逃すな! 「トラックGメン」の監視強化でドライバーの待遇は改善するか?
国土交通省は2023年7月にトラック運送における不適正な取引の監視を強化する「トラックGメン」を発足。さらに2023年11~12月には「集中監視月間」を実施した。その結果をみてみよう。
悪質な荷主は見逃しません!トラックGメンとは?
国土交通省は2023年7月に「トラックGメン」を発足した。トラックドライバーの「長時間労働」や「低賃金」といった待遇の改善に向け、トラック事業者と荷主の関係を対等にするため、荷主に対して不適正な取り引きの監視を強化することになったのだ。
この不適正な取り引きとは、荷主都合による長時間の荷待ち、適切な運行では間に合わない到着時間を指定する、荷物の積込み直前に貨物量を増やすよう指示するなどで、いずれも、トラックドライバーの長時間労働や低賃金につながりかねないものである。
発足の背景には「物流の2024年問題」がある。2024年4月、トラックドライバーの残業規制強化で、規制労働時間の短縮で輸送能力が不足し、これまで運べていたものが運べなくなるかもしれないといわれるなか、喫緊の課題に取り組んだかたちだ。
国土交通省と関係行政機関は、トラックGメンを全国162名体制で設置。貨物自動車運送事業法(貨物車運事法)に基づき、違反原因行為を行っている疑いのある荷主に対して「働きかけ」を実施。荷主が違反原因行為をしていると疑うに足りる相当な理由があるときは「要請」、なお改善されないときは「勧告・公表」するとした。
トラックGメンの発足後の働きかけ、要請、勧告・公表の件数は大幅に伸びており、
2023年7月21日~9月30日の間に、Gメンだけで働きかけ120件、要請5件となった。2023年9月30日時点で、トラックGメンの実績とトラックGメン以外の実績を合わせると、前年と比べて大幅な伸びを示すことになった。
さらに国土交通省は、2023年11~12月を「集中監視月間」と位置づけ、トラック事業者に対して荷主の違反原因行為の調査を実施し、その結果を踏まえて貨物車運事法に基づき「働きかけ」「要請」「勧告・公表」を行った。
集中監視月間でトラックGメンが、さらに成果をあげた
集中監視月間(2023年11~12月)でのトラックGメンの活躍は、働きかけ47件、要請164件、そしてこれまで実績のなかった勧告・公表2件も含めて、合計213件の法的措置を実施した。なお、勧告・公表されたのは、過去に要請を受けたにも関わらず、依然として違反原因行為をしている疑いのある荷主と元請である。
主な違反原因行為は、長時間の荷待ち(62%)の他、運賃・料金の不当な据え置き(14%)、契約になかった付帯業務(13%)などであった。
国土交通省は、今後、法的措置を実施した荷主にフォローアップを継続するとともに、改善されないときは、さらなる法的な措置の実施も含め厳正に対処するとしている。
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