【JNCAP2019前期】予防安全ランキング
国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構により発表された、2019年度前期のJNCAP(自動車アセスメント)の評価結果。予防安全性能評価結果は全5車種が発表され、得点順にランキングにして掲載した。また、各車の評価試験動画も掲載。
JNCAP2019年度後期が2020年5月27日に発表されました。2019年度後期の予防安全性能評価についての記事はこちらからご覧ください。
2019年度の予防安全性能評価は新たな評価試験を追加
2019年度の予防安全性能評価試験で新たに追加されたのが、街灯なしの夜間における対歩行者・衝突被害軽減ブレーキの評価試験だ。
同試験が実施されるようになった理由は、夜間における歩行者の交通事故が多いことに起因している。年間の交通事故死者数のうち、歩行者の死亡事故は、夜間の割合が多いのだ。2018年を例に取ると、歩行中の交通事故による死者は昼夜合計1258人おり、夜間はそのうちの849人(67.5%)と圧倒的に多い。こうした事実から、夜間において対歩行者・衝突被害軽減ブレーキを確実に作動させることが、死者数を減らせる有効策であると考えられているのである。
そして市販車への実装を促すべく、2018年度から夜間の評価試験が採用された。2018年度は街灯ありの条件下だったが、2019年度はそれに加えてさらに条件の厳しい街灯なしでも実施されるようになった。
2019年度のJNCAP予防安全性能評価試験は141点満点
街灯なしの夜間における対歩行者・衝突被害軽減ブレーキの配点は15点。これにより、2018年度までの合計126点満点から141点満点となった。評価試験の内訳と配点は以下の通りだ。
●衝突被害軽減ブレーキ
・対車両(32点)
・対歩行者(全80点:昼間25点/夜間・街灯あり40点/夜間・街灯なし15点)
衝突被害軽減ブレーキの作動を評価する試験は、対車両と対歩行者に大別される。対歩行者は、さらに昼間、夜間・街灯あり、夜間・街灯なしの3条件で実施される。
●車線逸脱抑制(16点)
車線をはみ出しそうになった時、車線逸脱抑制システムがステアリングアシストを行い、車線内の走行をきちんと維持できるかを評価する試験。
●後方視界情報(6点)
バックする際に、後方の様子をモニターに表示し、安全を視認できるかを評価する試験。
●高機能前照灯(5点)
ヘッドランプの機能を評価する試験。前走車や対向車の防眩のために照射範囲を調整できる最も機能が高いものは5点、ハイ/ロー自動切り替え機能のみだと1.4点となる。
●踏み間違い加速抑制(2点)
駐車場などへの停車時、または発進時にアクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ機能の評価試験。作動した距離などで細かく点数が決められている。
2019年度前期の予防安全性能評価試験を受けたのは全5車種
今回試験を受けたのは全5車種で、内訳は以下の通りだ。
【スバル】
●フォレスター
【ダイハツ】
●タント/タント カスタム(※)
【レクサス】
●ES
●NX
●UX
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いよいよランキングを発表!
得点は高いほどASVとしての優秀さが評価される
合計141点満点で、12点以上を獲得するとASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全自動車)としての優秀さを示す「ASV+」の、さらに46点以上で「ASV++(ダブルプラス)」の評価を与えられる。2018年度からは86点以上の「ASV+++(トリプルプラス)」も追加された。
ちなみに記事中では、合計得点を感覚的にわかりやすくするため、カッコ内に100点満点に換算した得点も併記している。
第1位:NX(レクサス)
合計:141点(100点)ASV+++
「NX」は、レクサス初のコンパクト・クロスオーバーSUVとして、国内では2014年7月29日に発売された(同年の予防安全性能評価試験初年度で試験を受けてASV+を獲得)。その後、2017年にビッグマイナーチェンジが施され、予防安全パッケージ「レクサス・セーフティ・システム+」の搭載車種に。さらに2019年4月には、同システムの強化が行われた。今回、5年ぶりにより厳しい内容となった予防安全性能評価試験を受け、満点を獲得した。
第1位:UX(レクサス)
合計:141点(100点)ASV+++
レクサス「UX」は、国内では2018年11月27日に発売開始となった、”都会派”をコンセプトとした新型のコンパクト・クロスオーバーSUVだ。車線逸脱抑制機能などが追加された最新バージョンの予防安全パッケージ「レクサス・セーフティ・システム+」を搭載しており、予防安全性能評価試験で満点を獲得。同門の「NX」と共に第1位となった。
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続いては第3位から第5位までを紹介!
第3位:ES(レクサス)
合計:140.2点(99.4点)ASV+++
2018年10月24日に国内でも発売が始まった高級セダン「ES」は、1989年のブランド誕生以来続くレクサスで最も歴史のある車種のひとつ(ただし、日本国内での発売は今回の7代目が初めて)。予防安全システムは「レクサス・セーフティ・システム+」を搭載。また予防安全に貢献する新機軸としては、ドアミラーに代わるデジタル・アウターミラーが挙げられる。レクサスでは「ES」が初めて装備したデバイスで、夜間や雨天でもクリアな後方視界を得やすいのが特徴だ。
第4位:フォレスター(スバル)
合計:131.4点(93.2点)ASV+++
2018年7月19日に発売を開始した5代目「フォレスター」は、スバルの大型クロスオーバーSUV。2018年度に予防安全性能評価試験を受けて126点満点中の122.3点という高得点を出したが、2019年度も評価試験を受け、141点満点中の131.4点を獲得した。スバルは現在、予防安全システム「EyeSight」のさらなる高性能化のため、ニューバージョンを開発中だ。従来のステレオカメラに加え、ミリ波レーダーも組み合わせるとしている。
第5位:タント/タント カスタム(ダイハツ)
合計:72.0点(51.1点)ASV79.2++
2003年に初代が販売され、2019年7月9日に4代目にフルモデルチェンジしたダイハツのトールワゴン型軽自動車「タント」(「タント カスタム」は上級モデル)。運転支援機能「スマートアシストプラス」を加えた予防安全システム「次世代スマートアシスト」を搭載する。「車線逸脱抑制制御機能」や「ブレーキ制御付き誤発進抑制機能(前方・後方)」などに加え、軽自動車初となる高機能前照灯「アダプティブ・ドライビング・ビーム」など、従来の軽自動車の枠を超えた高機能を備えている。
今回、対歩行者・衝突被害軽減ブレーキの評価試験に、自車のヘッドランプ以外はほぼ光源がない”夜間・街灯なし”が加わった。予防安全性能評価試験の合計得点はさらに増えて141点満点となり、クルマの予防安全の機能や性能差がさらにわかりやすくなったといえよう。
街灯なしの夜間という条件下で歩行者を検知するには、高精度なセンサーが必要だ。ただしそうしたシステムは高価であり、軽自動車やコンパクトカーといった普及車への搭載はまだ先になる。しかしそうした販売台数の多い車種にこそ搭載する必要があり、夜間でも確実に事故を防げる高性能な予防安全システムを、普及車に迅速に拡大していけるかが課題のひとつだ。