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最終更新日:2023.04.11 公開日:2023.04.11

日本の街でも見てみたい、先を行く海外の電動バイクたち【東京MCS2023】

3月に開催された東京モーターサイクルショー2023(東京MCS)では、斬新なデザインやコンセプトを持つ海外の電動バイクが数多く出展された。日本の先を行く海外モデルはどのような仕様なのか、紹介しよう。

文・写真=くるくら編集部

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Energica (イタリア)

 イタリアに本拠地を構えるEnergica (エネルジカ)は、イタリア初の電動スポーツバイクを開発・製造しているメーカーだ。バイクのロードレース世界選手権「MotoGP」の電動バイク版である「MotoE」で、第一号に認定された実績を持っている。

 Energicaのマシンは、世の中に実在しないハイスペックな電動スポーツバイクを生み出すことが目標で、当初、市販化は目的にしていなかったという。しかし、2022年秋から日本へも市販車の導入が始まった。いずれのモデルも航続距離は400kmを超え、最高速度も時速200km級と規格外の性能を持っている。急速充電が可能なCHAdeMO規格も搭載している。このため、市販車の価格は高級車並みだ。

 EVA-RIBELLE(エヴァ・リベル)というネイキッドモデルを例に挙げると、最大出力が126kWで、最高速度は時速200km、市街地での航続距離は420km、バッテリー容量は21.5kWh、車両価格は567万1300円となる。普通充電では7~8時間、急速充電で30~40分で充電が完了する。

「EVA ESSEESSE9+(エッセエッセ9プラス)」は最高出力を80kW(109hp)まで抑え、クラシックなイタリアンスタイルを楽しめるモデル。Energicaの中で最もカジュアルなモデルだが、航続距離や最高速度はEVA-RIBELLEと同等で、本体価格は495万円。(写真左)フレーム内にはモーターと21.5kWhもの大容量バッテリーが納まっている。(写真右)シート下に充電コネクターがあり、200V電源やCHAdeMO規格にも対応している。

BMW MOTORRAD(ドイツ)

 BMWのバイク部門であるBMWモトラッドは今年で生誕100周年を迎え、2022年の総販売数は20万2895台と、コロナ禍でも2年連続で前年実績を上回る好調ぶりだ。そんなBMWからは、2022年のMCSにも出展されたBMW二弾目の電動スクーター「CE 04」に注目。CE 04は全長2225mmで全幅855mmと、650cc級の車格を持っているが、車検の必要がない軽二輪(126~250cc)クラスで、普通自動二輪免許で乗ることが可能。デザインは近未来的だが落ち着いた配色でエレガントな雰囲気を漂わせている。

 停止状態から時速50kmまで2.6秒で到達でき、最高速度は時速120km、航続可能距離は約130kmと、静穏性と相まってシティコミューターとして快適な乗り心地を提供してくれる。ただし、充電には200V電源が必要で、CHAdeMO規格にも非対応なので、乗る環境を選ぶ必要がありそうだ。また、本体価格は物価高の影響もあり、昨年の発売時には165万円~だったが、現在は195万円~と値上がりしている。

CE 04の車体は大きいが、リバース機能で後退する機能を搭載しているので、取り回しも楽。シート下にはヘルメットを収納可能。写真=BMW MOTORRAD

GOWOW(中国)

 中国の北京に拠点を構え、ホイストのような吊り具や避難器具を製造してるMODE社が突如、eモビリティブランド「GOWOW(ゴーワオ)」を立ち上げた。そのGOWOWの最初の電動バイクがこの「ORI(オーリ)」だ。ORIはロードとダートを両方楽しめるよう設計され、IPX7相当の防水防塵性能と、重量わずか74kgの超軽量なボディを持つ。最高出力は9kw、最高速度は時速100km、航続距離は100kmで、価格は121万円となる。

直線を駆使した白の美しいデザインが特徴。商品名のORIは天空に輝くオリオン座を由来としている。

次のページでは、
スウェーデンの電動バイクを紹介!

CAKE(スウェーデン)

(写真左)Makkaにウインドウスクリーンやカウルを追加したモデル。(写真右)Makkaにフロント・リアキャリアを追加したモデル。

 2016年に創業したスウェーデンの電動バイクメーカーCAKE(ケイク)も東京MCSに出展。ボディと呼べる外装が存在せず、フレームのみで機能もデザインも両立させてしまうセンスには脱帽。2023年1月に日本のカンファレンスで3車種が披露されたが、今回の展示会ではそれぞれのバリエーションモデルも登場した。

 まず、原付免許で乗ることができるMakka range(マッカ レンジ)は、静かでパワフルなアーバンコミューターで、立って乗るような設計が特徴だ。最大出力は1kw、最高速度は時速25km、航続距離は66km、本体価格は86万9000円となる。

(写真左)通常のÖsa+。(写真右)Ösa+にタンデムシートを装着したモデル。

 次に、車輪付きのワークベンチと形容されるÖsa+(オッサプラス)だ。このモデルはバッテリーの取り外しが容易で、複数のコンセントからスマートフォンや電動工具などの充電に使用することも想定されている。最大出力は9kw、最高速度は時速90km、航続距離は111kmで、価格は225万5000円となる。

 最後に、79kgの軽いボディに最大出力10kwを備え、アスファルトでもトレイルでも走破できるというKalk&(カルクアンド)。最高速度は時速90kmで、航続距離は90km、価格は291万5000円となる。Kalk&はÖsa+と同様に、普通自動二輪免許で乗ることができる。

 CAKEと国内での販売契約を結んだゴールドウインは、スウェーデンと同様にオンラインのみで2023年春から販売を開始し、3年間で5,000台の国内販売を目指すという。

FELO(中国)

 まるでホンダのモトコンポそっくりな、M-1と名付けられたこのバイク。これは実際にホンダの上海研究所在籍者がFELOという電動バイクメーカーを立ち上げて開発したバイクなので、モトコンポとそっくりなのは偶然ではない。

 東京MCSでの展示品は参考出品のためミラーなどはまだ付いていなかったが、ハンドルやシートの収納・展開したフォルムや、サイズ感までモトコンポと一緒だ。定格出力は0.4kWで、原付一種扱いとなり、公道走行も可能だ。最高速度は時速35km、航続距離は40kmで価格は未定。重量はモトコンポの45kgよりも重たい55kgだが、ガソリン車と違い、車体を倒しても問題はない。今年の夏過ぎには日本でも販売を開始する予定とのことだ。

(写真左)M-1のハンドル・シートを収納した状態。(写真右)実は左ハンドルの付け根にあるLCDディスプレイがメーターパネルとなっている。ハンドルを取り出したボディの底には電源ソケットがあり、非常電源としても機能するそうだ。

実際には見かけない電動バイクたち

 海外の電動バイクのデザインやコンセプトは個性的で、学ぶべきところも多い。海外では電動モビリティへの新規参入も多く、昨年注目を浴びていたオーストラリアの電動バイクブランドSUPER SOCO(スーパーソコ)や、アメリカのZero Motorcycles(ゼロモーターサイクルス)など、今年の東京MCSには出展していない海外メーカーは他にもたくさんある。しかし、これらのモデルが日本の街中で走っている姿を見かける機会は、非常に少ない。

 その理由には価格、充電環境、航続距離、カスタマーサポートなどの問題が挙げられるだろう。価格は外車とはいえ、原付二種や中型クラスで100万円オーバーはなかなかハードルが高い。航続距離がガソリンより短い傾向にある電動バイクに魅力を感じるには、まずは両者の車両価格差が狭まり、充電環境もガソリンスタンド並みに確保できて、ようやく検討するというユーザーも多いのではないだろうか。

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