はじめよう、クルマのある暮らし。

Traffic

公開日:2026.02.11

国は「港湾アクセス」や「4車線化」に注力する? 明らかになった“新しい”道路整備方針「第6次社会資本整備重点計画」を読み解く【いま気になる道路計画】

高速道路のイメージ。

日本政府は2026年1月16日、今後5年間の交通政策における予算配分の指針となる「第6次社会資本整備重点計画」および「第3次交通政策基本計画」を閣議決定した。このうちバイパスや高速道路など、高規格道路の整備についての基本方針を読み解いてみよう。

高速道路のイメージ。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

この記事をシェア

今後5年間の「道路整備」で何を目指す?

持続的で力強い経済成長の実現のために、人流・物流インフラの整備が必要だ。

持続的で力強い経済成長の実現のために、人流・物流インフラの整備が必要だ。

高規格道路の整備を推進するのは、主に国の仕事だ。その国が2030年までの5年間において、どういった方針で交通インフラを整備していくか(つまり予算を配分していくか)を明らかにした「第6次社会資本整備重点計画」と「第3次交通政策基本計画」が、2026年1月16日に閣議決定された。

いわゆる「5か年計画」となる、この2つの基本方針をおおまかに読み解いていこう。

もちろんこの基本方針には、日常生活に関わる政策も無数に記載されている。ほんの一部を挙げるだけでも「自動物流道路」「スマートIC整備」「陥没予防」「老朽化橋梁の維持」「維持補修のDX化」「逆走対策」などをはじめ目白押しだ。そして、この政策それぞれには、今後5年間の数値達成目標が設定されている。

今回は高規格道路の整備に焦点を絞って、「どういったポリシーで優先整備するか」を切り口としてまとめた。

国が掲げる重点目標。

国が掲げる重点目標。

バイパス・高速道路に関する部分は、以下の考え方を元に目標が掲げられている。

・地域の再活性化
人口減少や少子高齢化で「地域の持続が危ない」ため、その対策として「地域の経済圏を道路等の広域のネットワークによって拡大」する。そのためには観光振興や企業立地が不可欠で、いわゆる「広域連携」を道路で実現すべきとしている。

・国際競争力
これからは「国際競争力を強化」することが重要。そのため「強靱かつ効率的な物流・交通ネットワークの構築」で「経済活動を下支え」していくとしている。

キーとなるのは「三大都市圏環状道路」「主要な拠点(拠点空港、クルーズ港湾等)へのアクセス道路」「重要物流道路」「インバウンドの地方誘客」だ。

三大都市圏環状道路というのは、実質的に「外環道」「圏央道」を指す。国としての道路計画における「最重要課題」と言えるだろう。もちろん、名古屋圏、関西圏にもまだ環状道路の構想が残っている。遠い将来、具体化に向けた議論が本格化する可能性がある。

・国土強靭化:激甚化・頻発化する自然災害
地球温暖化等の気候変動を要因とした異常気象によって、被災リスクが上昇。また、南海トラフ巨大地震のリスクも顕在化している。こうしたリスクは、企業立地も含めた経済活動にも重大な影響をもたらすほか、サプライチェーンの停止で国民生活にも影響が及ぶ。特に首都圏は「分散型国づくり」も必要となっている。

そのために「高規格道路の未整備区間の整備」「暫定2車線区間の4車線化」「代替機能を発揮する直轄国道とのダブルネットワーク強化」「陸海空の多モード交通連携による、交通ネットワークのリダンダンシー(冗長性)確保・強化」が明記されている。

特に4車線化については、2019年に「優先整備区間」という新たな枠組みが設けられ、本格的な国家プロジェクトとして動き出している。

今後、強化が求められる「重要港湾アクセス」

米子自動車道の米子~境港では、延伸計画が進んでいる。

米子自動車道の米子~境港では、延伸計画が進んでいる。

特筆すべきはやはり「陸海空の多モード交通連携」「拠点空港、港湾等へのアクセス道路」の方針だろう。

具体例としては、東関東道 潮来ICから分岐して鹿島港をむすぶ「鹿行南部道路」の概略ルート検討に向けて動きが活発化している。ここでは、鋼材から穀物まで各産業に不可欠な品目が扱われ、周辺は工業地帯が広がっている。しかし、東関東道までのアクセスは生活交通と混在し、定時性でも安全面でも課題がある。

ほかにも、山陰エリアの主要国際港である「境港」まで、「米子自動車道」を延伸する計画が進行中だ。現在の主要ルートである国道431号は、生活交通と中距離輸送が混在して渋滞。さらに米子市内の大渋滞もあって、境港は国内道路ネットワークから取り残された「飛び地」のような存在となっている。

このような、近年着目されてきた“不便なまま残されていた重要港湾”へのアクセス道路整備が、改めて今回の計画に盛り込まれているのだ。概略ルートの検討や新規事業化など、さらなる新路線の具体化に期待したい。

具体的な数値目標も明らかに

4車線化候補の道路。

4車線化候補の道路。

国の方針に沿って設定された、高規格道路に関わる具体的な数値目標は以下のようなものだ。

・三大都市圏環状道路の整備率 84% → 89%
※前計画では「2025年までに89%」としていたが、進捗は小さく、今回の計画で再チャレンジする構えだ
・道路による都市間速達性の確保率 57% → 60%
・高規格道路の未整備区間6,000kmの整備率 6% → 19%
・4車線化優先整備区間等1,100kmの整備率 0% → 14%

もちろん用地取得や想定外の施工困難などで進捗が遅れる可能性はあるが、少なくとも検討や手続き、事業化決定はこの目標を元に最善が尽くされることとなる。

国の経済活動を発展させ、災害に強い道路ネットワークの整備は、今後5年間でどれだけ数値目標を達成できるのだろうか。引き続き注視していきたい。

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(2026年3月1日まで)
応募はこちら!(2026年3月1日まで)