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公開日:2026.02.27

北関東~北陸の最短ルートに? 長野の新東西軸「松本佐久連絡道路」計画の全貌とは。高崎から大回りせず松本へ直結【いま気になる道路計画】

群馬県と長野県をつなぐ上信越自動車道。

長野県の佐久市と松本市を高規格ルートで結ぶ「松本佐久連絡道路」が構想されている。詳細や開通によるメリット、計画具体化への進捗はどうなっているのか見ていこう。

群馬県と長野県をつなぐ上信越自動車道。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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近くて遠い「軽井沢方面~松本」

松本佐久連絡道路の概要。

松本佐久連絡道路の概要。

北関東エリアにとって、長野・北陸方面へつなぐ高速ネットワークは、群馬県の関越自動車道 藤岡JCTから分岐して西進する「上信越自動車道」がある。しかし、この上信越道では、長野県の軽井沢町から松本市、そして岐阜県高山市まで真っ直ぐ進むことはできず、途中で長野市を頂点とした山なりの線形をたどる必要がある。

そのため、松本市へと直接つながる短絡ルートとなる高規格道路「松本佐久連絡道路」が構想されている。

「松本佐久連絡道路」は松本直結の東西軸

松本佐久連絡道路の概略ルート。

松本佐久連絡道路の概略ルート。

「松本佐久連絡道路」の概略ルートは、佐久市内から立科町を経て松本市内へ、ほぼ真っ直ぐ東西に伸びるものとなっている。佐久市内では、上信越道や中部横断自動車道(一部開通)、松本市内では長野自動車道と接続することになるが、具体的な起点・終点は未定だ。

現在、この佐久市~松本市のルートを担っているのが「国道254号」だ。長距離トラックも利用する「裏の主要ルート」となっているが、広域幹線としては規格が低い。多くが旧態依然とした狭い2車線道路で、集落内では生活空間を抜けていき、市街地では信号交差点で渋滞が発生している。山間部では、立科町~長和町の区間で連続するヘアピンカーブが存在している。そのため、結果として“知る人ぞ知る抜け道”のような存在だ。

旧丸子町内では、目下の課題を緊急的に改善すべく、バイパス工事が進められてきた。2019年に「和子バイパス」、2024年に「平井バイパス」「荻窪バイパス」がそれぞれ開通。通過交通と生活交通は分離されたが、広域輸送を担うネットワークとは言い難い。

現在の「抜け道ルート」を高規格化

国道254号の途中にある「三才山トンネル」はかつて有料道路だった。

国道254号の途中にある「三才山トンネル」はかつて有料道路だった。

上田市と松本市との境界には、1976年に長さ約2,511mの「三才山トンネル」が開通。さらに1994年には豊科方面へ貫く長さ2,447mの「松本トンネル」も開通して、国道254号を通じた移動がスムーズになった。どちらも長らく有料道路だったが、2020年に無料化されている。

しかし、三才山トンネルは完成から50年が経過し、そろそろ老朽化対策の議論がはじまりつつある。付近では国道20号の「新笹子トンネル」(1958年完成)について、現代の規格に合わせた新トンネル建設に向けた計画が進んでいる。

なお西側では、松本~上高地~高山~郡上~福井をつなぐ高規格道路「中部縦貫自動車道」が整備中だ。国が「重要物流道路」に指定し、40フィート級の国際海上コンテナ車が通行できるネットワークとするため、高い優先順位で計画・工事が進められている。特に「東海北陸自動車道~北陸自動車道」の区間(大野油坂道路)は、全線開通まであと1工区を残すのみだ。

松本佐久連絡道路は、この中部縦貫道とあわせて実現することで、茨城・栃木・群馬方面から福井方面へ抜ける本州横断の最短ルートとなることが期待されているのだ。

「松本佐久連絡道路」計画の進捗は?

松本から上高地方面へは「中部縦貫自動車道」の整備が行われている。

松本から上高地方面へは「中部縦貫自動車道」の整備が行われている。

松本佐久連絡道路の計画具体化の現状だが、いまのところ目立った進展は見られない。

“具体化の第一歩”というのは、一般的に概略ルート・構造を決める「計画段階評価」のプロセス開始を指すが、国土交通省関東地方整備局の2025年度予算計画を見ても、まだ松本佐久連絡道路について、計画段階評価やその準備についての方針は明記されていない。

しかし、長野県にとっては分断された、松本エリア・佐久軽井沢エリアを直結するルートにかける期待は大きい。2025年11月の県議会で質疑が交わされ、県当局は「タイミングを計って国に訴えなければいけない。全国的ニーズも高いことを訴えられるよう、必要性を整理していきたい」としている。

地元である松本市や佐久市は、国道254号を改良するのではなく「別ルート」で整備するよう、国へ要望している。陳情の際、国側からもそれに同調する声があったという。

いっぽうで、具体化が進まない大きな背景が、すでに長野県内で「松本糸魚川連絡道路」「上信自動車道」という2つの主要プロジェクトが動き出している点だ。

県の答弁でも「これらが終わらないうちから次の新しいものをお願いしても、なかなか国に認められないというのはあるかと。まずはきちんと今、進めている路線に予算をつけて整備を進めたい」との認識を示している。松本市にとっても、先述の「中部縦貫道」の松本~上高地の整備が進んでいないため、そちらの実現を優先したい構えだ。

時期は見通せないが「松本佐久連絡道路」に新たなトピックがあるとすれば、国によって「高規格道路」「一般広域道路」のいずれかに位置づけられることだろう。その次に想定されるのは、概略ルート・構造を決定する「計画段階評価」への着手だ。今後の動向にも引き続き注目していきたい。

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