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公開日:2026.01.26

高知~徳島の第2ルート「室戸回り」の高規格道路が誕生へ!「阿南安芸自動車道」の全貌と進行状況は? 4550mの長大トンネルも【いま気になる道路計画】

桑野道路(下大野トンネル)の工事状況。2025年10月撮影。

高知県~徳島県を海岸沿いにぐるりと結ぶ高規格道路「阿南安芸自動車道」の整備計画が進められている。開通済みや事業中、そして未事業化の区間もある。この道路について概要やメリット、進捗について見てみよう。

桑野道路(下大野トンネル)の工事状況。2025年10月撮影。

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省

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「阿南安芸自動車道」は高知~徳島の南回りルート

阿南安芸自動車道の概要。

阿南安芸自動車道の概要。

高知県南東部や徳島県南部は、互いに通り抜ける幹線ルートがなく、鉄道もつながっていない、いわば「行き止まり」のネットワーク状況にある。

高知~徳島の移動は北回りの「徳島自動車道」が実質的な唯一の選択肢であり、南回りには「国道439号」「国道195号」「国道55号」などがあるが、いずれも生活道路レベルにとどまっている。特に内陸部では大半の道路が、苛烈な山道が連続する「酷道」状態となっている。

四国内を周遊するネットワークは貧弱で、緊急輸送や災害時のリスクを抱えているため、四国では「四国8の字ネットワーク」として、各地でミッシングリンクをつなぐ高規格道路が計画されている。

その一つとして整備進行中なのが、海岸線周りで高知~徳島をぐるりと結ぶ高規格道路「阿南安芸自動車道」だ。

阿南安芸自動車道の概要。現在、概略ルートが決まっていないのは1区間のみ。

阿南安芸自動車道の概要。現在、概略ルートが決まっていないのは1区間のみ。

「阿南安芸自動車道」は、高知中心部方面から南東へ下りてくる「高知東部自動車道」から直通し、安芸市から奈半利町を経由して、太平洋側に突き出た室戸周辺エリアを付け根付近でショートカット。徳島県境を越えて牟岐町・阿南市へ到達する約110kmの道路だ。徳島市内からは「徳島南部自動車道」が延伸し、将来的に互いにつながる計画となっている。

高知南東部から「室戸スルー」の短絡路。事業化はすべて完了

狭隘ですれ違いも困難な国道493号。

狭隘ですれ違いも困難な国道493号。

「阿南安芸自動車道」の進捗だが、一部区間が断続的に開通している状況だ。しかし、大半の工区が事業化を迎えており、用地取得や工事が次々に進められている。工区ごとに詳しく見ていこう。(以下、IC名は仮称)

●安芸道路(安芸西IC~安芸東IC)5.8km
2012年に事業化。工事は東側の進捗が大きく、すでに高架の橋げたが形を見せている。メインとなる西側の「安芸トンネル」(1,126m)は、2025年に工事が発注されたばかりだ。

●奈半利安芸道路(安芸東IC~奈半利IC)13.1km
2024年に全線事業化したばかりで、現在は設計や用地測量の段階だ。2002年に開業した「土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線」はこの地まで伸びている。

●北川奈半利道路(奈半利IC~柏木IC)5.0km【開通済み】
2010年に全線開通した。内陸の山岳地帯へ進路を変え、室戸エリアの付け根を横断していく工区だ。

●北川道路 13.0km【一部開通済み】
山岳地帯を通過する13kmの工区。現道である国道493号のクネクネとした谷筋を、5つのトンネルでショートカットする計画だ。

2013年に事業化した西半分(2工区)のうち「和田トンネル」(2,230m)部分が、2025年2月に開通したばかりだ。残りの短い「柏木トンネル」(270m)部分は同年10月に発注されている。

一方、東半分(1工区)の9kmは2021年に事業化された。「小島トンネル」(913m)が別事業によって先行開通済み。残りの2号トンネル(1,596m)、1号トンネル(2,580m)の工事がスムーズに進むかがカギとなっている。

●野根安倉道路(安倉~野根IC)8.5km
2020年に事業化された8.5kmの工区で、現在は設計の段階にある。大半を担う「四郎ヶ野(しろがね)トンネル」(4,550m)は、徳島県方向に向かって約300mの標高差を下るトンネルだ。

現道の国道493号は特に苛烈な峠道で、センターラインもない崖沿いの舗装路が続く「酷道」だ。トラックやバスは通れず、現状は室戸岬まで大回りする必要がある。野根安倉道路はその厳しい区間で「通りやすい短絡路」となり、まさに両県間の移動の「大革命」といえる重要な存在だ。

徳島県側は未事業化区間も。どこまで計画進行した?

工事が進む桑野道路。

工事が進む桑野道路。

●海部野根道路(野根IC~海部IC)14.3km
2019年に事業化された、高知と徳島の県境を越えて沿岸部を北上する区間だ。途中には甲浦(かんのうら)IC、宍喰(ししくい)ICが設置される。現場では、地盤改良が始まった段階だ。阿佐海岸鉄道が並行している。

●海部~牟岐【事業化待ち】
2018年に都市計画決定が完了しているものの、いまだに事業化されていない。徳島県は毎年、国に対して「一刻も早い新規事業化」を要望している。果たして2026年度に悲願の事業化を果たせるだろうか。

●牟岐~美波【計画段階評価】
概略ルート・構造を決める「計画段階評価」の最中だ。2025年10月に第1回アンケートが実施された。当工区が都市計画決定されれば、ついに全線でルートが確定することとなる。

●日和佐道路 9.3km【開通済み】
2011年に全線開通した工区。現道である国道55号は、星越峠周辺にクネクネとしたカーブが続くほか、旧由岐町の中心街を通過するため不便だった。日和佐道路はこの峠区間を丸ごとバイパスし、由岐港付近へ直結するルートとなっている。

●福井道路・桑野道路(小野IC~阿南IC)16.1km
2012年に全線事業化された工区。途中には新野(あらたの)IC、桑野IC、長生(ながいけ)ICが設置される。海岸沿いを通るJRや国道55号とは異なり、内陸側をショートカットするルートを通り、阿南ICは中心街の約4km西側に位置している。現場ではトンネルや高架橋脚の工事が進行中で、このうち「下大野トンネル」は2025年5月に貫通した。


このように、「阿南安芸自動車道」の室戸エリア(山岳地帯)はすでに全線で事業化済み。残るは徳島県側の沿岸部が事業化されるのを待つばかりだ。悲願の高速道路が誕生すれば、現在の徳島沿岸部における主要交通である「JR牟岐線」と「高速バス」のパワーバランスは大きく逆転する可能性があるだろう。まずは、福井道路・桑野道路の開通と、海部~牟岐までの事業化に期待がかかる。引き続き同事業の進捗に注目していきたい。

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