木津川の“橋空白地帯”ついに解消へ!「城陽―八幡連絡道路」事業化、分断された府道も接続。どこまで進んだ?【いま気になる道路計画】
京都府南部では、木津川に沿って約8kmにわたり「一般道路の橋がない」状態が続いてきたが、これが改善される見込みだ。まもなく事業化予定の「城陽―八幡連絡道路」について、詳細や整備によるメリット、進捗状況を見ていこう。
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木津川の「橋空白地帯」に悲願の架橋計画
「城陽ー八幡連絡道路」の事業概要。
大阪を代表する大河川「淀川」は、上流へさかのぼると、大阪府から京都府へ入る地点で桂川・宇治川・木津川の3本に分かれる。
このうち淀川では、高槻市~枚方市の間で10km以上にわたり橋がない区間が続いており、新たな架橋事業が進められている。一方で東側に目を向けると、木津川は南へと流路を変え、八幡市~城陽市の往来を分断している状況だ。
木津川に架かる日常利用の道路橋は限られている。北側には、国道1号「木津川大橋」、第二京阪「新木津川大橋」の側道があるが、その次に渡れるのは、約4km南の「新木津川橋」(通称:100円橋)だ。この橋は、普通車で100円の通行料が必要なため、完全無料で渡れる橋となると、さらに約8km南の国道308号「山城大橋」まで迂回する必要がある。いずれの橋も、ピーク時の激しい渋滞が課題となっている。
また、第二京阪の隣には1953年に完成した木造橋「上津屋橋」(通称:流れ橋)が架かるが、景観の良さからロケ地として知られる一方で、自動車は通行できないという不便さがある。さらに南の京田辺市内には、新名神高速(八幡京田辺JCT~城陽JCT)の橋があるものの、無料で利用できる側道は整備されていない。
こうした「橋空白地帯」ともいえる状況のなか、新たなルートとして計画されているのが「城陽―八幡連絡道路」だ。いよいよ整備に向けた動きが本格化しつつある。
かつては渡し船、長年の「分断府道」が解消へ
府道「内里城陽線」(黄色着色の道路)は木津川で分断状態になっている。
「城陽―八幡連絡道路」は、2026年1月に京都府が公共事業評価調書を公開。2026年度からの事業化がほぼ確実となった。完成目標は2037年とされている。では、その計画内容を見ていこう。
橋が架けられる地点は、八幡市岩田地区と城陽市寺田地区の間。八幡側は工場集積地で、大型商業施設「コストコ」も近接している。一方の城陽側は国道24号が目の前にあり、市中心街や山城総合運動公園(太陽が丘)への玄関口にあたる。対岸同士で相互利用のニーズが高く、直結による利便性向上の効果は大きいとみられる。
橋の延長は約430m。自転車・歩行者道を備えた4車線道路として整備される計画だ。第二京阪側道の八幡内里交差点から東進するバイパスを新設し、城陽側は橋を渡るとすぐ国道24号および新名神高速 城陽ICのランプに接続する構造だ。計画交通量は1日当たり約3万6300台と見込まれている。
実はこのルート、府道282号「内里城陽線」に指定されているものの、70年以上にわたり分断されたまま、未接続の状態となっている。
その背景にあるのが、江戸時代から続いていた渡し船「岩田の渡し」だ。流れの激しい木津川は、橋の建設が難しかったため、自動車が普及する以前は、長らく渡し船が主な交通手段だった。大正時代以降も、京都府の事業として運航が続けられていたが、周辺で橋の整備が進んだことや、流路変更の影響もあり、1986年に廃止された。
今回の「城陽―八幡連絡道路」は、この内里城陽線をつなぐための事業といえる。京都府の行政指針である「京都府総合計画」にも両岸エリアの交通強化が明記され、検討が本格的にスタート。近年の機運の高まりを受け、いよいよ事業化に至った形だ。
対岸の重要拠点を最短アクセスでつなぐ
「城陽ー八幡連絡道路」の整備効果。
「城陽―八幡連絡道路」が完成すれば、八幡市と城陽市はダイレクトに結ばれ、渋滞の激しい国道1号~国道24号ルートを回避できるようになる。あわせて内里城陽線は、八幡市内の主要な東西軸として機能し、そのまま京阪樟葉駅方面へ接続。枚方市北部との連携強化も期待される。
中心部同士の移動時間は八幡市~城陽市で約11分、枚方市~城陽市で約14分の短縮と試算されている。城陽市にとっては、大阪方面への“心理的距離”もぐっと縮まりそうだ。
さらに将来的には、新名神高速 宇治田原IC(建設中)周辺には、自動運転トラックやダブル連結トラックに対応した次世代基幹物流施設が計画されている。八幡市内の工業エリアからは、新橋経由であれば城陽ICランプに直結するため、物流拠点へのアクセスは大幅に向上する見込みだ。
また、防災面でも効果は大きい。山城総合運動公園(太陽が丘)は広域防災活動拠点に指定されており、八幡市の上津屋工業団地も救援物資の備蓄拠点となっている。新橋が完成すれば、両拠点を結ぶ最短ルートが確保され、災害時の迅速な連携が可能となる。
ついに事業化へと動き出す「城陽―八幡連絡道路」。ただし、すぐに工事が始まるわけではなく、今後は数年かけて測量や詳細設計などが進められ、その後に用地取得を経て、ようやく着工という流れになる。
最大のハードルとなる用地取得を乗り越えられるかが、計画の進展を左右する重要なポイントとなるだろう。今後の動向にも引き続き注目していきたい。
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