クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

Cars

最終更新日:2017.12.06 公開日:2017.12.06

ロールス・ロイス「ファントムI」など、戦前のクルマたち!【動画あり】トヨタ博物館クラシックカー・フェス2017(1)

神宮外苑から皇居脇を通って銀座周辺までのパレードランと、明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前での展示が見所のクラシックカーの祭典「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」。2017年は11月25日に開催され、今年も一般オーナーの所有車やトヨタ博物館の所蔵車など、戦前から1980年代までのクラシックカーや旧車が約100台が集結した。その模様をレポートする第1弾は、1800年代末のベンツ「パテントモトールヴァーゲン」を筆頭に、戦前のクルマを動画と画像で紹介する。

 一般オーナーからは1925年から1987年までの100台強が参加。また、トヨタ博物館からも世界初のガソリン自動車ベンツ「パテントモトールヴァーゲン(レプリカ)」などが展示された。まずは、一般オーナーの車種は戦前のもの7台を、トヨタ博物館の展示は1台のみ戦後のものだが、そのほか1800年代末から1900年代初頭のクルマと、その走行の様子を動画で収録した。

まずは1925~1928年式のクルマたち

ロールス・ロイス「ファントムI トルペードツアラー」。ロールス・ロイスは1906年に、英国でフレデリック・ヘンリー・ロイスとチャールズ・ロールズによって設立された。現在はBMWの傘下となっているが、「ファントム」の名を継ぐ最新モデルが販売されている。

ロールス・ロイス「シルバーゴースト」。1926年式。ロールス・ロイスの往年の名車には、上で紹介した「ファントム」やこの「ゴースト」、さらに「レイス」など、幽霊系の名前が使われているのが特徴。「シルバーゴースト」はエンジンフードの銀色と、その静かな走りから名付けられたという。

ベントレー「6.5L」。1928年式。ベントレーはウォルター・オーウェン・ベントレーによって1919年に英国で設立された。初期にル・マン24時間レースで活躍するなどして、高性能スポーツカーとして一躍有名となった。現在はフォルクスワーゲンの傘下となっている。

→ 次ページ:
続いて1929~1932年式を紹介!

1929~1932年式のクルマたち

ロールス・ロイス「20HP」。1929年式。最初に製造された2気筒エンジンを搭載した「10P」をベースに、4気筒化したもの。

ロールス・ロイス「ファントムII コンチネンタル」。「ファントムI」の後継モデルで、1930年式。ロールス・ロイスのフロントグリル上に取り付けられたマスコットは、「スピリット・オブ・エクスタシー」と呼ばれる。近年のモデルでは盗難対策で、同マスコットは電動で収納できるようになっている。

フォード「モデルA フェートン」。同車は1931年式で、当時は日本にフォードの生産工場があり、日本で生産された。フェートンとは、折りたたみ式の幌を備えた4人乗りオープンカーを指す言葉。

MG「J2」。1932年式。こちらもまた英国車。MGとは「モーリス・ガレージ」の略称とされ、1923~1924年頃の設立とされる。

前ページとこのページで紹介した、ゼッケン1~7の戦前のクルマたちのパレード出発時の様子。

→ 次ページ:
企画展の車両たち!

「過去を振り返り未来を想う」の車両たち

 続いては、トヨタ博物館が展示した車両を紹介しよう。まずは、企画展示「過去を振り返り未来を想う -動力源の遷り変わり-」のガソリン自動車以外のクルマたちだ。

米ロコモビル社製の蒸気自動車「スチームカー」(1899年式)。1900年代初頭の米国では、クルマの半数が蒸気自動車だったという。同社は世界各国で販売され、当時の世界最大の生産台数を誇った。1902年2月には日本にも8台が輸入され、同社日本代理店が横浜に設立されて販売を開始した。全長2235×全幅1498×全高1576mm、ホイールベース1473mm。車重327kg。エンジンは蒸気直列2気筒単式複動式。排気量360cc。最高出力2.6kW。

1902年式の米ベイカー製電気自動車「エレクトリック」。EVというと、近年になって実現した最新技術の粋を結集したハイテク車両のイメージがあるが、実は歴史的にはガソリン自動車よりも古く、ダビッドソンによって1873年に開発された。世界初のガソリン車とされるベンツ「パテント モトールヴァーゲン」は1886年。一時はガソリン車よりも広まり、1900年代初頭の米国では、蒸気自動車の50%に次いで、30%がEVだった。全長2565mm×全幅1415mm×全高2250mm、ホイールベース1730mm。車重436kg。電気モーター駆動、最高出力は資料なし。

「ベイカーエレクトリック」が走行する様子。もちろんEVなので、わずかなモーターの駆動音しか聞こえない。1900年代初頭当時は、扱いやすさから女性に人気だったという。

トヨタ「BM型トラック」(1950年式)。今回紹介する中では唯一戦後のものだが、かつて存在した薪トラック(まきとらっく)を改造してガソリン車としたもの。薪トラックとは、戦中から戦後にかけて日本では石油が欠乏したため、薪や木炭などを燃料とした代用燃料車の一種である。「薪ガス発生装置」を搭載し、木材を蒸し焼き状態にして一酸化炭素などの可燃ガスを発生させ、清浄、冷却してエンジン内に送り込むという仕組み。ガソリンに比べると出力は低下してしまうという。同車は、その薪ガス発生装置を外して再びガソリン車に戻したもの。全長6455×全幅190×全高2130mm、ホイールベース4000mm。車重2700kg。水冷ガソリンエンジン・直列6気筒OHV、排気量は3386cc。

→ 次ページ:
トヨタ博物館の戦前の車両たち

トヨタ博物が展示した戦前の車両たち

 企画展以外にも、往年のクルマたちが展示された。続いては、それらを紹介する。

ベンツ「パテント モーターヴァーゲン」。カール・ベンツによって1886年に開発された、世界初のガソリン車とされる自動三輪車。時速15kmで走行できた。なおこちらは日本にあるレプリカで、実車は本国ドイツに所蔵されている。レプリカとはいえ実際にエンジンを始動でき、走行も可能。全長2547×全幅1454×全高1623mm、ホイールベース1450mm。車重313kg。水冷ガソリンエンジン・単気筒。排気量は984cc。

ベンツ「パテントモトールヴァーゲン」のエンジン始動と、実際に走行する様子。

フォード「モデルT ツーリング」(1914年式)。初めて大量生産されたクルマで、一般大衆に浸透した。1913年以前のモデルとこの1914年式以降のモデルの違いは、合理化のために1914年式から外版の色が黒で統一されたこと。全長3404×全幅1793×全高1800mm、ホイールベース2540mm。車重545kg。水冷ガソリンエンジン・直列4気筒L-頭型。排気量は2896cc。

2017年12月6日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(12月1日まで)
応募はこちら!(12月1日まで)