ながら運転の厳罰化で一発免停?免停の違反点数や罰則を解説。
運転中のスマホ使用やカーナビ注視など、「ながら運転」を厳罰化した改正道交法の施行令が施行された。違反点数、罰則、反則金は約3倍に強化され、事故を起こすと一発免停になる可能性がある。しかし、一発免停になるのはこれだけではない。ドライバーには法令遵守の意識が求められる。
ながら運転が厳罰化!
ながら運転とは、スマートフォンやカーナビなどの画面を注視したり、携帯電話で通話をしながらクルマなどを運転すること。警察庁によると、近年、ながら運転による事故件数は大幅に増加。10年前に1299件だった事故件数は、昨年では2790件と約2倍になったという。
これを受けて政府は、今回の改正道路交通法の施行令を決定。違反点数、罰則、反則金が12月1日から強化された。
具体的には、運転中に携帯電話などで通話や画面を注視する違反「携帯電話使用等(保持)」の違反点数は1点から3点に引き上げ。携帯電話での通話や注視によって交通事故を生じさせる違反「携帯電話使用等(交通の危険)」の違反点数は2点から6点に引き上げられた。
「保持」の反則金は約3倍となり、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が適用される可能性がある。
ながら運転が原因で事故を起こすなどの「交通の危険」では、交通反則通告制度(※)、いわゆる青きっぷの適用から除外され、直ちに刑事手続きの対象となる赤きっぷとなった。罰則はこれまでの3か月以下の懲役または5万円以下の罰金から1年以下の懲役または30万円以下の罰金に引き上げられた。
※軽微な違反であれば反則金の納付で刑事責任を免れることのできる制度
このように、改正道交法施行令では、ながら運転についての罰則と反則金が約3倍になっている。
ながら運転で一発免停30日!
ここで注目したいのは、交通の危険の厳罰化である。
交通の危険の場合、違反点数は6点。さらに反則金の適用がなくなって刑事手続きの対象となっている。これはつまり、違反をすれば即、免許停止処分の対象となるということだ。
免許停止になるのは、累計点数が6点以上の場合。その期間は過去3年以内の運転免許停止等の処分回数と違反点数によって定められている。
例えば、過去3年以内に免許停止処分を受けたことのない(前歴のない)ドライバーの場合、6~8点で30日間。9~11点で60日間。12~14点で90日間の免許停止処分となる。
つまり、ながら運転で事故を起こせば、それまで違反のないドライバーでも、免許停止30日間。さらに反則金ではなく、30万円以下の罰金が科せられる可能性がある。
また、違反が重大・悪質であれば、1年以下の懲役となることもあり、前科がつくことになる。ながら運転はそれほどに重大な違反なのだ。
一発免停・免許取り消しとなる違反
ながら運転の他に1回の違反で6点以上の違反点数が加算され、免許停止・免許取り消しとなる違反は以下のようなものがある。
【免許停止・免許取り消しとなる違反と点数】
・45~62点 運転殺傷等 → 免許取り消し
危険運転致死傷 → 免許取り消し
・35点 酒酔い運転 → 免許取り消し
麻薬等運転 → 免許取り消し
救護義務違反 → 免許取り消し
・25点 酒気帯び運転 0.25mg/L以上 → 免許取り消し
共同危険行為等禁止違反 → 免許取り消し
過労運転等 → 免許取り消し
・19点 無免許運転 → 免許取り消し
・13点 酒気帯び運転 0.25mg/L未満 → 免許停止90日
・12点 仮免許運転違反 → 免許停止90日
大型自動車等無資格運転 → 免許停止90日
速度超過 時速50km以上 → 免許停止90日
・6点 速度超過 一般道で時速30km以上 → 免許停止30日
速度超過 高速道路で時速40km以上 → 免許停止30日
無車検運行 → 免許停止60日
無保険運行 → 免許停止60日
ながら運転と同様に違反点数6点となるのは、一般道で時速30km以上速度超過した場合、高速道路で時速40km以上速度超過した場合、無車検の車両を運転した場合、無保険(自賠責に未加入)のまま運転した場合などがある。
例えば、速度制限60kmの一般道を時速90kmの猛スピードで走行するドライバーを想像するとかなり危険だ。本質的には全く違う行為であるが、ながら運転はそれと同等の違反点数なのだ。
警察庁によると、ながら運転(携帯電話使用等)の死亡事故率は、使用なしと比較すると約2.1倍にもなるという。ながら運転は死亡事故につながる危険な行為なのだ。
ながら運転は、運転に対する集中力を散漫にさせる可能性のある行為。軽い気持ちで運転中にスマホを手にすることは、自分のみならず他者のその後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があることだと、今一度肝に銘じたい。