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公開日:2026.03.26

東名から下田が直結へ! 伊豆を南北に貫く「伊豆縦貫道」はどこまで完成? 天城越えはどう変わるのか【いま気になる道路計画】

河津下田道路(Ⅱ期)河津七滝ICの様子。

静岡県沼津市から下田市へと伊豆半島を南北に貫く「伊豆縦貫自動車道(伊豆縦貫道)」の整備が進められている。開通済み区間と未開通区間が混在するこの路線について、工事概要やメリット、現在の進捗について見てみよう。

河津下田道路(Ⅱ期)河津七滝ICの様子。

文=藤井宏治

画像=国交省

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伊豆縦貫道は東名~下田を直結する南北軸!

伊豆縦貫道概略図

伊豆縦貫道概略図

「伊豆縦貫自動車道」は、伊豆半島の起点となる沼津市から先端の下田市までを縦断する、延長約60kmの高規格幹線道路だ。東名高速「沼津IC」や国道1号「三島塚原IC」から直接アクセスでき、最終的には下田市六丁目付近に整備予定の「下田IC(仮称)」まで延びる構想となっている。

整備は数kmごとの区画に分けて段階的に進行中。2026年3月時点では、「沼津岡宮IC」から伊豆中央道を経由し、天城峠北部の「月ケ瀬IC」までの区間と、天城峠南部の「河津七滝IC~河津逆川IC」の約3kmが開通済みとなっている。

一方、事業中の区間は、現ルートから東へ分岐する「大場・函南IC~函南IC(仮称)」約1.9kmと、天城峠の手前に位置する「月ケ瀬IC~茅野IC(仮称)」約5.7km、そして南部の「河津逆川IC~下田IC(仮称)」約9.5kmだ。

つまり、現時点で沼津ICから伊豆半島の中腹付近まで、一気に南下できるようになっている。

ただし、伊豆半島の大部分は急峻な山地と深い谷が連続しており、平地が限られている。幹線ルートを確保するにはトンネルや高架橋の比率が高くなり、施工コストや工期が膨らみやすい、整備の難しい区間である。残る区間の開通には時間がかかりそうだ。

伊豆縦貫道のメリットは? 防災や観光に効果大

河津下田道路 河津七滝IC~河津逆川ICは2023年3月に開通した。

河津下田道路 河津七滝IC~河津逆川ICは2023年3月に開通した。

伊豆縦貫道には、事業中・調査中の区間が点在しているが、ここでは伊豆半島縦断のメインとなる区間である「天城峠道路(月ケ瀬~茅野)」と「河津下田道路(河津~下田)」の2区間にフォーカスして、開通によるメリットを紹介しよう。

両区間に共通するメリットは大きく2つ。「災害時・緊急時にも機能する道路ネットワークの確保」と「観光振興の後押し」が挙げられる。

まず防災面。南海トラフ地震のような大規模災害が発生した場合、伊豆地域の沿岸部では津波による浸水が想定されている。現状、下田市などの伊豆半島南部へ向かうには、月ケ瀬ICから一度西側に回り込み、沿岸部の西伊豆町を経由する必要がある。

しかし、この西伊豆経由のルートは災害時のリスクが大きい。南海トラフ地震が発生した場合、道路が緊急輸送可能な段階まで復旧するのに1週間以上かかるとされている。

そこで、天城峠道路と河津下田道路が内陸ルートとして機能すれば、ダブルネットワークが確保され、被災時の救命ルートの寸断が防げるのだ。

さらに、緊急時だけでなく平時にもメリットがある。伊豆半島北部にある順天堂大学静岡病院へのアクセスが改善されることで、伊豆半島南部からの緊急搬送時間の大幅な短縮にも繋がるのだ。

一方、観光面でのメリットも見逃せない。伊豆半島北部は、東駿河湾環状道路の整備などによりアクセス性が向上し、観光客数は増加傾向にある。しかし、現状は伊豆半島南部にアクセスする幹線道路が不足しており、渋滞が慢性化している。

特に夏季、白浜大浜海水浴場がにぎわう時期は渋滞が顕著。これにより観光客の足が遠のき、2021年時点の観光客数は北部の約6分の1にとどまっている。

天城峠道路と河津下田道路が開通すれば、このボトルネックは大きく緩和されると見込まれ、アクセス改善による観光の活性化も期待されている。

伊豆縦貫道の進捗と今後の見通し

河津下田道路の下田北IC(仮称)と下田IC(仮称)付近。

河津下田道路の下田北IC(仮称)と下田IC(仮称)付近。

伊豆縦貫道の事業中・調査中区間については、現時点で具体的な完成時期や工事計画は発表されていない。ただし、これは工事が滞っていることを意味するものではない。

そもそも道路事業では、地形条件や地質、施工方法の検討など不確定要素が多く、完成時期を明確に示せないケースは珍しくない。とりわけ伊豆半島は山と谷が連続する地形で、トンネルや高架橋の比率が高くなるため、工事の難易度が高い部類に入る。伊豆縦貫道は、完成時期が見通しにくいプロジェクトといえるだろう。

とはいえ、2023年3月には河津下田道路(Ⅱ期)河津七滝IC~河津逆川ICが開通し、さらに2025年2月には河津下田道路(Ⅱ期)2号トンネルの着工式が開催されている。こうした動きは、事業が着実に進んでいる裏付けといえるだろう。

今後は、工事の進捗にあわせて区間ごとの完成見通しも徐々に具体化していくと考えられる。まずは安全を最優先に、一歩ずつ確実に整備が進むことに期待したい。

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