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道路・交通最終更新日:2019.05.09 公開日:2019.05.09

次世代新幹線「N700S」が時速360キロで走行試験。5月中旬から!

東海旅客鉄道株式会社(以下:JR東海)は4月18日、次世代新幹線「N700S」の確認試験車を使用した速度向上試験を5月中旬~6月中旬に実施すると発表した。

N700Sとは?

N700S|JR東海|新幹線|

N700Sの確認試験車。先頭車両の顔に当たる部分が左右に伸びる翼のような形「デュアルスプリームウィング形」になっている。

 N700Sは、東海道・山陽新幹線「のぞみ」などで活躍する「N700系」の次世代車両として2020年7月に営業運転を開始する新型車両。2020年度に12編成、2021年度に14編成、2022年度に14編成と、3年間で計40編成が投入される予定だという。

 同車両は、走行抵抗を低減した先頭形状「デュアルスプリームウィング形」や次世代半導体である「SiC素子」を用いた駆動システムの採用により、従来のN700Aタイプと比べて消費電力を6%削減。さらに、バッテリー自走システムを搭載していて、自然災害等による長時間停電時においても、トンネルや橋りょうなどを避け、乗客が避難可能な場所まで自力走行するなど、利便性と安定性を高めた車両である。(N700Sについては過去記事でも詳報している。)

 ちなみに「N700S」という名称は、東海道・山陽新幹線用として定着している「N700」の名称を踏襲し、そこに”最高の新幹線車両”を意味する「Supreme(最高の)」の「S」がつけられている。

最高速度・時速360キロでの走行試験

 同車両は昨年9月に、リチウムイオンバッテリーを搭載したバッテリー自走システムによる走行試験。昨年11月~12月に、8両編成(モーター搭載車両は8両)での基本性能試験を実施し、機能に問題がないことを確認してきた。今回の速度向上試験では、東海道新幹線(下り線)の米原~京都間を夜間に走行。順次速度を向上し、最終的に時速360キロでの走行試験を行うという。通常の確認試験車は16両編成中14両にモーターを搭載しているが、走行試験では16両すべてにモーターが搭載されるそうだ。

N700S|JR東海|新幹線|これまでの試験速度

 上表は、近年実施された営業仕様車両による走行試験の最高速度一覧である。もし、今回の走行試験で時速360キロの運転が成功した場合、東海道新幹線における試験最高速度の従来記録である「N700S確認試験車」の時速330キロを30キロ上回り、過去最速(※)となるそうだ。

 ※試験車両を用いた走行試験では、1996年7月に955形試験車「300X」が達成した時速443キロが最速。

東海道線・東京駅~新大阪駅間の到着時間の推移。

 上グラフで東京駅~新大阪駅間の到着時間を見てみると、1964年の「0系」では4時間だったが、2015年の「N700A」では2時間22分となり、到着時間が1時間38分も短縮されたことが分かる。もし、N700Sが時速360キロで走行したら、どのくらい時間短縮になるか気になるところだ。しかし、JR東海によると「今回の速度向上試験は、車両の性能チェックや走行データの収集を目的とするもの。N700Sが導入される場合の最高速度は、これまでと同様の時速285キロとなる」とのこと。また、現状では最高速度の引き上げも予定されていないそうのなで、2時間を切る日はまだ訪れそうにない。同社の今後の動向に注目したい。

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