「動物注意」はシカだけじゃない。身近なあの動物も標識に!
生き物の保護とドライバーの安全のために設置される「動物注意」の警戒標識。道路管理者によって設置されるこの種の標識は、その土地柄に応じて、見慣れたシルエットの標識から固有種まで、さまざまな絵柄が存在する。今回はその一部をご紹介しよう。
「動物注意」の意味は? だれが設置しているの?
山道を通りかかった際に、シカのイラストの標識を見たことがある人は多いだろう。「動物が飛び出すおそれあり」を意味している警戒標識のひとつで、国土交通省や都道府県など、各道路管理者によって設置されている。シカ以外の動物が飛び出すおそれがある場合は、適宜、その動物の絵柄で製作し設置することもできるが、シカ、タヌキ、サル、ウサギの4種類については、国土交通省令に「標準」とされる絵柄がある。
固有種からネコまで! 動物絵柄はさまざま
ヤンバルクイナ
希少な動物や生物が多い沖縄県。沖縄の本島北部に設置される「動物注意」の警戒標識で採用されているのは、国指定天然記念物のヤンバルクイナ。やんばる野生生物保護センターによると、2021年8月時点の速報値で、ヤンバルクイナは26件(2021年)のロードキルが報告されている。アンダーパス(道路下の野生動物の通り道)などの対策も行っているが、ヤンバルクイナを守るためにも、ドライバーに注意を促すこうした標識が設置されている。
ネコ
高知県の国道33号沿いに全国的にも珍しい「ネコ」の標識があった。見たところ普通の黒いネコのイラスト。いったいどんな経緯でネコが採用されるに至ったのか、道路管理の担当者に話を訊いてみた。「設置されたのは2005年です。このエリアで車に轢かれてしまうネコが比較的多かったため設置されたと思われますが、正確な記録が残っていません」 とのこと。
ちなみに、この標識は、グーグルマップで「ペル猫注意」と入力すると地図上に表示される。
赤いキツネと緑のタヌキ
北海道の道央自動車道には、キツネとタヌキの2匹が赤色と緑色で描かれた、まさに「赤いキツネと緑のタヌキ」の標識が設置されている。つい、うどんとそばを連想してしまいそうになるが、このように製作された理由はちゃんとある。道路を管轄するNEXCO東日本の担当者によると、ドライバーの関心をひき、夜間の視認性に優れたものにするという方針のもと検討を重ねた結果、信号機と同じ赤色と緑色の配色に至ったのだとか。また、こちらの標識、厳密には看板に分類されるとのこと。標識は標識令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)により、色彩が定められているのだが、これに基づかないため看板に分類される。
全国には、さまざまな動物注意の標識があるが、どの標識も野生動物を守ること、ドライバーの安全運転を呼び掛けるものである。ドライブ中に見かけた際は、より一層、周囲に注意をして走行しよう。