E1A新東名高速・伊勢原JCT~伊勢原大山IC間、3月7日に開通
E1A新東名高速は現在、神奈川県から静岡県にかけて、伊勢原JCT~御殿場JCT間の延長約48kmを4区間に分けて建設中だ。そのうち、最も東京寄りの伊勢原JCT~伊勢原大山IC・約2kmの区間が、3月7日(土)15時に開通すると発表された。
E1A新東名高速道路は、海老名南JCT(神奈川県海老名市門沢橋)~豊田東JCT(愛知県豊田市岩倉町)間の約254kmを結ぶ高速道路として、現在も全線開通を目指して建設が進められている。開通済みの区間は、海老名南JCT~伊勢原JCT間の約6kmと、御殿場JCT~豊田東JCT間の約200kmの合計約206km(81.1%が完成)。加えて、新東名高速とE1東名高速道路を接続する2本の連絡路も開通している。そして現在は残る約48km、伊勢原JCT~御殿場JCT間の建設が進められているところだ(画像2)。
新たに開通するのは伊勢原JCT~伊勢原大山IC
3月7日(土)に開通するのは、伊勢原JCT(神奈川県伊勢原市東富岡)~伊勢原大山IC(同市上粕屋:かみかすや)間の約2km(画像1・3・4)。これにより、合計208kmの開通となり、開通割合は81.9%となる。
伊勢原JCTは新東名高速と東名高速が2方向で接続
伊勢原JCTは新東名高速と東名高速が接続しており、2方向で接続するハーフJCTだ(画像1・4・5)。接続している方向は以下の通り。
●新東名高速(下り)→東名高速(下り)および東名高速(上り)→新東名高速(上り)
●新東名高速(上り)→東名高速(上り)および東名高速(下り)→新東名高速(下り)
新東名高速(下り)→東名高速(上り)のような、出発地点の方向に戻るような(JCTの接続の角度が鋭角になる)方向には接続していない。
大山地区の観光客増加の期待を担う伊勢原大山IC
伊勢原市は、神奈川県のほぼ中央に位置する10万人強の人口を抱える都市だ。同市の新たな玄関口となる伊勢原大山ICは、都市部と山間部の中間、市の中心部である上粕屋地域に建設されている。同ICの構造はぐるりと連絡路がループを描いており、新東名高速の高架下をくぐって県道603号に接続する形だ(画像4・6)。
伊勢原大山ICに期待されているのは、観光の活性化だ。同IC付近には、大山、大山阿夫利(おおやまあふり)神社、雨降山 大山寺、大山ケーブルカー、七沢温泉などの観光資源がある。同ICが開通することで、首都圏からの所要時間が短縮し、観光客の増加が見込まれているのだ(画像8)。
この開通によって、東京都内(赤坂御門)から大山(同地域の市営駐車場)までの所要時間は、開通前の109分に対して開通後は87分と、最大22分の短縮が可能と算出されている(※1)。
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新東名高速の残りの区間の開通時期は?
新東名高速・残りの46kmの区間の開通時期について
今回の開通により、新東名高速の建設中区間は伊勢原大山IC~御殿場JCT間の約46kmとなる。この約46kmの区間は伊勢原大山IC~秦野IC、秦野IC~御殿場IC、御殿場IC~御殿場JCTの3区間に分けて工事が進行中だ。なお、伊勢原大山ICの西側に位置する秦野SAスマートICから御殿場ICまでは仮称である。そのまま仮称が正式名称となる場合もあると思われるが、御殿場ICに関しては東名高速にすでにあることから、変更されるものと考えられる。
【神奈川県】
(1)伊勢原大山IC~秦野SA&スマートIC~秦野IC(約13km):2021年度開通予定
【神奈川県~静岡県】
(2)秦野IC~山北スマートIC~小山PA&スマートIC~御殿場IC(約26km):2023年度開通予定
【静岡県】
(3)御殿場IC~御殿場JCT(約7km):2020年度開通予定
新東名高速の東京方面への延伸計画は?
新東名高速は、予定通りに2023年度に秦野IC~御殿場IC間の約26kmが開通すると、それで全線開通となる。東側はC4圏央道(さがみ縦貫道路)と接続する海老名南JCTが終点で、そこからさらに東京方面への延伸は現時点で具体的な計画はないようだ。
したがって、当面は東京へ向かう上り線の交通は伊勢原JCTで東名高速1本に集約される形となり、渋滞が懸念されるところである。もちろんその点は考慮されており、実は東京へ向かう新ルートの計画が進められているところだ。
C4圏央道を延伸して首都高・B湾岸線につながるルートを建設中
新ルートは、まず圏央道を現在の南の終点である藤沢IC(新湘南バイパス)から東へ約7.5km延伸。この新しい高速道路も圏央道を構成する1本で、現時点では「横浜湘南道路」(NEXCO東日本管内、国土交通省との共同事業)という仮称がつけられている。
そしてその終点の栄IC・JCT(仮称)で接続するのが、同様に圏央道を構成する仮称「高速横浜環状南線」(NEXCO東日本管内、国土交通省との共同事業)だ。高速横浜環状南線は延長約8.9kmの6車線道路として、西は戸塚IC(仮称)で国道1号東海道に接続し、東は釜利谷(かまりや)JCTでE16横浜横須賀道路本線(E16本線)および同金沢支線(E16金沢支線)と接続する。ポイントはE16金沢支線と接続するところだ。これにより、そのまま東進すれば首都高・B湾岸線につながるのだ。つまり、東名高速を利用しなくても、海老名南JCTと東京の間を往来できる新たなルートができあがるということである。完成時期は、横浜湘南道路が2024年度、高速横浜環状南線が2025年度を予定している。
新東名高速⇔圏央道⇔E16金沢支線⇔湾岸線は、東名高速に比べれば距離が長くなってしまうのは事実。また、道路交通センサスによれば、湾岸線は日本一交通量の多い区間を抱える都市高速でもある(平日昼間12時間交通量で、辰巳JCT~新木場出入口間が10万9651台で全国すべての道路の中で第1位、新木場出入口~葛西JCT間は10万8332台で第2位)。ただし、もともとの交通容量が多い高速道路であり、さらにいえば、千葉・茨城方面へ向かう場合はCA東京湾アクアラインを利用することで、最も交通量の多い区間をショートカットすることも可能だ。新東名高速が湾岸線につながることは、波及効果も大きいのである。
2025年度になって湾岸線と接続し、新東名高速がフルにその能力を発揮できるようになれば、首都圏から中京圏にかけての交通が大きく変わることだろう。今回の伊勢原JCT~伊勢原大山IC間の開通はまさにその第一歩である。