車両突入テロ対策!車両停止装置って知ってる?
世界各国の要人やギャラリーが集まる場所が狙われやすいと言われる車両突入テロ。いつ起こるか分からないテロに備えて警察や警備会社などが導入する「車両停止装置」を紹介しよう。
車両停止装置とは
「車両停止装置」とは、大規模な集客施設やスポーツイベントなど、人が集まっている場所への車両の突入を防ぐ金属製のバリケードである。その形や用途はさまざまで、伸縮式や折り畳み式、商店街などで景観を損なわないためにベンチを兼ねたものなどがある。本記事では、災害やテロなどの対策技術や対策製品を取り扱う展示会「危機管理産業展2019」において展示されていた車両停止装置「MVB-3X」を紹介する。
テロ防御用可搬式車両停止装置「MVB-3X」
「MVB-3X」はイスラエルで大型車両による車両突入テロの対策として製作された可搬式車両停止装置である。イスラエル製というだけで、強固そうなイメージ。黄色と黒の配色で視認性が高く、いかにも注意を促す見た目だ。
1つのユニットが高さ820mm、横幅530mm、奥行き1180mm。成人男性の腰ほどの高さの製品である。これを複数組み合わせ、車両の進入を防ぎたい道路の幅に合わせて設置する。可搬用のキャスターが付いていて、例えば検問時などに通過させたい車両が通るときはキャスターを使って簡単に移動できる。また、折りたたむことが可能なのでコンパクトに収納でき、設置場所までの運搬も楽に行えるという。
車両の止め方は迫力満点!
一見すると簡易的な”ただの柵”である。しかし、同製品のデモ動画を見ると迫力満点な車両の止め方に驚く。なんと車両がぶつかって単に停まるわけではないのだ。
まず、車が衝突するとその重みで同製品の脚部が跳ね上がり、車体を持ち上げる。
次に、ひらがなの「へ」の字のようにひっくり返って車体の下に潜り込み、への字の頂点部分にある爪が車体に食い込む。
最後に先端に付いている黒い金属製の爪が道路に食い込むことで車両を停めるのだ。動画で見るとその迫力は凄まじい。気になる方は動画をチェックされたし。
展示をしていた株式会社スリーライクの担当者によると「実験では、7.5tトラックを時速50kmで突入させて12.4m以内に停止できた」という。
同製品はイスラエル政府や米軍、国連などの機関が採用。日本国内でもすでに採用されていて、本年6月に大阪で開催されたG20国際会議の交通規制でも使用されたそうだ。来年のあの国際的なスポーツ大会でも、各国要人や選手、観客を狙った車両突入テロを防ぐためにさまざまな場所で車両停止装置が活用されるだろう。