進む高速道路4車線化。21年度は14か所で事業化
国土交通省は2021年3月5日、高速道路の暫定2車線区間の4車線化について、2021年度に新たに着手する14か所(約86km)を選定したことを発表した。4車線化により、自然災害時の交通機能確保や渋滞による速度低下の緩和などが期待されている。
2021年度対象区間の総延長は約86km
国土交通省は2019年9月に策定した「高速道路における安全・安心基本計画」に基づき、4車線化を計画的に推進するため課題の大きい区間約880kmを選定した。2020年度は15か所(約110km)を事業化。この事業は、財政投融資を活用して、暫定2車線区間の機能強化による安全性・信頼性の向上を目指すものである。同省は3月5日、2021年度に新たに事業化する14か所(約86km)を選定したと発表した。対象区間と事業費は以下の通り。
【NEXCO東日本管内】
道東自動車道・トマムIC~十勝清水IC(北海道)
4車線化箇所:約3.2km
事業費:240億円
秋田自動車道・北上西IC~湯田IC(岩手県)
4車線化箇所:約19.5km
事業費:980億円
仙台北部道路・利府しらかし台IC~富谷JCT(宮城県)
4車線化箇所:約5.8km
事業費:190億円
常磐自動車道・相馬IC~新地IC(福島県)
4車線化箇所:約6km
事業費:220億円
磐越自動車道・会津坂下IC~西会津IC(福島県)
4車線化箇所:約1.7km
事業費:70億円
磐越自動車道・三川IC~安田IC(新潟県)
4車線化箇所:約3.2km
事業費:300億円
【NEXCO中日本管内】
紀勢自動車道・勢和多気JCT~大宮大台IC(三重県)
4車線化箇所:約10.9km
事業費:600億円
【NEXCO西日本管内】
阪和自動車道・みなべIC~南紀田辺IC(和歌山県)
4車線化箇所:約2.2km
事業費:240億円
山陰自動車道(安来道路)・米子西IC~安来IC(鳥取県、島根県)
4車線化箇所:約6.6km
事業費:290億円
岡山自動車道・賀陽IC~有漢IC(岡山県)
4車線化箇所:約4.5km
事業費:250億円
米子自動車道・江府IC~溝口IC(鳥取県)
4車線化箇所:約3.4km
事業費:260億円
東九州自動車道(椎田道路)・築城IC~椎田南IC(福岡県)
4車線化箇所:約7.7km
事業費:350億円
東九州自動車道・大分宮河内IC~臼杵IC(大分県)
4車線化箇所:約6.8km
事業費:530億円
東九州自動車道・高鍋IC~西都IC(宮崎県)
4車線化箇所:約4.7km
事業費:180億円
なお、紀勢自動車道・勢和多気JCT~大宮大台ICにおいては、トンネル修繕工事に伴う長期通行規制の迂回路として4車線化を実施する。
これまでの4車線化の効果としては、2018年7月の西日本豪雨の影響で高知自動車道において上り線の橋梁が落橋した際に、下り線を活用し、被災6日後に暫定2車線で交通機能を確保した。また、2020年7月に発生した熊本豪雨においても、九州自動車道(横川~溝辺鹿児島空港)で土砂被害などに見舞われたが、4車線のうち被害のない2車線を活用し約8時間で下り線通行を確保。約19時間後には上下線の交通機能を確保することができた。
国土交通省では、これら高速道路の4車線化を進めることで、自然災害時の交通機能確保や渋滞による速度低下の緩和などが期待されるとしている。