最高速度が時速80キロと120キロの高速道路は何が違う?
2019年3月1日から、新東名高速道路の新静岡IC~森掛川ICの間で最高速度が時速120キロに引き上げられる。一方、中央道や中国道など最高速度が時速80キロに設定されている高速道路がある。両者にはどんな違いがあるのだろうか?
実際に走るとその違いは歴然
筆者はこの1か月の間に新東名全線(御殿場~豊田東)と、中国道全線(吹田~下関)を走行した。新東名は2012年4月に開通した新しい高速道路で、時速120キロ制限が試行される新静岡IC~森掛川ICの区間を含んでいる。一方、中国道は1970~1983年に開通したかなり古い道路で宝塚IC以西の約530kmは、時速80キロ以下の制限速度である。対照的ともいえる2つの高速道路を走ってみると、その違いが体感できた。
新東名の時速120キロ区間はゆったりとした片側3車線で、路肩も「全路肩」(幅2.5m)かそれ以上ある印象。十分な広さがあるので速度を落としたくなるカーブもなく、勾配もほとんどないので実に走りやすい。一方、中国道は全体を通してカーブが非常に多く、勾配も多い。そして路肩のほとんどが「半路肩」(幅1.75m)以下で狭く感じる。
筆者は通常、瀬戸内海側の海岸沿いを走る山陽道を利用するので、中国道全線を走ったのは約10年ぶりだった。久しぶりに走ってみると「こんなに狭かったのか!」と驚き、時速80キロで走るのも怖く感じた。
設計速度120km/hと100km/hを決める最も大きな要因は「カーブ」の数と形状?
実際に走行してみて感じた違いは、カーブの曲線半径からも読み取ることができる。上表を見てみよう。設計速度が時速120キロの道路では、曲線半径1500m以上のカーブが76%で、多くのカーブが緩やかに作られていることがわかる。また、カーブの区間数は132区間と少ない。
一方、設計速度が時速100キロの道路では、曲線半径1500m以上のカーブが35%と少なく、設計速度が時速120キロの道路と比べると急なカーブが多いことが分かる。さらに、カーブの区間数が440区間と多い。つまり設計速度が時速120キロと100キロでは、前者の方がカーブが少なく緩やかなため走りやすいのである。
設計速度による違いは、カーブの曲線半径のみならず車線幅員、路肩幅員、縦断勾配などさまざまな部分で基準が設けられている。設計速度が速い道路ほど走りやすく、スピードを出しても安全なように作られているのだ。
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