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最終更新日:2017.08.17 公開日:2017.08.17

ロータリーならではの理想の前後重量配分! 初代SA22C型「サバンナRX-7」

8月4~6日に幕張メッセで開催された、クラシックカーや旧車の展示・即売会イベント『AUTOMOBILE COUNCIL 2017』。マツダはまさに"ロータリー祭り"という様相で、歴代ロータリーエンジン(RE)搭載車を多数出展。ここでは、初代「サバンナRX-7(SA22C型)」をお届けする。

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マツダ「サバンナRX-7」。専用に設計されたボディを持つ、ロータリーエンジン搭載の量産スポーツカーだ。「オートモビルカウンシル2017」のマツダブースにて撮影した。

2度の大きな試練を乗り越えて誕生した「RX-7」!

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フロントビュー。当時では国産車としては珍しいリトラクタブル方式のライトを採用したことから、精悍なフロントマスクとなり、強い印象を与えた。

 REを搭載した市販車の歴史は、マツダが1967(昭和42)年に「コスモスポーツ」を発表したことでスタートする。

 しかし、REは大きな試練をすぐに迎えることになる。公害問題を受けて米国が1968年に排出ガス規制を発令。さらに1970年には、1975年以降に販売する新型車は、排ガス中の成分の炭化水素(HC)を従来の1/10にまで減らさなければいけないという、通称「マスキー法」と呼ばれる大気清浄法が米国で発令される。

 REの排気ガスの成分は窒素酸化物(NOx)が少なめだが、HCが多めなことが特徴。そのため、当初はマスキー法をクリアできないだろう(つまり米国販売は無理)といわれていた。

 それに対してマツダ技術陣は、HCに空気を加えて再燃焼させる「熱反応器(サーマルリアクター)方式」を開発することで解決したのである。

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続いてREを襲ったのは中東発の…!

第一次オイルショックによる大打撃

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70年代の国産車とは思えない、今もって古さを感じないデザイン。このデザインは2代目のFC3S型に受け継がれるが、3代目のFD3S型ではガラリと変わる。

 厳しい排出ガス規制をクリアしたREだったが、それだけでは終わらなかった。1974年に、第一次オイルショックを迎えることになる(1978年にも、イラン革命に端を発する第二次オイルショックが起きる)。

 オイルショックの影響を受けなかった自動車メーカーはないが、マツダの、特にREは打撃が大きかった。というのも、REの大きな弱点とされたのが、燃費がよくないことだったからである。RE車はガソリンをがぶ飲みするとして、世の中から”ガスガズラー”というあだ名までつけられて非難されたという。

マツダは燃費40%の改善を目指した計画を始動させる

 そこでマツダはREの燃費を40%も改善するための5か年計画「フェニックス計画」を始動。技術者たちは並々ならぬ努力の末に、サーマルリアクターから出た熱を利用して二次空気を温めて再利用するという熱交換方式を考案し、その結果として一気に30%強もの燃費改善に成功したのである。そのほかの燃費改善技術も導入し、合計で目標を大きく上回る50%強の改善を達成したのであった。

 そんな排出ガス対策と燃費効率の大幅な改善を経て生み出されたREが2ローター型の「12A」だ。12Aの出力は130馬力(エンジン単体でのグロス値)に達した。それを搭載した量産スポーツカーとして、サバンナRX-7は国内は1978年3月に、そして4月には米ラスベガスで発表されたのである。

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斜め後ろから。後部で目立つのがグラスハッチバック。発表当時、世界中からそのデザイン性の高さを賞賛されたという。

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サバンナRX-7は専用設計のスポーツカー

スポーツカーとして専用設計された精悍なデザイン

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低くシャープなフロントをしているサバンナRX-7。当時の国産車の多くが、切り立ったフロントを持ったセダンタイプであったため、専門知識がなくても空気抵抗の小ささが想像できた。

 サバンナRX-7は初代RX-7として現在では認識されているが、実は当初は2代目「サバンナ」だった。サバンナは双子車の「グランドファミリア」にREを搭載したセダンおよびクーペモデルとして販売されたが、サバンナRX-7は初代RE搭載車であるコスモスポーツの流れを汲むスポーツカーとして専用設計で開発された。そのため、フロントが切り立っているセダンらしいデザインであるサバンナとは大きく異なり、低重心かつスポーツカーらしいウェッジ型のデザインとなったのである。

ロータリーならではのフロントミッドシップ!

 REの優れている点のひとつがコンパクトな点だ。サバンナRX-7では、それを活かして12Aをフロントミッドシップ(フロントエンジンだが、フロントアクスルより後方に配置し、車体中心に近い)に配置。それにより、2名乗車時の前後の重量配分が50.7対49.3という、スポーツカーとしてほぼ理想的といえるバランスを実現したのである。

 またボディの空気抵抗係数、いわゆるCd値は0.36という優れた数値を達成。それには、リトラクタブル方式のヘッドライトも一役買っていた。

 足回りは、フロントサスがストラット方式で、リアはワットリンクを持つ4リンク・リジッド方式が採用され、それまでのサバンナGTや「カペラ・ロータリー」などのレース活動で得られたノウハウが導入されたのである。

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リアビュー。「サバンナRX-7」の車名の意味だが、サバンナは猛獣たちの棲まうアフリカの大草原にちなんでいる(ほかにも大西洋を初めて横断した蒸気船と、初期の非軍事用途の原子力貨客船の船名「SAVANNA号」にちなんでいる)とマツダは公式サイト上で公表している。RX-7に関してはマツダ広報に確認を取ったところ、Rは「Rotary(ロータリー)」、Xは「未来」、7はマツダ社内での車格を表すという回答を得ることができた。

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最後はスペックやモータースポーツでの活躍を紹介!

サバンナRX-7はモータースポーツでも大活躍

 国内のツーリングカーレースで無敵といわれた常勝初代スカイラインGT-R(日産)の連勝を49で止めた先代のサバンナGTに続き、サバンナRX-7もモータースポーツで活躍した。特に米国では目覚ましい活躍を成し遂げた。

 初戦は、世界三大24時間レースに数えられるデイトナ24時間レース。1979年に初参戦した際はクラス優勝を達成した。さらに、米国のIMSAシリーズにおいて、RX-7は初代と2代目で合計して100勝という大記録を達成した。

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初参戦した1979年のデイトナ24時間では、ポルシェ911やフェアレディZ(日産)と覇を競って、クラス優勝を達成した。

サバンナRX-7スペック

【サイズ・重量】
全長×全幅×全高:4285×1675(1650)×1260mm
ホイールベース:2420mm
重量:958~1015kg

【エンジン】
型式:12A(2ローター)
総排気量:573cc×2
最高出力:95.6kW(130ps)/7000rpm(グロス値)
最大トルク:161.8N・m/4000rpm(グロス値)
 ※グロス値とは、エンジン単体での計測によるもの

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ボディ脇のエンブレム。

2017年8月17日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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