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公開日:2026.04.10

中部空港から豊橋が一直線に? 愛知の新東西ルート「名浜道路」が整備中。衣浦の渋滞を変える“湾岸線”はどこまでできた?【いま気になる道路計画】

名豊道路 蒲郡IC付近の様子。

中部国際空港を起点に、浜松方面へと至る新たな東西ルート「名浜道路」構想が、徐々に具体化している。2025年3月に全線開通した「名豊道路」とも関わるこの計画について、詳細とメリット、現在の進捗を見ていこう。

名豊道路 蒲郡IC付近の様子。

文=鳥羽しめじ

資料=愛知県、国土交通省

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「名浜道路」でセントレアから豊橋方面が直結

名浜道路の概要。

名浜道路の概要。

愛知県の中部国際空港(セントレア)は、南に突き出した知多半島の中ほどに位置する。一方、東側には衣浦港や三河港といった重要港湾が広がり、碧南市・西尾市などの工業・物流拠点が集積しているが、河口部に隔てられているため、東西アクセスには課題を抱えている。

その河口部において、新たな東西軸として計画されているのが「名浜道路」だ。

名浜道路は、常滑市から武豊町、衣浦ポートアイランドを経由し、国道23号名豊道路「幸田桐山IC」へ接続する、延長約40kmのルートだ。

ボトルネックとなっている「衣浦トンネル」の料金所。

ボトルネックとなっている「衣浦トンネル」の料金所。

名浜道路の工事におけるハイライトは、衣浦港の新たな横断部にある。河口部約10kmに対して、既存の道路は「衣浦大橋」と「衣浦トンネル」の2本のみで、深刻なボトルネック渋滞が発生している。

先述のとおり、中部国際空港と重要港湾を結ぶ高い交通需要があるにもかかわらず、ネットワークの脆弱さが長年の課題となってきた。

さらに東側では、2025年3月に「名豊道路」が全線開通。豊明~西尾~蒲郡~豊橋の約70kmが信号のない高規格道路で結ばれ、東名高速・新東名高速より海側のエリアをカバーする広域ネットワークとして、そのポテンシャルを発揮している。名浜道路は、この名豊道路へ交通を導くアクセスルートとしての役割も担う。

「名豊道路」へ接続するアクセス区間が事業中

名豊道路「幸田桐山IC」から西へ約3.6kmの区間(幸田幡豆線)が事業化されている。

名豊道路「幸田桐山IC」から西へ約3.6kmの区間(幸田幡豆線)が事業化されている。

名浜道路の計画はどこまで進んでいるのだろうか。2007年に地域高規格道路の調査区間に指定されたのを端緒に、最初の区間として事業化されているのが、県道41号西尾幸田線(産業道路)と名豊道路をつなぐ約3.6kmだ。

この区間では、2020年に「現道活用」の方針が示され、県道320号幸田幡豆線を拡幅・バイパスする形で、2車線・幅員13.5mの道路へと機能強化が図られる。ICアクセスルートでありながら、住宅地の中でカクカクと屈曲する狭隘な生活道路にとどまっている現状を改善し、港湾関連の大型車も円滑に通行できる道路へと再整備される計画だ。

また、幸田町と西尾市の境界部では、トンネル整備によりルートの短絡化が図られる。

2023年に路線測量が実施され、2024年からはそれをもとに橋梁を含む詳細設計が進められている。あわせて用地測量も進行中で、設計は2026年度内の完了を見込む。今後は用地取得が一段落した段階で、ようやく着工となる見通しだ。

残る幸田町~碧南市までの区間は引き続き調査区間となっているが、既存の産業道路の存在もあり、具体的な整備方針は現時点で明らかになっていない。

次の事業化は「海上区間」か? 実現にはハードルも

衣浦ポートアイランドの様子。

衣浦ポートアイランドの様子。

一方、「名浜道路推進協議会」が優先的に要望しているのが、衣浦港から衣浦ポートアイランドを結ぶ海上区間の事業化である。

衣浦ポートアイランドは、最終処分場として平成初期から埋立が進められてきた人工島で、一般の立ち入りは禁止されている。しかし、すでに受入容量は逼迫しつつあり、新たな埋立施設が求められている状況だ。

加えて、周辺地域の機能強化に向けての港湾の土砂浚渫(※)が計画されており、その土砂の受け入れ先の確保も課題となっている。

※土砂浚渫(しゅんせつ):河川や港湾などで水底の土砂等を掘り上げる工事のこと

これを受け、衣浦ポートアイランドは第2期事業が計画されており、南側に約65ヘクタールの増設が予定されている。現在は事業化に先立つ環境アセスメント手続きの段階にあり、2025年12月に準備プロセスである「配慮書」が取りまとめられたばかりだ。

あわせて、同島の国際物流ターミナル化も構想されており、名浜道路の一環としてアクセス道路整備の必要性が浮上している。現在は廃棄物の搬入用に最低限の通路があるのみだが、今後はこれを地域高規格道路として、貨物車が円滑に通行できる構造へと機能強化されることが想定されている。

この区間は、知多半島へ渡る足がかりとなる最重要部に位置する。衣浦ポートアイランドからの接続については、海底トンネルでつなぐのか、航路をまたぐ橋梁を建設するのか、構造形式は未定となっている。

いずれにしても埋立地の増設と歩調を合わせた具体化が求められる。まさに、計画前進のためには「今のタイミングを逃がせない」局面だ。

最大の課題は、知多エリア~西三河エリアのもう1つの東西軸として、国が「名古屋三河道路」の事業化に向けて動きを強めている点にある。こちらは弥富市~岡崎市を結び、西知多道路と名豊道路を東西に連絡する路線であり、国としては優先的に予算配分を行う可能性が高い。地理的にも近接する名浜道路に対し、同時並行で国庫補助が確保できるのかは不透明な状況だ。

中部国際空港と衣浦港・三河港を結ぶ新たな東西軸として期待される「名浜道路」は、一部で事業化や具体的な検討が進む一方、未整備区間や海上部の構造検討、さらには他路線との優先順位といった課題も抱える。今後、衣浦ポートアイランドの増設や物流機能強化と歩調を合わせながら、計画がどこまで具体化していくのか、その動向に注目していきたい。

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