大野油坂道路、まずは10kmが3月19日に開通。中京・北陸・首都圏への新ルートに期待!
国土交通省 近畿地方整備局 福井河川国道事務所は、2023年3月19日に大野油坂道路の大野IC~勝原ICまでの10.0kmを開通することを発表した。大野油坂道路の全通までの予定や、交通ネットワークへの影響を紹介する。
延伸する中部縦貫道と、その役割
中部縦貫道は、長野県の松本市を起点に、飛騨・奥越地方を通過し、福井県に至る約160kmの高規格幹線道路(自動車専用道路)だ。2017年7月に中部縦貫道の一部である永平寺大野道路(福井北JCT・IC~大野IC)が開通していたが、今回、35.0kmある大野油坂道路のうち、大野IC~勝原(かどはら)ICまでの10.0kmが3月19日に開通することになった。大野油坂道路は国道158号のバイパスとして時速60kmの2車線で整備され、通行料は永平寺大野道路と同様に無料となる。
大野油坂道路が完成すると、中部縦貫道は北陸道の福井北JCT・ICから東海北陸道の白鳥ICが高速道路で繋がることになる。これにより、中央道長野線、東海北陸道、北陸道との交通ネットワークが円滑になり、異常気象時の交通の確保や、文化・地域の資源を生かした地域の活性化も期待できるようになる。
中京・首都圏への影響も
新たな高速ルートの形成は、中京圏や首都圏への物流の信頼性向上にも一役買うそうだ。例えば、現況では大野から中京圏(一宮と想定)までの搬送ルートでは、北陸・名神ルートを通って179kmを約2時間10分かけて搬送していた。それに対し、中部縦貫道が開通することで、東海北陸道ルートを利用できるようになり、一宮まで距離にして約50km、時間では30分近くも短縮できるようになる。これは首都圏に向かう場合も同様で、北陸・名神ルートへ迂回するよりも50分近く短縮できる見込みとなっている。
また、新しいルートは利便性だけでなく、災害時の代替路の確保にも繋がる。2022年8月に福井県を襲った豪雨災害では、北陸道・国道8号などの日本海側の全ルートが通行止めとなり、中部縦貫道の開通区間が迂回路として活躍。約1.6倍に増えた交通量(大型車は約3倍)を支えたが、逆に未開通区間は渋滞が発生したということからも、大野油坂道路全通への期待が高まっている。
最終的な完成はいつになる?
全長35.0kmある大野油坂道路のうち、今回開通するのは10.0kmで、残りは25.0kmとなる。そのうち、2023年の秋には勝原ICから九頭竜ICまでの9.5kmが、2026年の春には九頭竜ICから油坂峠道路までの15.5kmが開通予定となっている。
次の九頭竜ICまでは比較的はやく開通しそうだが、大変なのは油坂出入口までの区間だ。この区間の国道158号では過去18年間に、土砂災害で2回、雪害で15回、大雨で27回もの通行止めが発生しており(※福井県提供資料)、雨季と降雪期間は工事も難航することだろう。幅員が狭い道路も多く、高低差もある山間部ということで、なんとか無事に工事が進むことを皆で祈ろう。