ジェットコースターかエレベーターか!?スイスに世界一の急勾配を上るケーブル鉄道がオープン!
(c) Stoosbahnen AG
スイスのアルプス⼭脈にある村「シュトース」に12月17日、世界一勾配の険しいケーブル鉄道が開通し、地元民や鉄道関係者が5年間の工事の完成を祝った。
チューリッヒからクルマで南へ約45分、スイスのほぼ中央に位置するシュトースは、スキーリゾート地で名高い標高1305m、人口150人の山間の村である。
ケーブル鉄道は、麓の駐車場からスキー場のあるシュトースまで、3つのトンネルと2つの橋を含む1738mの距離を約5分(毎秒10メートルの速度)で駆け上がる。
宝石のように美しいシュトースの夜景。シュトースは車両進入禁止の街としても知られている。(c) Stoosbahnen AG
高低差743m(!)の急な勾配
驚くべきは最急の場所で110‰(パーミル)になるという世界一急な傾斜である。
110‰の勾配とは、1000m進む間に高低差が110mにもなるというもので角度にすると約48度。スタート地点の麓と終点との高低差は743mにもなる!
ちなみに日本で急勾配だといわれる箱根登山鉄道の最大勾配の80‰、角度にすると約39度と比較するといかに急斜面かが窺える。
始発点から頂上をみると勾配が一目瞭然で、ジェットコースターのようにも見える。(c) Stoosbahnen AG
このような傾斜面を上る鉄道を可能にしたのは、スイスのロープウェイや山岳鉄道の運行を行う「ガラヴェンタ」社の技術で、開発には14年間の月日が費やされた。ケーブル鉄道は自動運転により運転手なしの運行も可能であるという。
米CNNによると、開発費用は5200万スイス・ フラン(約59億円)といわれている。
どんな斜面でも座席が平行に
印象的なのはドラム缶を4つ並べたような車両デザインだ。これはどんな傾斜でも、乗客のシートを平行に保つために開発された斬新な形状で、ガラヴェンタ社の技術革新による世界初の試みであるという。画期的なアイデアである。
(c) Stoosbahnen AG
今回のケーブル鉄道の新設は、1933年から使われてきた旧路線に代わって最新技術の車両と路線に置き換えられたもので、世界一長い吊り橋(記事はこちら)などと並び、またひとつスイスにハイテク技術による観光名所が誕生した。
まるでジェットコースターのような雪山を走るケーブル鉄道の動画はこちら。
(c) Stoosbahnen AG
2017年12月29日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)