携帯電話など「ながら運転」が死亡事故につながる比率は2.1倍。
今や私たちの生活に欠かすことのできないモノとなったスマートフォン(スマホ)。自動車運転中にスマホなどの画面を注視したり、通話することに起因する交通事故が増加傾向にあることが警察庁の分析により明らかにされた。2018年についても見てみよう。
警察庁交通局は2月14日、2018年の交通死亡事故の特徴や発生状況を発表した。その中に興味深い言及がある。それは、スマホだ。
今回は、携帯電話使用等に係る交通事故の推移について紹介する。
携帯電話使用等の事故件数は増加傾向
上グラフを見てみよう。2018年の携帯電話使用等(以下:ながら運転)の交通事故件数は、1110件。10年前と比べると約2倍と大幅に増加している。2017年と比べるとわずかに減少してはいるが、おおむね増加傾向にあるといえよう。
死亡事故率は約2.1倍
上グラフを見ると、携帯電話使用中の死亡事故率は、使用なしと比較すると約2.1倍と高く、携帯電話を使いながらの運転による交通事故は死亡事故につながる危険性が高いことが分かる。
はたしてどのような状況で、運転中のながらスマホによる事故が起きているのだろうか。上グラフを見ると、最も多く事故が発生しているのは、なんと直線道路(単路)であることが分かる。カーブや交差点など、ドライバーが危険を直感できる場所では、スマホは使わない。しかし、見通しのいい直線道路なら、少しくらい目を離しても大丈夫だろうというドライバーの油断が透けて見える結果だ。
次に上グラフを見ると、画像目的でながら運転をした時に起こる事故は、7割以上が追突であることがわかる。つまり、携帯電話等の事故は、直線道路において先行車両に追突することが多いのである。
警察庁によると、運転時のながらスマホの死亡事故の多くは、画像目的使用であるという。画面を注視することで、前方の安全確認が不十分となった結果、先行車両に追突しているのだろう。
自動車が2秒間に進む距離
上の表をみてみよう。自動車は時速60キロで走行した場合、2秒目を離した間に、約33mも進む。さらに、顔を上げて前方を見たときに、追突する危険を感じ、慌ててブレーキを踏んだとしても、止まるまでに約44m必要である。合計約80mもの距離を進むのである。スマホを2秒見ると、80m先の停止している障害物に衝突する可能性がある。このことは覚えておきたい。道路を横断する歩行者や先行車両にぶつかる可能性は大いにあるのだ。
このように「直線道路だから」「ほんの一瞬だから」という考えで、スマホや携帯電話を使いながら運転をすることは大変危険である。必ず安全な場所に停車してから使用してほしい。