アウディ、ドイツ本国で大学生による「自動運転カップ2018」を開催中!
コースで自動運転走行を行うアウディ「Q2」の1/8スケールの自動運転モデルカー。今回は、交差点で緊急車両がやって来て、道を譲るといった課題も用意されている。
アウディは11月12日(月)から14日(水)まで、今年で第4回となるコンペティション「アウディ自動運転カップ2018」の決勝戦を開催中だ。自動運転機能を搭載した1/8スケールモデルのアウディ「Q2」(以下、「Q2モデルカー」)を用いて行われる競技会である。対象は、ロボット工学、データサイエンス、ソフトウェアアーキテクチャー、AIといった分野の大学生たちだ。
「Q2モデルカー」に搭載されているセンサーは、フロントおよびリアカメラ、レーザースキャナー、超音波センサー、オーディオマイク、9軸加速度センサーなど。オンボードコンピューターとしてクアッドコアプロセッサを搭載した高性能なスケールモデルカーである。各チームには2台の「Q2モデルカー」と基本ソフトウェアが提供される。そして、自分たちで自動運転の課題をクリアするためのソフトウェア開発を行うのである。
実車「Q2」を前に、会場で「Q2モデルカー」のプログラムの修正を行う学生たち。
今年はまず英国、イタリア、オーストリアというドイツ国外を含む10の大学がノミネートされ、さらに5つのチームが参加して10月に予選的な位置付けのテストイベントが実施された。その結果、決勝に進出したのが以下の8チームである。
AlpaKa:FZI インフォメーションテクノロジー研究センター(カールスルーエ)
Burning Wheels:デッケンドルフ工科大学
Cariosity:ウェーデル応用科学大学
CAR-thage:ブレーメン大学
FAUtonomous:フリードリヒアレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク
FrAIsers:アルベルトルートヴィヒ大学フライブルク
OptILmDriveX:イルメナウ工科大学
TACO:オッフェンブルク応用科学大学
コンペティションを構成する3つのステップ
テストイベントでの様子。今年の自動運転のコースには高架路も用意された。
アウディ自動運転カップは3つのステップで構成される。その内容は、まず「Q2モデルカー」を利用して設定されたコースを自動運転走行し、課題をクリアすること。続いて、自分たちの技術的なプレゼンテーションを行う。そして3つめが、自由テーマでの「Q2モデルカー」を用いたデモンストレーションを実演すること。
自動運転の課題はどのような内容?
「Q2モデルカー」が挑む自動運転では、障害物の回避、交差点の正しい通過、道路標識の認識、適切な車間距離での前走車追従などが求められる。技術的課題の難易度が毎年上がっており、今回は緊急車両がルート上に突然現れるというシナリオが用意された。「Q2モデルカー」のカメラの映像とオーディオマイクのサウンドデータを基に、ライトの点滅とサイレンから緊急車両であることを識別。そして、路肩に寄って停車するか、交差点の場合は道を譲るのである。
緊急車両の識別には機械学習を使用することになっており、今年はAIに重点が置かれている。アウディエレクトロニクスベンチャーGmbHのマネージングディレクターであるDr.ペーター・ステイナーによれば、この機械学習を活用できるか否かが大きなポイントだとしている。
そのほか、今年のコースの特徴としては高架路がある。高架路の特徴をきちんと機械学習させると、ランプが障害物ではなく走行可能なルートであることを識別できるようになるのである。
「アウディ自動運転カップ2018」の3ステップにはそれぞれにポイントが設定されており、最多ポイントを獲得したチームが優勝だ。優勝チームに与えられる賞金は1万ユーロ(約130万円)。2位が5000ユーロ(約65万円)で、3位が1000ユーロ(約13万円)だ。またアウディ自動運転カップに参加した学生には、同社の人事担当者と面会する機会も得られるという特典も用意されており、実力次第で就職先も一気に決められる可能性があるコンペティションなのである。
2018年11月12日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
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