2020年前半の新型車・モデルチェンジ情報。その人気度は?
2020年前半の新型車・モデルチェンジ情報。その人気度を見てみよう。2020年の1~6月に国内メーカーが発売したフルモデルチェンジ車および完全な新規モデルは11車種。どんな車種が発売されたのかを振り返ってみると同時に、発売後約1か月の予約受注数、2020年前半の合計販売台数などからその人気をチェックしてみる。
今回紹介するのは、2020年前半の新型車・モデルチェンジ情報。トヨタ、日産、ホンダ、三菱が2車種ずつ。そしてマツダとスズキとダイハツが1車種ずつだ。発売日順に紹介する。
より精悍なイメージとなったスズキの2代目「ハスラー」は安全性能も強化
発売日:1月20日
カテゴリー:軽自動車(クロスオーバーSUV・ハイブリッド)
車両型式:5AA-MR92S(NAモデル)/4AA-MR52S(ターボモデル)
排気量:直列3気筒・657cc(NAモデル)/658cc(ターボモデル)
燃費(WLTCモード):25.0km/L(市街地22.9km/L・郊外26.4km/L・高速道路25.1km/L)(※1)
車名の由来:「hustler」は活動家、やり手などの意味の英語。「あらゆることに行動的に取り組み、俊敏に行動する人」というイメージで、同車と重ね合わせたという。
ワゴンとSUVを融合させた新ジャンルの軽自動車として、初代「ハスラー」は2014年1月8日に誕生。そして丸6年目が過ぎた2020年1月20日に、2代目へのフルモデルチェンジが実施された。2代目は、よりSUV的なタフなイメージの外見が特徴となって登場した。
また機能面では、安全運転支援システム(予防安全機能)が強化され、夜間の歩行者に対応した衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」などを搭載。またエンジンに関しては、NA車(ノンターボ車)用に「R06D型」エンジンが新開発された。そして全車が、マイルドハイブリッド車となっている(※2)。
月販目標は6000台で、1か月の受注数は未公表だ。一般社団法人 全国軽自動車協会連合会が発表している「軽四輪車 通称名別新車販売台数」で販売台数を確認したところ、「ハスラー」の2020年前半(1~6月)の販売台数は3万7413台で(※3)、ランキングは第7位だった。
コンパクトカーの世界標準を目指すトヨタ「ヤリス」(4代目)
発売日:2月10日
カテゴリー:コンパクトカー(ハイブリッド/ガソリン)
車両型式
ハイブリッド車:6AA-MXPH10
ガソリン車:5BA-MXPA10(1.5L車)/5BA-KSP210(1.0L車)
排気量:直列3気筒・996cc/1490cc
燃費(WLTCモード):36.0km/L(市街地37.5km/L・郊外40.2km/L・高速道路33.4km/L)(※4)
車名の由来:ギリシャの神々の名をベースにした造語。ギリシャ神には「Charis」(カリス)など、名前の末尾に”is”とつく神が多く、そこに開放的でダイナミックな音である”Ya”の音を組み合わせたという。
2月10日に発売された「ヤリス」は、国内では3代目まで「ヴィッツ」の車名で販売されていたコンパクトカー。このたび、海外での車名である「ヤリス」に統一することとなった。コンパクトカーの新たな世界標準を目指して開発され、プラットフォームはTNGA(※5)コンセプトの新型「GA-B」タイプを採用。そのほか、エンジン、トランスミッション、サスペンションなど、多くのコンポーネントがゼロから新規に開発された。中でもハイブリッドモデルの燃費性能が驚異的で、WLTCモードで36.0km/L。今回の新型車の中でも唯一の30.0km/L超えを達成し、圧倒的な値を達成している。
安全運転支援システム「Toyota Safety Sense」も、2020年7月現在、トヨタ車で唯一となる最新バージョンを搭載。夜間の歩行者や横断自転車への対応に加え、トヨタ車初となる交差点右折時の対向直進車および右左折後の横断歩行者の検知も可能とした。
「ヤリス」は月販目標7800台が掲げられ、約1か月での受注数は5倍近い約3万7000台だった。一般社団法人 日本自動車販売協会連合会による普通車の販売台数ランキング「乗用車ブランド通称名別順位」によれば、2~6月の販売台数の合計は4万8129台(※6)。2020年前半の第4位となっている。
歴代の機能に”心地よさ”が加わった4代目「フィット」
発売日:2月14日
カテゴリー:コンパクトカー(ハイブリッド/ガソリン)
車両型式:6AA-GR3・4・6・8(ハイブリッド)/6BA-GR1・2・5・7(ガソリン車)
排気量:直列4気筒・1496cc/1317cc
燃費(WLTCモード):29.4km/L(市街地30.2km/L・郊外32.4km/L・高速道路27.4km/L)(※7)
車名の由来:みんなの生活のあらゆるシーンに”ぴったりフィットする”という気持ちを込めて命名したという。
ホンダ「フィット」はキャビンの広さや優れた燃費性能によって、2001年6月に初代が誕生して以来、日本のコンパクトカー市場を牽引してきた車種のひとつだ。フルモデルチェンジを経て2月14日に登場した4代目は、歴代「フィット」の長所を引き継いだ上に、”心地よさ”という数値では表せない価値を加えることを目標に開発された。
特徴のひとつが、エクステリアやインテリア、装備などが異なる5種類のバリエーションが用意されていること。シンプルなBASIC、居心地のよさを追求したHOME、スポーティでアグレッシブな外観のNESS、アウトドア向けのSUVスタイルのCROSSTAR、洗練と上質を兼備した高級感のあるLUXEがある。
そして機能面では、ホンダの小型車では初となる走行用と発電用の2種類のモーターを搭載したハイブリッドシステム「e:HEV」(イー・エイチイーブイ)を搭載したことが大きな特徴だ。e:HEVはEV走行、シリーズ型ハイブリッド方式(※8)での走行、そしてエンジンによる走行の3種類が可能で、状況に応じて最も効率がいい方法が選択されるようになっている。それにより、優れた燃費効率を実現した。
月販目標は1万台で、1か月間での受注数はその3倍の約3万1000台。乗用車ブランド通称名別順位表によれば、2~6月の「フィット」の販売台数は4万8284台だ(※9)。3代目の販売台数を含めた1月から6月までの「フィット」の販売台数は5万29台で、2020年前半の普通車の第3位につけている。
世界で30のアワードを受賞したホンダ「アコード」はいよいよ10代目という大台に
発売日:2月20日
カテゴリー:セダン(ハイブリッド)
車両型式:6AA-CV3
排気量:直列4気筒・1993cc
燃費(WLTCモード):22.8km/L(市街地21.2km/L・郊外24.4km/L・高速道路22.6km/L)
車名の由来:「accord」は”調和”という英語であり、”自動車の理想の姿を、人とクルマとの調和の中に求める”という思想のもとに開発したという。
2月20日に発売された「アコード」は、今回のフルモデルチェンジでいよいよ大台の10代目となった。初代は1976年5月に誕生し、ホンダの現行車種の中では「シビック」に次ぐ歴史ある車種となっている。当初は中級セダンとしてスタートしたが、40年を超える歴史の中でホンダのラインナップが変化し、現在ではより高級になり、中上級セダンのポジションにいる。FCVやプラグインハイブリッド車という特殊な車種の「クラリティ」シリーズを除くと、フラッグシップセダン「レジェンド」に次ぐ位置付けだ。
10代目「アコード」にガソリン車のラインナップはなく、ハイブリッドモデル(e:HEV)のみとなる。e:HEVは、先代も搭載していた2モーター・ハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」の進化形であり、4代目「フィット」以外では中上級以上の車種への搭載が進む。
月販目標は300台で、1か月での受注数は未公表。乗用車ブランド通称名別順位表に「アコード」は掲載されていないため、2020年の2~6月にどれだけ販売されたのかは確認できなかった。
本家に続いてマツダ「フレア クロスオーバー」も2代目にフルモデルチェンジ
発売日:2月27日
カテゴリー:軽自動車(クロスオーバーSUV・ハイブリッド)
車両型式:5AA-MS92S(NAモデル)/4AA-MS52S(ターボモデル)
排気量:直列3気筒・657cc(NAモデル)/658cc(ターボモデル)
燃費(WLTCモード):25.0km/L(市街地22.9km/L・郊外26.4km/L・高速道路25.1km/L) (※10)
車名の由来:才能、ひらめき、おしゃれを表す英語「flair」(フレア)+クロスオーバー。運転のしやすさ、使い勝手のよさ、室内空間の広さなどの同車の多くの”才能”を表現すると同時に、同車を購入したユーザーの”才能”を称えるという意味も込められている。
マツダはスズキから軽自動車のOEM供給を受けており、全5車種のうちの3車種は「フレア」シリーズとして展開している。「フレア クロスオーバー」はその1車種で、ワゴンとSUVを融合させた軽クロスオーバー「ハスラー」がベースだ。本家「ハスラー」が1月20日に2代目にフルモデルチェンジしたことから、「フレア クロスオーバー」も1か月ほどあとの2月27日にフルモデルチェンジを実施した。
「ハスラー」との違いは、まずグレードの種類が異なる。「ハスラー」は4種類あるところ(NA車とターボ車で2種類ずつ)、「フレア クロスオーバー」はNA2種類のターボ1種類の計3種類だ。また、「フレア クロスオーバー」の方が選べるボディカラーが2色少なく、モノトーン4色、2トーン4パターンという違いもある。選択できないカラーは、モノトーンの「シフォンアイボリーメタリック」と、2トーンの「チアフルピンク(ボディ)・ホワイト(ルーフ)」だ。
月販目標、1か月の受注数ともに未公表。軽四輪車 通称名別新車販売台数によれば、2~6月の販売台数は2297台だ。ただし、その中には初代(2月26日まで発売)が含まれている可能性がある。
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続いては3月発売の新車
6月は1万台に迫る勢いの日産の3代目「ルークス」
カテゴリー:軽自動車(トールワゴン・マイルドハイブリッド)
車両型式
FF車:5AA-B44A(NAモデル)/4AA-B45A(上級モデル「ハイウェイスター」のターボモデル)
4WD車:5AA-B47A(NAモデル)/4AA-B48A(上級モデル「ハイウェイスター」のターボモデル)
排気量:直列3気筒・659cc
燃費(WLTCモード):20.8km/L(市街地18.5km/L・郊外22.3km/L・高速道路21.0km/L)(※11)
車名の由来:“ROOM”と”MAX”をかけた造語で、同車の特徴であるゆとりのあるキャビンを表現したという。
備考:先代の車名は「デイズルークス」だったが、3代目は初代の「ルークス」に戻った。
2009年12月に、スズキから「パレット」のOEM供給を受けて誕生した初代「ルークス」。現在、日産は三菱と共同で立ち上げたジョイントベンチャーのNMKV社に軽自動車の開発を委託しており、3月19日に登場した3代目「ルークス」はその第2弾となる。なお、三菱の2代目「eKスペース」とそのクロスオーバーモデルである「eKクロス スペース」とは、同時に開発された兄弟車だ。
3代目「ルークス」は安全運転支援システムが強化され、日産の軽自動車としては初となる「インテリジェントFCW」(※12)が搭載された。同機能は、2台前を走るクルマの走行状況を検知することができ、直前の前走車よりも前でアクシデントなどがあって自車の回避操作が必要になったとき、より早い段階で警報によりドライバーに注意を促せる機能となっている。またミリ波レーダーが採用されたことで、衝突被害軽減ブレーキの夜間における歩行者の検知性能などが向上している。
月販目標も1か月後の受注状況も、ともに未発表だ。軽四輪車 通称名別新車販売台数によれば、3~6月の累計販売台数は2万3843台だった(※13)。その中でも6月は販売台数を大きく伸ばし、9431台と1万台に迫る勢いを見せ、軽自動車の月間販売台数で第3位となった。2020年前半の順位は第11位だ。
3代目「ルークス」とは兄弟車の関係である三菱の2代目「eKスペース」
カテゴリー:軽自動車(トールワゴン・マイルドハイブリッド)
車両型式
FF車:5AA-B34A(NAモデル)/4AA-B35A(ターボモデル)
4WD車:5AA-B37A(NAモデル)/4AA-B38A(ターボモデル)(※14)
排気量:直列3気筒・659cc
燃費(WLTCモード):20.8km/L(市街地18.5km/L・郊外22.3km/L・高速道路21.0km/L)(※15)
車名の由来
eKスペース:eKとは、”いい軽”の意味。スペースについては未公表だが、「eKクロス スペース」のスペースについては、キャビンの広さ(スペーシャス)を表現していることから、おそらく同様の意味が持たされているものと思われる。
eKクロス スペース:“クロス”は英語表記では”X”となっており、SUVの力強いイメージと軽自動車をクロスさせた(かけ合わせた)新ジャンルのクルマという意味が持たせられている。また、ユーザーのさまざまな日常生活と同車をクロスさせ、毎日をアクティブに楽しんでもらいたいという思いも込められているという。スペースについては、「eKスペース」で既述した通りだ。
3月19日に発売された、2代目「eKスペース」とそのクロスオーバーモデルである「eKクロス スペース」。日産の3代目「ルークス」とは同一性能の兄弟車で、NMKVで同時に開発された。ちなみに搭載されているシステム名などは変更されており、3代目「ルークス」に搭載されている自動車専用道路の同一車線用運転支援システム名は「プロパイロット」だが、「eKスペース/eKクロス スペース」では、「マイパイロット」(MI-PILOT)となっている。
月販目標は2400台。2020年1月10日に東京オートサロンにて正式発表され、発売日直前の3月18日までの受注台数は約5000台だった(発売後1か月の受注台数は発表されていない)。その内訳は、「eKクロス スペース」が約65%で、「eKスペース」が約35%。性能的には同一のため、人気を分けたのはフロントマスクなどのエクステリアと考えられる。「eKクロス スペース」のフロントは”ダイナミックシールド”といい、近年の三菱車に採用されているタフなイメージのデザインだ。
また軽四輪車 通称名別新車販売台数では、「eKスペース/eKクロス スペース」は単体で発表されていない。両車に加え、2019年3月に発売されたNMKV開発第1弾となる4代目「eKワゴン」と、新型軽クロスオーバーSUV「eKクロス」の4車種がすべて「eK」として合算されている。2020年前半の「eK」としての合計販売台数は、1万8557台だった(順位は第12位)。
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最後は6月発売の新車
タフそうなイメージの軽自動車・ダイハツ「タフト」(2代目)は販売好調
発売日:6月10日
カテゴリー:軽自動車(クロスオーバーSUV)
車両型式
FF:6BA-LA900S(NAモデル)/5BA-LA900S(ターボモデル)
4WD:6BA-910S(NAモデル)/5BA-LA910S(ターボモデル)
排気量:直列3気筒・658cc
燃費(WLTCモード):20.5km/L(市街地17.6km/L・郊外22.4km/L・高速道路20.8km/L)(※16)
車名の由来:タフトは造語で、「Tough & Almighty Fun Tool」を意味する”TAFT”のこと。直訳すると「タフでオールマイティな楽しいツール」といった意味。「日常からレジャーシーンまで大活躍、毎日を楽しくしてくれる頼れる 相棒」というコンセプトである。
6月10日に登場した、ダイハツの軽クロスオーバーSUV「タフト」は、同社の新しいクルマづくりのコンセプトであるDNGA(※17)により開発された第3弾となる。同コンセプトの新型プラットフォームや軽量高剛性ボディ「Dモノコック」など、ダイハツの最新技術が投入されて開発された車種である。また安全運転支援システム「スマートアシスト」も、センサーのカメラを3年ぶりに刷新するなど、最新バージョンとなっている。
実は「タフト」は30年以上の時を経て復活した車名であり、今回登場した「タフト」は正確には2代目だ。ただし初代は普通車であり、カテゴリーはヘビーデューティのクロスカントリー4WD車。そのうえ、車名も「Tough & Almighty Four-wheel Touring vehicle」(タフでオールマイティな4WDツーリング車)の略称だった。このように初代からは大きく変わったが、頑丈そうなスクウェアなデザイン、カーキやデザートといったミリタリーテイストのボディカラーなど、その力強くタフなイメージは2代目に継承されているといえるだろう。
月販目標は4000台で、1か月後の受注数は4倍を上回る約1万8000台だった。軽四輪車 通称名別新車販売台数によれば、6月の販売台数は5079台。2020年前半のランキングは第19位だ。
高級クロスオーバーSUVの元祖・トヨタ「ハリアー」の4代目が登場
発売日:6月17日
カテゴリー:高級クロスオーバーSUV
車両型式
FF:6AA-AXUH80(ハイブリッド車)/6BA-MXUA80(ガソリン車)
4WD:6AA-AXUH85(ハイブリッド車・電気式4WD)/6BA-MXUA85(ガソリン車)
排気量:直列4気筒・2487cc(ハイブリッド車)/1986cc(ガソリン車)
燃費(WLTCモード):22.3km/L(市街地19.5km/L・郊外25.1km/L・高速道路22.1km/L)(※18)
車名の由来:英語で小型の鷹の仲間であるチョウヒのこと。
世界的なSUV人気が続いており、近年はスーパーカーメーカーや高級車メーカーまでが高級SUVをラインナップするほどになっている。その高級SUVの元祖とされているのが、1997年に誕生した初代「ハリアー」だ。その4代目は、6年7か月ぶりにフルモデルチェンジされ、6月17日に登場した。
4代目「ハリアー」に搭載されたトヨタ車初(レクサスブランドを除く)の先進装備としては、前後方録画機能付きのデジタルインナーミラーがある。4代目「ハリアー」のデジタルインナーミラーは後方を映すカメラだけでなく、前方用のカメラも追加されていることが特徴で、その前後の映像はSDカードに記録できる仕組みだ。
月販目標は、新型コロナの影響を鑑みたものと思われるが、3100台と控えめな数字が発表されていた。しかし蓋を開けてみたら、1か月で14.5倍の約4万5000台を受注したという。なお、3代目(6月16日まで発売)も含まれる可能性があるが、6月の乗用車ブランド通称名別順位によれば、4239台の販売台数となっている。
日産が久しぶりに投入するニューモデルは小型クロスオーバーSUV「キックス」(2代目)
発売日:6月30日
カテゴリー:小型クロスオーバーSUV(ハイブリッド)
車両型式:6AA-P15
排気量:直列3気筒・1198cc
燃費(WLTCモード):21.6km/L(市街地26.8km/L・郊外20.2km/L・高速道路20.8km/L)
車名の由来:今回の「キックス」(KICKS)については未公表だが、初代「キックス」(KIX)の車名の解説によると、KICKSには”興奮”や”熱中”などの意味があるとしている。初代は”KICKS”と未知数を表す”X”をかけ合わせて「KIX」とした造語で、「乗る人すべてに軽快な走りとともに、刺激的な走りを提供したい」という思いが込められていた。
2020年前半の最終日となる6月30日から発売を開始したのが、日産の小型クロスオーバーSUV「キックス」だ。軽自動車を除けば、日産が日本市場に3年ぶりに投入した新型車である。初代は、2008年10月に三菱から軽SUV「パジェロ ミニ」のOEM供給を受けて発売した「キックス」(KIX)。2代目「キックス」は2016年8月にブラジルから販売が始まり、世界中に展開されるグローバルモデルとして発売が開始された。日本市場へは、デビューから約4年が経ち、満を持しての投入となった。
2代目「キックス」は、シリーズ型ハイブリッドエンジン「e-POWER」を搭載したグレードのみが国内市場に投入された。e-POWERはコンパクトカー「ノート」やミニバン「セレナ」で好評を博していることから、2代目「キックス」で日産は挑戦的な戦略を採用した。
「キックス」用のe-POWERは、従来型よりも最高出力が20%アップされており、同時に重心の高いSUVに合わせ、制御系を調整。それにより、力強いのと同時に安定感のある走りを実現したという。また日本仕様としては、フロントやリアのデザインを変更するとともに、海外市場向けよりも車両構造の剛性を大幅に向上させ、出力のアップしたe-POWERに対応させたとしている。
2代目「キックス」に関して日産は、新型コロナの影響を考慮して月販目標を公表しなかった。受注数に関しては月販目標の公表を控えたことに加え、3月の軽自動車「ルークス」でも公表しなかったことから、「キックス」についても公表されないものと思われる。6月の乗用車ブランド通称名別順位によれば、販売日数は1日だけだったが1836台を記録している。
4月、5月は新型コロナの影響もあったと思われ、1車種も新型車は発表されていない。それでも2020年前半は紹介したように11車種の新型車が登場した。また、2020年の後半も発売を控えている新車がある。どのようなフルモデルチェンジ車や完全新規モデルが発表されるのか、期待して待とう。